阪神3000系の指定席車 | 京阪大津線の復興研究所

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「阪神指定席車の編成案」 はこちら

 

【注】 granxaft1972さんから、【速報】の記事に貴重なコメントを頂戴し、私に欠けていた視点を補っていただきました。これを受けて、本文の最後に【追記】 を加えています。

 

 

以前、【速報】でお伝えしたように、阪神が2027年春に3000系車両を導入し、6両編成中の1両を用いて座席指定サービスを開始するとの発表がありました。ただ、詳細が不明なため、内容をめぐってさまざまな観測が飛び交っています。

まず料金ですが、例えば阪急京都本線のプライベースは、最大運賃410円に対して一律500円です。京阪のプレミアムカーは34.0kmまで400円・34.1km以上が500円、運賃は京橋ー祇園四条間420円・淀屋橋ー祇園四条間430円・淀屋橋ー出町柳間490円(10月の値上げ後は480円・490円・550円)です。

対して、阪神の本線は総延長32.1km、運賃は330円です。着席需要が大きいラッシュ時を除けば、500円は相対的に高すぎる感があり、京阪と同じく400円に抑えるのが現実的です。もっとも、阪急傘下に入った今、阪神が遠慮する可能性もなくはありません。

 

ただ、総延長32.3km、運賃が阪神と同額の阪急神戸本線にも指定車を導入する場合、京都ほど観光客が多くないことなどを考え合わせれば、やはりこちらも料金は400円程度が妥当です。線区によって差をつけるのは阪急の最も嫌うところですが、ならば逆に京都本線の同距離帯の料金を100円下げるのも一考でしょう。

 

例えば京都本線の長岡天神ー京都河原町間は13.6km、運賃240円であり、倍額以上の指定席料金を支払う乗客は限定的と考えられます。京阪同様、34.0kmまでの料金を400円に抑えたほうが総収入は増える可能性が高く、一方で長岡天神ー大阪梅田間は奇しくも34.1kmなので、引き続き500円を徴収できます。

話を阪神に戻すと、次の論点は座席ですが、3000系には近鉄のL/Cカーにならったデュアルシートが導入されるのではないかとの見方があります。その場合、自由席車5両だけでなく、残る1両もロングシートに切り替えられるので、混雑に対処しやすくなります。

近鉄5820系のデュアルシート
近鉄5820系のデュアルシート

しかし、これはラッシュ時の指定席需要を手放すことを意味します。さらに、クロスシートに切り替えたところで、平日の昼間時や土休日において、料金を徴収するに値するでしょうか。

 

それに、神戸三宮~尼崎~大阪難波間には、すでに近鉄のL/Cカーが乗り入れています。「こっちは無料、そっちは有料」では乗客が納得しないでしょう。よって【速報】で述べた通り、阪神3000系の指定席車は、京阪や阪急に準じた横三列のリクライニングシートを備える公算が大です。

京阪プレミアムカーの車内
京阪プレミアムカーの車内

ただし、この場合も近鉄への直通には困難が伴います。「横三列」は近鉄特急のデラックスシート並みであり、阪神線内でそれが400円程度なら、料金の違いがあまりにも鮮明になるからです。折衷策として横四列のリクライニングシートにするなら、近鉄線内でも通常価格の特急料金に収まるでしょうが、自由席車との併結を近鉄が認めるかどうかは不透明です。

最後に運用ですが、上記の通り近鉄への乗り入れは難しいでしょう。ただ、ある程度の距離を走らなければ座席指定車の需要は発生しません。よって、将来的には山陽電鉄と共同運行する直通特急に導入する可能性が高いと思われます。

 

並走するJRの新快速に速達性で歯が立たなくても、私鉄としては相当な距離(91.8km)を走破するのが直通特急なので、それなりの指定席需要は期待できるでしょう。もっとも、2027年春の時点で、すぐにそれが実現するとは思えないのも確かです。

これに関しては、せき のりかずさんが「山電側が何も言っていないことから鑑みると直特への導入では無さそうだし(それに導入初期の少数のタイミングで直特に入れてしまうと接触機会が激減してしまう)、朝の区間特急で途中駅乗車客相手とかですかね…」と述べておられます。的確なご意見だと申し上げるべきでしょう。

ちなみに、昼間時は当面、すべて阪神車で賄われている大阪梅田ー須磨浦公園間の特急運用に就けるのが妥当と思われます。ただ、現在のダイヤを前提とすれば、予備を除いても5本の3000系が必要です。当初は1編成しか導入されないので、ただちにこの運用を満たすには至りません。

 

ましてや、直通特急に指定席車を充当するとなれば、阪神側だけの対処では限界があります。同種の車両の導入を、山陽電鉄側にも要望することが不可欠です。

 

【追記】 

阪神の現有車両のうち、近鉄直通に対応しているのは1000系と9000系ですが、比較的運用に余裕があるようで、山陽直通や自社内完結の列車にも用いられています。このうち、1000系の6両編成は電動車と付随車の比率が1:1です。よって、一部の編成から中間付随車の1301形を抜き取れば、指定席車を新造して差し替えることができます。

 

阪急が暫定的に、2300系の「プライベース」を9300系に組み込んでいるのと同じ手法です。ただ、直通特急への導入を想定するなら、阪神の場合は恒久的な処置としてそれを行うのが良いでしょう。弾き出された1301形は電装化し、3000系の第2編成以降に編入するのが妥当です。

 

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