東武鉄道は2025年3月15日、2025年3月ダイヤ改正を実施しました。今回はこれについて、東武東上線の改正前後のダイヤを比較して深掘り分析します。なお、時刻表は東京時刻表をもとに当局で作成しています。
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〇東武東上線
(1)平日朝ラッシュ時間帯
朝ラッシュ時の志木発池袋行き普通列車(志木7:35→池袋8:11)が、川越市発池袋行き準急(川越市7:17→池袋8:07)へ格上げされ、運行区間も延長されます。
普通列車1本分が準急に置き換わったほか、志木~成増間では1本減便となりました。現行の準急は上板橋駅にも停車し、上板橋駅の利用者だけでなく、上板橋で普通と準急が接続する関係で普通列車の乗客も準急に流れてくるため、準急が混雑している状況にあるとみられます。今回の準急増発は、混雑緩和のための策と言えます。
一方、志木~成増間は1本減便となりました。和光市までは副都心線直通列車も走行するため本数が多く、減便して輸送力を調整したとみられます。
(2)夕夜間時間帯 増発
平日に池袋17:51発、19:51発川越市行き準急が増発されました。土休日には池袋22:04発の準急が増発されました。
副都心線からの直通列車2本を、池袋発の準急へ変更したという形になりました。夕方時間帯は池袋からの帰宅客を優先したいという狙いがうかがえます。
土休日22時台前後においては、21:51発の急行、22:00発のTJライナー、22:10発の急行と発車しており、無料の優等列車に限ると20分も運転間隔が空いていました。また、志木~川越市間の急行通過駅も列車間隔が15分空いていました。それらを是正するため、準急列車を増発したとみられます。
(3)日中時間帯 ダイヤ変更
日中時間帯の池袋~川越市間を走る準急2本が急行に変更となりました。
これにより急行は毎時4本→毎時6本に増となり、逆に準急は毎時4本→毎時2本へ減便となります。改正後のダイヤでは、急行は10分間隔で毎時6本、準急は30分間隔で毎時2本となっています。
急行が増発となり、池袋~川越市間を速く行き来できるようになったほか、ふじみ野で「急行」が「普通または準急」を追い抜かすダイヤとなり、ふじみ野で急行ー普通or準急を乗り継ぐことができるようになりました。
一方で、志木~川越間の急行通過駅(柳瀬川・みずほ台・鶴瀬・上福岡・新河岸)については、停車列車が毎時8本から毎時6本に減となりました。ただ、停車列車の運行間隔は概ね10分間隔と、改正前のダイヤと大差ないので、影響はそこまで大きくはないといえるでしょう。
狙いとしては、池袋~川越間の速達性を上げること、そして池袋~川越市間の片道の所要時間を縮めることで運用効率を上げることなどがあるとみられます。
(4)土休日早朝 種別変更
土休日早朝時間帯の副都心線・新横浜方面直通、森林公園発湘南台行き急行が快速急行に格上げされました。
改正前:急行 森林公園5:53発→川越6:19発→新横浜7:43着→湘南台8:20着
改正後:快速急行 森林公園6:02発→川越6:28発→新横浜7:43着→湘南台8:11着
改正前の列車は、東京メトロ副都心線と相鉄線内は「普通」として各駅に停車していましたが、改正後は東京メトロ副都心線内「急行」、相鉄線内「特急」としての運行となり、全区間で優等運転を行うこととなりました。
これにより、川越から新横浜への所要時間が9分短縮しました。8時前後に東海道新幹線に乗り、10時台に関西に行くくらいの時間帯であり、新幹線利用者を見込んでの変更とみられます。
〇まとめ
いかがでしたでしょうか。東武東上線での変更が大半を占めるダイヤ改正となりました。東上線では2022年のダイヤ改正で朝霞駅に急行が停車し、2023年のダイヤ改正で上板橋駅に準急が停車するようになったことも、急行や準急の利用者増加を後押しすることになったとみられ、それを受けて急行や準急の増発を基調としたダイヤ改正を行うという結果になったとみられます。
急行通過駅では減便となる駅もありますが、停車列車の運転間隔はあまり差がなく、速達化もあわせていい改正になるのではないかと思います。また、改正後のほうがパターン化されていて分かりやすくなっているのも良い点だと思います。
分かりやすく速達性が上がるダイヤで利用がどのように変わるのか、注目です。