(2000年、私が黒野駅にて撮影しました)
このコーナーでは今まで乗車・撮影した列車・車両・塗色の中で、今では見られないモノを紹介いたします。
第104回目は、名古屋鉄道(名鉄)の岐阜地区600V線区の岐阜市内線と揖斐線で活躍していた、
モ510形電車です。
1926年、前身の美濃電気軌道により、セミボ510形として単行が5両製造されました。
美濃電気軌道は後に合併により名鉄となり、形式名もモ510形に変更されました。
半鋼製車で、前面の半円筒形や5枚窓、戸袋の丸窓など当時としては斬新なデザインでした。
足回りは吊り掛けモーターで、出力が低かったようです。
少し先輩のモ520形も類似の仕様でした。
車内はオールロングシートでしたが、
昭和40年代に開始された岐阜市内線と揖斐線の直通運転用急行車に抜擢された際、
モ510形全車とモ520形の一部を除く車両に対して
塗色のツートンカラー化と車内の転換クロスシート化が行われました。
その後は非冷房ながら直通急行の主力車両として活躍を続けていましたが、
1988年に光景のモ770形が導入されると、
モ510形3両を残して全車廃車されました。
末期はラッシュ時を中心に動態保存的に活躍していましたが、
1997年にモ780形が導入されると予備車へと格下げされ、
他形式の検査時の代走や団体列車・臨時列車で最後の活躍をしていました。
そして2005年の岐阜地区600V線区の全廃と同時に全車両が廃車となりました。
現在は何と5両中3両が静態保存され、他に1両が車体のみ残っています。
大正製の車両が80%も車体が生きていることに驚きですが、
それだけ皆に愛された車両である事の裏返しです。
私は岐阜市街で何度もモ510形を見て乗りたいな~と憧れながら乗れずじまいでしたが、
2000年に一度だけ乗車できました。夏だったので非冷房ゆえ暑かったですが、
その暑さが吹き飛ぶほど乗車できたことに感動していました。
テーマ:鉄道車両