徒然なるままに仙石線

このブログでは仙石線に関するあれこれを解説、考察などをして行きます。

マンガッタンライナーⅠ引退に寄せて

この記事が上がる頃にはマンガッタンライナーⅠのラストランも終わり,宮城野派出所に引き上げ運用を終了している事でしょう。2003年3月22日の特別快速うみかぜ5号で華々しくデビューを飾ったマンガッタンライナーⅠの歴史,そしてマンガッタンライナーⅠがいる日常も何もかもが間も無く終わろうとしています。今回は遂に引退を迎えたマンガッタンライナーⅠについて思いを馳せてみようと思います。

2003年3月22日の日

205系3100番代の8番目の編成が営業運転につくとなった時,通常仕様になるのかと思えば車体全体が石ノ森章太郎氏の作品のキャラクターで埋め尽くされた専用の車両であるマンガッタンライナーとして導入される事になりました。石巻方クハから「がんばれロボコン」,「秘密戦隊ゴレンジャー」,「仮面ライダー」,「サイボーグ009」で構成された編成で車両から見ても石ノ森ワールド全開で見る人を魅了する特徴を持ち合わせていました。運用開始前にはテレビでも取り上げられその存在感を見せた後2003年3月22日,10時07分の特別快速うみかぜ5号としてその歴史に幕を開けました。あおば通駅では出発式が盛大に行われ多くの一般客やコスプレをした人も乗り込み早速マンガッタンライナーⅠは大きな賑わいを見せました。車内放送も通常の肉声放送ではなくロボコンによる自動放送が流れ肉声放送は乗り換え列車放送時と緊急時を除いて原則しないという世界観に合わせた取り組みが行われ,この列車が普通の電車とは違う,特別な物であるという事が実感出来る物でした。その自動放送もただ単調な物というのでは無く松島海岸駅が近づくとロボコンが斎太郎節を歌い出したりするなど軽快で個性的な車内放送となっていました。運用半年も満たずして特別快速は廃止となったものの,ロボコンによる車内放送は残され引き続きその個性的な放送を聞く事が出来ました。特別快速うみかぜ5号が石巻駅に到着した時にはサイボーグ009,特に003に扮したスタッフや仮面ライダーアギトによる出迎えが盛大に行われ「萬画の国」への入国許可証と称した乗車証明証が乗客に配られるなど「萬画の国」としての石巻を象徴する存在へと一気に成長したのです。その後に快速うみかぜという名称が廃止になった後も仙石線のシンボルとして走り続けました。

時の流れとその思い

M8編成が在籍していた22年間と言うのは決して短く無いもので,登場から引退まで同じラッピングを纏い続けました。同一のラッピングをし続けていた年数ではJRグループ史上でも有数の長さを誇ります。活躍期間である22年間はヤテ25編成として山手線在籍時代よりも既に長く,仙石線の日常の1ページに溶け込んでいました。2008年には仙台・宮城デスティネーションキャンペーンに合わせてM2編成によるマンガッタンライナーがデビューしM8編成も続投し2編成体制のマンガッタンライナーとして石巻に彩を追加して行きました。しかし2011年には東日本大震災が発生,高城町で分断されてしまい一時はM8編成も石巻まで顔を見せる事は出来なくなってしまいました。しかし2013年にはキハ48による石巻線マンガッタンライナーが登場し仙石線のマンガッタンライナーが帰って来るまで石巻に彩を添え待ち続けました。2015年5月30日,仙石線全線復旧によりM8編成も石巻へ再び顔を見せるようになりかつての日常が戻って来ました。普通列車としての運用にはなったものの,変わらず専用運用は残され,乗車証明書も乗客に渡され続けました。

M8編成マンガッタンライナーⅠがE131系800番代が出場する前に消えてしまう理由として老朽化が限界を迎えたと言う事が大きく,山手線時代から使われ続けた車体と足回りに海風へ晒され続けたことによる塩害は勿論,103系から流用されていたSIVを使用していた事も大きいように思います。その事もあるのか,晩年はあまり運用に就かない日々も少なからず存在していました。しかしながらここまで長く走り続けられたのは多くの方々の苦労や努力,そして多くの人々の情熱があって2025年まで維持され続けて来ました。M8編成が消えた時,仙石線の象徴は1つ消えてしまいます。しかしM8編成マンガッタンライナーⅠが残した功績というのは仙石線にとっても,石巻市にとっても計り知れない物でありこの編成があってこそマンガッタンライナーが今に受け継がれ,石巻が「萬画の国」として知られるようになった功労者であることは紛れもない事実なのです。間もなく仙石線には205系3100番代の後継となるE131系800番代がやって来ますがマンガッタンライナーを纏う予定は未定となっています。しかしながらM8編成から続いたマンガッタンライナーの歴史は205系亡き後も今後とも続いていく事でしょう。そう,夢の広がる世界への案内人として…。

終わりに

22年前,特別快速うみかぜ5号に人々の夢を乗せて走り出したM8編成マンガッタンライナーⅠ。同編成は仙石線,石巻市に多大な功績を遺した名車だったといえましょう。M8編成が遺した石巻市の文化・未来が今後の未来へといつまでも受け継がれていく事を心より願いM8編成マンガッタンライナーⅠへを贈る言葉としたいと思います。

最後にM8編成,22年という長きに渡る活躍,本当にお疲れ様でした。