ワンマン運転は危険?運転士目線で語るメリットとリスク

鉄道コム にほんブログ村 鉄道ブログへ

南武線のワンマン運転

2025年3月15日ダイヤ改正よりJR東日本では常磐緩行線、南武線でワンマン運転が始まりました。

今後は2025年度末に横浜線、2030年までに山手線や京浜東北線、中央・総武緩行線、埼京線など非常に混雑する路線でのワンマン運転が計画されています。

元運転士視点からわかりやすくワンマン運転のメリットやデメリット、私が考えるワンマン運転をおこなうことでの最悪なケースを説明していきたいと思います。

ファルコ

1970年生まれ。鉄道会社に入社し、駅員(1年)→車掌(3年)→運転士(30年)に従事。鉄道ファンだけでなく普段から電車を利用するすべての方が分かるような記事作りを心掛けています。

そもそもワンマン運転とは?

電車には基本的に前に運転士、後ろに車掌の2人が乗務しています。

この通常の状態はツーマン運転です。

運転士と車掌それぞれの役割については詳しくはこちら。

www.excellentitem.com

運転士が車掌の役割も兼ねて1人で乗務し、列車を運転することをワンマン運転といいます。

鉄道会社がワンマン運転を推進する理由

コスト削減

これがワンマン運転の一番の目的です。

単純に2人で運転していた列車を1人で運転できることになり、人件費を大幅に減らせるのです。

ただ、ワンマン運転をするためにはホームの設備や列車の設備を改良するなど初期投資がかかる場合があります。

鉄道の維持

日本では少子化で今後、人口がどんどん減っていくことが見込まれています。

このような状況の中、 維持費の高い鉄道は今のままでは維持していくことはできません。

ワンマン運転で維持費を減少させることで将来にわたって鉄道を維持していく、という大きな目的もあります。

ワンマン運転の導入路線

現在はつくばエクスプレスなどの新交通、丸ノ内線など地下鉄を中心にワンマン運転が導入されています。

これらは高架化や独立した地下を走り、踏切がないなどワンマン運転をするのにリスクがそこまで高くない路線で導入されているというのが現状です。

さらに運転士の負担増を軽減するために自動運転システムATOなどが導入されています。

しかし、今回ワンマン運転が開始された特に南武線では踏切が多く、ATOも導入されていません。

ですからワンマン運転にそぐわないのではないか?との意見も挙がっているのです。

電車運転士からみるワンマン運転のメリット

給料が上がる

鉄道会社によっても違いますが、私のいた会社では乗務手当は運転士の手当+車掌の手当 でした。

運転士や車掌の給料についてはこちら。

www.excellentitem.com

自分のペースで業務ができる

運転士と車掌のペースが同じならいいですが、2人いることで自分のペースを乱されることもあります。

ワンマン運転では1人なので自分のペースで確認や作業ができるというメリットがあります。

電車運転士からみるワンマン運転のデメリット

運転士の負担が増える

運転士は列車を運転している間はずっと集中しています。

駅に停車しているときにだけ唯一休めるといっても過言ではありません。

しかし、ワンマン運転ではお客さんの乗り降りの確認やドアの開閉は運転士がやらなくてはならず、休む暇がありません。

集中力が欠けてミスをするリスクはどうしても増えるでしょう。

ミスの確率が増える

例えばドアを開け忘れてお客さんを乗せずに駅を発車してしまったり、時間より早く発車してしまうようなミスは運転士、車掌がいることでどちらかが気づくことで防げます。

しかし、ワンマン運転では運転士1人が気づかないだけでそのような事象が発生してしまいます。

ドアの開閉の安全性が低下する

ワンマン運転のモニター

ワンマン運転では運転席にあるモニターを見ながらドアを閉める路線が多くなっています。

車掌もドアを閉めるときにモニターも使いますが、目視でも確認をおこなうので何か異常があったときに気づく可能性はワンマン運転よりは高いでしょう。

車内放送の頻度が下がる

ワンマンでは運転しながら車内放送をするのでどうしても必要最低限になります。

お客さんからすればサービス低下になるでしょう。

現場ではない司令室から遠隔で車内放送するシステムもあるようですが、トラブル時にたくさんの電車が止まってしまうような場面で果たして通用するのでしょうか。

運転士が考える一番怖いワンマン運転のリスク

私が一番怖いのは駅と駅の間で人身事故や異常の音を感知した場合です。

上述したようにワンマン運転では車内放送は必要最低限しかできません。

人身事故や異常な音を感知したときは運転士が線路に降り、点検をするのでその間は車内放送もできないのです。

首都圏では何千人ものお客さんを車内に放置させてしまうことになります。

このような場合にしびれを切らせたお客さんが線路に次々に降り、収拾がつかなく可能性があるのではないかと考えます。

このようなことが起きてしまうとさらに長時間の運転見合わせになりますし、最悪な場合、お客さんが他の列車にひかれてしまう可能性もあります。

ですから、首都圏のような混雑する路線でのワンマン運転は非常にリスクが高いことだと私は思います。

あとがき

今回は今後、推し進められていくであろうワンマン運転について説明させていただきました。

運転士の負担増によるミスの増加、車内放送が減ることでのサービス低下などデメリットが目立ちます。

さらに、混雑する路線のラッシュ時にお客さんを放置するような事象が発生した場合、どのようなことが起こるのか未知数ですし今から心配です。

今後も鉄道を維持していくためにワンマン運転化は必要だと思いますが、鉄道会社には安全対策をきちんとおこなった上で推し進めてほしいなと思います。