初田牛駅は大正9年に開業した歴史のある駅である。

アイヌ語で「オ・ハッタラ・ウシ」(川の出口に深い淵のあるところ)という意味で

この駅の前に無線中継所の鉄塔があるだけで集落は1軒しかない。

しかも、道道1127号線と道道142号線が駅近くで合流しているが、まったく車が通らない。

 

もう20年以上も前のお話。

 

冬の根室本線に乗車をして

お隣の別当賀駅から歩いて初田牛駅を目指した。

初田牛駅はすでに平成の終わりに廃止された。

 

別当賀駅で途中下車したが誰もいない・・・

 

車道を歩くのはつまらないので線路沿いを歩こうと

雪を掻き分けているうちに林道に入ってしまった・・・。

ここから素直に戻ればよかったものの、どんどんはまってしまった。

林道をさまよい、シカ猟のライフルの音にビクビクしながら、

農道に出たのはなんと2時間半後。ここから駅まではさらに1時間を要した。

歩いている間に通った車は1台。

 

なんともこの北の大地は大きいことか。

 

駅のそばには雪よけシェルターがあり、

その手前のダートを300mほど歩いたところが初田牛の駅。

かっては集落があったらしいが今は寒々としている。

 

駅前から知床の山々が望めたのは意外だった。

こじんまりとした駅舎がなんともこの風景にマッチしている。

 

この突き当たりに見える小さな建物が初田牛駅

 

こじんまりとした駅待合室。駅ノートも何冊かあった。