わたかわ 鉄道&旅行ブログ

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【幻の特急】新型コロナ乗り越え…奇跡の復活を果たした臨時特急「御厨号」に乗車

 

2025年3月16日(日)

おはようございます。本日は静岡駅へとやってきました。

これから乗車するのは、1日限定で復活運行が行われる”幻の特急”です。

遡ること5年前、2020年3月。新型コロナウイルス感染症が日本国内でも猛威を振るい、陽性者が日に日に増していく様子が連日メディアで大きく取り上げられていた時代です。そんな混乱の中、ひっそりと東海道本線静岡地区に新駅「御厨(みくりや)駅」が開業しました。

開業後、2020年3月28日には沼津~御厨駅間を結ぶ1日限定の臨時特急「御厨」号の運行も計画されていましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で運行は取りやめに。またその他に予定されていたイベント等も相次いで中止を余儀なくされました。

しかし、開業5周年の節目となる2025年3月。16日の1日限定でこの特急「御厨」号が改めて運行されることが決定し、奇跡の復活を果たすことになったのです。

静岡駅の在来線下り発車標には、「臨時 8:36 御厨 2」の文字列。ここでは「特急」「御厨号」等の表記はなされていませんが、これが紛れもなく特急御厨号です。

まもなくすると、2番線に列車が入線。373系(3両編成)で、前面にはオリジナルデザインのヘッドマークもあしらわれています。

この日は朝から静岡地区の東海道本線でダイヤ乱れが発生しており、この臨時特急も定刻すぐには発車できない様子。車内に入り、発車の時を待ちたいと思います。

列車は全車指定席で、静岡~御厨駅間62.5kmはA特急料金が適用され1,730円となります。特急券の列車名の欄には、着駅と同じ「御厨」というシンプルな列車名がそのまま印字されています。

8時42分頃、定刻より6分ほど遅れて列車は静岡駅を発車。

この列車は静岡から御厨までノンストップとなっています。

…しかし、発車してまもなく静岡から2駅先の用宗駅で3分間ほど停車。後続の普通列車を先に通したりでもするのかと思い注意深く見ておりましたが、どうやらそういうわけでもないようです。

X上で調べてみると、どうもダイヤ乱れの都合で静岡駅にて乗車の間に合わなかった方がいらっしゃり、その方をここ用宗駅で拾うための臨時停車だったようです。用宗駅で拾えるということは、浜松方面からの上り普通列車に乗車されていたのでしょうか。

用宗を発車すると、大崩海岸のそばを通り列車は焼津・藤枝の市街へ。この辺りでは比較的順調に進んでいきます。

静岡駅構内にて、静岡のお茶を使ったお菓子を2つほど購入しておきましたのでここでいただきたいと思います。

東海道本線の静岡~名古屋駅間では、定期での昼行在来線特急の運行がありません。普通列車の車内だと飲食が躊躇われる場合も少なくないですが、特急列車の車内であればある程度許容されると認識するのが一般的です。「静岡地区の在来線車内で気兼ねなく飲食を行う」という貴重な経験ができる列車でもあります。

そして各駅を勢いよく通過する光景、これはなかなか迫力があります。

静岡地区の在来線はほとんどが普通列車(各駅停車)ですので、速達列車の待避を行う想定でダイヤが組まれているわけではありません。しかしそれによって普通列車の表定速度もなかなかに速いようで、この臨時特急列車が各駅をビュンビュン通過していても先行列車に追いついてノロノロ運転になるような瞬間はほとんどありませんでした。

大井川を越え、茶畑を望みつつ山がちな区間を走り抜けて列車は菊川方面へと進みます。18きっぷの旅などで普通列車の車内から見ることの多い景色ですが、本日は贅沢にも特急列車の車内から眺めることができています。

車内では乗車証明書も配られましたが、これは「乗車記念品」というよりも御厨駅到着後にもらえる「ノベルティステッカー」の引換券という意味のもののようです。

新幹線停車駅である掛川も、この列車は颯爽と通過。用宗での臨時停車を除き、途中駅での運転停車等は一切行わずに御厨まで走り抜けるようです。

またこの列車では、車内販売の実証実験も行われていました。決済方法はPayPay限定で、アテンダントの方が商品の見本とメニュー表、決済用QRコードのみを持って各席を回るスタイルです。決済を行うと上記のような紙を受け取ることができ、1号車に移動して実際の商品を受け取るというものでした。

せっかくなので「西浦みかん寿太郎100%ストレートジュース」(350円)を購入。御厨駅到着の間際でしたので列車内での開封は行いませんでしたが、後で別の列車の車内でいただいたところ大変濃厚で美味しいみかんジュースでした。

この車内販売システム、個人的にはかなり良いのではという気がしています。現金決済不可とすることで販売側は釣り銭の用意の必要もなく、また場合によっては一度に持ち運べる数以上の商品を販売することもできます。

なお373系には車端部にボックスシートもありますが、こちらは販売されておらず、地元のサッカーチーム「ジュビロ磐田」の記念撮影コーナー等として使用されておりました。

そして…9時31分、終点の御厨駅に到着!

遅れは回復したようで、ほぼ定刻での到着となりました。

御厨駅のホーム上には凄まじい数の人が集まっており、開業5周年を祝う人々で賑わっています。

御厨駅は2面2線の相対式ホーム構造の駅となっており、定期列車では当駅を始発・終着とするものは1本も存在しません。またこの373系は、後ほど新居町10時46分発の臨時快速「みくりや号」に充当される都合上、当駅で折り返すことはなくそのまま浜松方面へ回送されていきます。

次にこのホームを使用する列車は、9時41分発の普通列車 浜松行。それまでにはホームを空ける必要があり、373系は到着後数分で回送されていきました。

改めて、御厨駅開業5周年おめでとうございます!

私は2020年7月に一度来訪しておりますが、改めて駅の様子をあちこち見てみたいと思います。

改札口は橋上にあり、JR東海らしくしっかりと「JR全線きっぷうりば」(窓口)も設けられています。

駅の南北は自由通路で結ばれており、ちょうどこの通路が東海道本線だけでなくすぐ近くを走る東海道新幹線も跨ぐようにして設けられています。

まずは北口ですが、駅前には立派なロータリーがあります。ただしコンビニや商業施設等はほとんどなく、最寄りのコンビニ(ファミリーマート)までは約450mほど歩きます。

北口一帯にはヤマハ発動機NTNの工場・関連施設が広がっています。また隣接するようにジュビロ磐田の本拠地である「ヤマハスタジアム」やイオンタウン磐田などもあり、広大な敷地が活用されていることが分かります。なお駅前では「ブライトタウン御厨駅前」というマンションの建設も進められており、完成後は駅前のランドマークの一つになるかもしれません。

一方の南口は、閑静な住宅街が広がっている様子。こちらにもまたロータリーがあり、地元の方の利用も多そうです。

以上、今回は奇跡の復活を遂げた臨時特急「御厨号」のご紹介でした!

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。