町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

新系列電車の基礎を築いたJR東日本E217系、ダイヤ改正直前で定期運用を終了へ

2025年03月23日 | JR東日本

国鉄時代から長らく主力車となっていた横須賀線〜総武線快速の113系列の置き換え用に1994年12月3日から運転を開始したE217系ですが、春のダイヤ改正を目前にした本年3月8日で定期運用を終了しました。新製配置から同一線区で約31年という首都圏の新系列電車としては比較的長めの活躍でした。本系列は先に登場していた209系の実績を基に長距離運用にも対応した初の4ドア近郊型電車となり、その後に続く通勤型・近郊型の区分を統合した「一般型電車」の基本的な構造を確立した画期的な車両でした。

平面的な前頭部だった209系に対してボリューム感のあるマスクになったE217系ですが、1992年に成田線大菅踏切にて過積載のダンプカーと列車が衝突し運転士が死亡する事故が発生したことを受け前頭部に安全を確保すべく衝撃吸収構造を採用したことで、このようなデザインになりました。この基本的な構造は後にE231系1000番台、E531系、E233系各番台などにも引き継がれました。しかし前頭部の独特な形状はその後他系列で採用されることはなく、唯一の存在となっています。

1990年代当時は国鉄時代から引き継いだ車両が多く残存しており近郊型電車は3ドア・セミクロスシート、通勤型電車は4ドアロングシートを基本とし性能や車内設備が分かれていましたが、本系列より中距離輸送用ながらロングシート主体とし東京通勤圏の拡大に対応させることになりました。その後はロングシート主体にセミクロスシートを設けるなど路線の特性に応じて車内設備を変更することで対応するようになり、基本的な車内仕様を確立した本系列が果たした役割は大きかったと言えます。

それまで主力車だった113系とは打って変わり、ロングシート主体になった車内ですが通勤通学輸送の他に空港アクセスから観光輸送まで幅広い需要があるため、こちらの方が流動性や乗り降りがスムーズになると判断されたのか後継のE235系は普通車が全てロングシート仕様になりました。

首都圏ではまだまだE231・233系とE531系で見ることができるボックスシート+ドア付近・車端部ロングシートの組み合わせですが、横須賀線〜総武線快速からは乗り入れて来る湘南新宿ラインの列車を除いて見納めになりました。休日の利用には旅情を感じさせる部分でしたが、これは致し方ない部分ですね。

総勢745両が製造され、運転開始後は運用範囲が広く高速運転を行う近郊型電車でながら1両も事故廃車を出さずにその生涯を終えたE217系はまさに勇退と言える終末だったのではないでしょうか。まだ運用離脱した編成はイベントが控えているようで来月まで残るようですが、引退後は現在のJRの方針を見るに保存はなく1両残らず解体されてしまうことと思いますので、その活躍は記憶に留めておきたいものです。


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