関東で出会った西のジョイフルトレイン あすか編 | あさかぜ1号 博多行
2025-03-20 07:54:20

関東で出会った西のジョイフルトレイン あすか編

テーマ:鉄活動日記 思い出編

前々回の記事で、1983年の登場以来42年になる現在もJR西日本に残るジョイフルトレイン「サロンカーなにわ」(以下「なにわ」と略します)を、同編成としては現状最後の関東への長距離運用の際に品川・根府川・湯河原の各駅で追っかけ撮影をした時の思い出を書きましたが、今回は「なにわ」と同じくJR西日本に所属していた和式客車「あすか」を関東で撮影した時の思い出を書きたいと思います。

「あすか」はJR西日本発足から間もない1987年秋に登場した車両で、前年暮れに山陰本線の餘部橋梁を走行中に強風にあおられて橋梁から転落し廃車となってしまった先代の和式客車「みやび」に代わる車両として12・14系客車を種車として登場しました。
7両編成のうち真ん中の4号車以外は社内が畳敷きのいわゆるお座敷客車でしたが、編成両端に展望室を設置したり4号車は床をかさ上げしたハイデッカー構造のイベント対応車とするなど、同時期に登場した各地のジョイフルトレインの影響を多分に受けた車両でした。車体の塗装もグレーをベースに白い雲や各車ごとに異なる色(4号車のイベント車は3色)に彩られた扇のデザインを施したものになっていました。
「あすか」は「なにわ」と同じ当時の宮原客車区(現在の網干総合車両所宮原支所)に配属され、「なにわ」同様関西を拠点にJR西日本エリアを中心に時折JR他社にも乗り入れて活躍しました。
1996年から97年にかけて内外装のリニューアルが行われ、他のジョイフルトレインが次々に引退していく中でも「なにわ」とともに活躍を続けていましたが、2018年3月には全車が廃車となっています。

「あすか」も、長らく生で見るチャンスに恵まれない車両でしたが、2008年8月に同編成が「コミケットトレイン」という列車名の団体臨時列車に充当されて上京してくることを知り、その列車の関西への帰り便を品川駅で撮影することにしました。
「コミケットトレイン」は、毎年夏と年末に東京ビッグサイトで開かれる「コミックマーケット」に関西など西日本から参加する人のために運転されていた団体臨時列車で、この時も当日(8月17日)閉幕したコミケに参加した人たちを乗せての運転でした。
当日21時~21時半頃(だったかな?)に品川駅へ行くと、臨時ホームの8番線にはすでに「あすか」が牽引機のEF66と連結した状態で停車していました。確か22時台後半だったと思われる品川駅の発車時刻からするとかなり早い入線でしたが、これはおそらく大きな荷物を持って乗車する参加者の荷物の搬入の弁を図ってのものだったのかもしれません。
おかげで発車時刻を気にすることなく「あすか」の各車両の外観写真を発車ホームの8番ホームや線路を挟んだ9番ホームからたっぷり撮影することができました。めったに関東に来ない客車なので私の他にも多くの撮影者がいましたが、停車時間に余裕があるためかあまり混雑している印象もなく、ゆったりと撮影できたのは幸いでした。
私は自宅へ帰る西武線の終電の時刻との兼ね合いで「あすか」の発車を見送ることなく帰路につきましたが、初めての「あすか」撮影は満足のいく記録を残すことができました。
「コミケットトレイン」はこの時の「あすか」を使用した列車が最後の設定となり、「あすか」の関東への遠征もおそらくこの時が最後になったのかもしれません。
そして私も「あすか」に再び出会う機会がないまま、先ほども書いた通り「あすか」は2018年に引退しました。
今にして思えば、翌日会社への出勤を控えた日曜夜にもかかわらず撮影に出かけてよかったと思いますし、ジョイフルトレイン好きだった私にとっては忘れられない思い出になりました。