NO.3197 多くの「唯一」な部分が見られています、松浦鉄道MR-500形気動車「レトロン」 | コウさんのコウ通大百科 PART3

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(平成24年1月〜平成30年3月の記事はPART2の内容です)

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 松浦鉄道(MR)西九州線と言いますと、最も運行されている姿を見る列車としまして、画像のMR-600形気動車があるのではないかと思います。

 

 MR-600形気動車と言いますと、現在松浦鉄道西九州線の主力車種として運行されている気動車でもありまして、「肥前WESTLINER」とも称されております気動車でありますが、上の画像1のMR-601がMR-602~MR604とともに平成18年に導入されております。

 

 さらに、平成19年にMR-605~MR-608、平成20年に青模様に変わりましてMR-609~MR-612、平成21年にMR-613(画像2)~MR-616、平成22年には赤模様に変わりましてMR-617~MR-619、そして最終導入車として、MR-620・MR-621(以下画像)が平成23年に導入されておりまして、現在黒・の3色のMR-600形気動車が有田~伊万里~松浦~たびら平戸口~佐々~佐世保間の西九州線全線で運行されるに至っております。

 

 また、唯一の存在としましてMR-400形気動車MR-401も存在しております。

 

 このMR-401は平成10年に導入された車でありまして、これまでのMR-100形・MR-200形・MR-300形各気動車は全長約16メートルであったのに対しまして、この気動車に関しましては全長約18メートルと約2メートル長くなっておりまして、製造しました新潟鐵工所(現・新潟トランシス)の標準的なシリーズであります「NDCシリーズ」の一つでもありましたので、それに基づいて製造されているためでもありまして、JR九州のキハ125形気動車、島原鉄道のキハ2500形気動車もこのシリーズでもあります。

 

 尚、このMR-401の塗装はMR-100形・MR-200形各気動車で採用されておりましたカラーを使用しておりまして、現在これら気動車がありませんので、この塗装では唯一の気動車となっているのが大きな特徴でもあります。

 

 

 そして、こちらも唯一存在している気動車としましてMR-500形気動車も存在しております。しかも、この気動車はまさに唯一の存在と呼ばれるものが見られておりますので、今回はそんなこの気動車に関しまして皆様にご紹介してまいります。

 

 

 このMR-500形気動車は、レトロ調の気動車と言う意味合いから、愛称は「レトロン」と呼ばれておりまして、MR-501のみ1両のみ存在しています。

 


 このMR-501は、MR-401が製造されました翌年の平成11年に旧新潟鐵工所(現・新潟トランジス)で製造された気動車でありまして、車体全長は18メートルと、機能はMR-401に準じております

 

 スタイルに関しましては、現在はJR九州キハ125形400番台気動車「海幸山幸」となっております、旧高千穂鉄道TR-400形気動車のようなスタイルとなっております、「NDCシリーズ」のレトロ版でもあるのが特徴でもありまして、車両全体が懐かしいレトロ調でまとめられております。

 

 (車内銘板)

 

 (車外銘板)

 


 さて、車体全体を紹介してまいりますが、車体からも一目昭和時代に製作されたのでは?と言う印象も出ておりますし、以下画像の側面にはクリームのツートンカラー、さらに緑の塗装の上に絵が描かれております。また、行先も方向幕ではなく、サボ式である所から、まさにレトロ車両らしい印象を得る事ができます。

 

 (側面の模様)~平成23年撮影

 

 (サボ式行先)

 

 このMR-501は、平成12年の日蘭交流400周年記念事業の一環として、日本宝くじ協会より寄贈されたものでもありました。そのため、車体には「寄贈 日本宝くじ協会」とも書いてありますし、そう言った事もありまして「宝くじ号」とも呼ばれております。

 

 またこの車には、レリーフがありまして、ここには帆船が描かれまして、さらに両端に竜みたいなのが描かれ、そして、「Nagasaki Sasebo Hirado」と書かれていて絵を見ても何となくユニークでもあります。

 

 (アップ)

 

 

 ここからは車内のご紹介です。車内は、以下のようにレトロ調になっている事もありまして、従来車に比べても薄暗くなっておりますし、この車両の電灯は、白熱電灯も使用されております。

 

 (平成23年撮影)~夜間時

 

 さらに、シートに関しましては全席転換のクロスシートになっているのが特徴でもありまして、こういった両側に座席が並びました装備はMRの気動車では唯一の装備となっておりますし、シートに関しましても分厚いシートになっているのがわかりますし、シートに座ってみましても意外とふかふかになっております。


 

 また、この車は松浦鉄道の車両の中では唯一トイレがついております。運行列車によりましては佐世保~伊万里間の長時間の運行もあるだけに、唯一の存在にはまさに意外でもありますが、メインの使用列車としましてこの車ではビール列車と言った団体列車で使用される場合もあるだけに、この列車のトイレの存在は大きいと言えましょうか。

 

 こちらはMR-501の運転席であります。やはり前導入車でありますMR-400形気動車MR-401とほぼ同様の運転席になっているのが特徴でもあります。尚、もちろんワンマンの装備は付いておりまして、ドアスイッチも中央部分に見る事ができております。

 

 また、この運転席の後ろ部分にはサボも置いてありまして、サボの数からも複数の系統がある事も伺わせます。このサボを見ましても、国鉄・JR松浦線時代の懐かしい姿を偲ばせる所ではありますが、そう言った所が未だに見られるのもいい所ではないかとも思います。

 

 そして、運転席の後ろには整理券発行機、ICカードのリーダー、上部には運賃表示器もも付いております。ちなみに、かつてのICカードは長崎スマートカードでありましたが、発売終了となっておりますので、現在は「nimoca」などの交通系ICカードを使用する事ができるようにもなっております。

 

 (チャージ機能付きの運賃箱)

 

 (運賃表示器)

 

 (「nimoca」ステッカー)

 

 

 そんなこの車ですが、導入当初の平成12年の1月~3月の間には以下画像のようにキハ58系気動車にも併結しながら長崎にも乗り入れておりました。
イメージ 11イメージ 12

 

 しかも、上の画像からもわかりますが、この併結列車は快速「シーサイドライナー」でありまして、当時1往復のみ存在しておりました、長崎~たびら平戸口間のJR~MR直通列車の中で運行されていたものでもあります。しかも、画像でもありますように、幌まで使用されている所を見ますと、通り抜けが可能であった事もわかります。

 

 

 さて、佐世保駅から2駅先の中佐世保駅まで乗車しておりました。ただ、中佐世保~佐世保中央間はわずか200メートルしか区間距離がありませんのでわずか3分で着く事ができましたが、わずか3分間でもめったに当たる事ができない「レトロン」の乗車ができただけでも良かったかなとも思う所ではあります。

 

 

 今回は、「レトロン」ことMR-500形気動車の「唯一」としての姿をご紹介しましたが、本当にこの気動車も座席が全席転換クロスシートや、トイレ付・行先はサボ式など「唯一」にふさわしい所が見られる事がお分かりいただけます。そんなこの列車も、過去に長崎駅まで運行されていた事や、キハ58系気動車とも併結されていた事もある列車でもある訳ですので「唯一」の中にもこれまでも見られていた事が分かるのではないでしょうか。現在は、MR線内各地定期列車・団体列車と運行されておりますが、これからも「唯一」の存在でもある分、沿線の方々のために運行していただきたいものであります。