(写真の車両は智頭駅にて撮影)
今回の【駅】シリーズは、
鳥取県南東部、鳥取市南端付近の山間部に位置する因美線の駅で、北側には田園風景が広がっている難読駅、
因幡社駅 (いなばやしろえき。Inaba-Yashiro Station) です。
駅名
因幡社駅 (駅番号なし)
所在地
鳥取県鳥取市 (旧・八頭郡用瀬町)
乗車可能路線
JR西日本:因美線
隣の駅
鳥取方………用瀬駅
東津山方……智頭駅
訪問・撮影時
2022年10月
駅概要
駅形態……………地平駅(1923年開業)。
駅舎………………○(開業時からの木造駅舎が現役です)。
出入口……………東側のみ。西からは約580m北or約250m南の踏切を渡って東側へ。
バリアフリー……×(駅外からホームまでは段差がありませんが、
車両(キハ40系など)にステップがあるため非対応)。
点字ブロック……ホームのみに設置。
駅前広場…………△(自動車での送迎可能。
最寄りのバス停留所は約100m南東の国道53号線沿い)。
駅舎です。南西を望む。
因美線と並走している国道53号線から西へ40mほど入った場所に因幡社駅があります。
1923年(大正12年)の開業時以来の木造駅舎をリニューアルしながら現在も使用し続けています。
なので築100年の古さはあまり感じません。
出入口に段差は無く、ホームまでも段差なく移動できるので、駅としては車いす対応になっていますが、
運用車両が低床ホーム対応のステップ付きで、しかもホームを除き点字ブロックが未整備のため、
因幡社駅はバリアフリー非対応です。
また、駅舎の手前には気持ち程度の駅前広場があり、乗用車の送迎・転回が可能ですが、駅前に乗り入れるバス路線はありません。
右側には屋根付きの無量義経があります。
駅前です。北東を望む。
前方へ駅前通りが延びていますが、すぐ先で左右方向に延びる国道53号線に突き当たります。
突き当たりを右へ曲がると路線バスの停留所があります。
駅前は駅前通り沿いや国道53号沿いに小さな集落が形成されていて、商店が点在しています。
駅前交差点より北西を望む。左手に因幡社駅があります。
社地区の中心部は約400m北(奥)にあり、奥に延びる国道53号の右側を並行して流れる千代川の両岸に集落が形成されています。
また駅北側は比較的開けていて、田園風景が広がっています。
駅前交差点より南東を望む。右手に因幡社駅があります。
こちらは写真右前方の線路西側に小さな集落はありますが、基本的に南下するごとに谷が狭くなり、民家が減少して千代川の渓谷へと入っていきます。その渓谷を越えると智頭町に変わります。
一方、駅裏の西側は南寄りに前述の小さな集落があるものの、駅前まで山林が迫っています。
しかし北へ進むと線路西側に社地区の田園地帯が広がっています。
駅舎内です。上写真は南西を、下写真は南東を望む。
駅員配置………なし(無人駅。1970年簡易委託駅化→その後無人化)。
自動改札機……なし(そのまま列車に乗車して下さい)。
ICカード………利用不可(エリア外。
もしICエリア内から乗り越しの場合は全区間現金精算になります)。
幅広通路………○(駅構内は車いす通行可能。但し車両が非対応。
車いすでご利用の場合は事前にJR西日本へ連絡を。
点字ブロックはホームのみに設置)。
窓口……………なし(窓口自体は残っていますが、無人駅のため非営業)。
自動券売機……なし(きっぷ不所持で乗車の場合は車内で整理券を取り、
下車駅で支払います)。
自動精算機……なし(車内精算です。乗り越しの場合は事前に乗務員へ申し出て下さい)。
トイレ…………なし(閉鎖されました。訪問前に車内で済ませておいて下さい)。
駅舎内設備……ベンチ・運行情報案内(音声案内・モニター)。
売店……………なし(駅近くに飲料自動販売機があります)。
コンビニ………なし。
ホーム側にあった改札ラッチは撤去されていて、車いすも通行可能になっています(但し車両側が非対応)。
窓口は簡易委託駅時代まで使用されていたと思われますが、もうこの窓口が開くことはないでしょうね……。
窓口の左側の扉は駅事務室への出入口でしょうか?
また、冬期は降雪・積雪に見舞われるため、駅外側・ホーム側とも出入口には扉が設置されています。
そして、駅舎を通り抜けると、段差なくホームに到達します。
ホーム側より駅舎方を望む。
中央の柵が撤去され、通路が広くなっています。出入口の両側には新たに柵が設けられています。
また、出入口の右手前にはきっぷ回収箱(集札箱)があります。
建植式駅名標です。非電照式ですが、反射材が使用されています。
JR西日本の標準デザインで、下部は因美線のラインカラーであるブラウンが使用されています。
このラインカラーが入った駅名標が使用されているのは、鳥取~智頭のみで、智頭駅より南の区間はJR西日本のコーポレートカラーである青色のままです。逆に駅名標がラインカラー仕様に変更された駅・区間は、駅名標の更新に投資をしていることから、しばらく安泰であるとも言えます。
尚、因美線に駅ナンバリングは導入されていません。
建植式駅名標の隣には縦型の駅名標もあります。
こちらも因美線のラインカラー(茶色)が使用されています。
駅構造……地平駅。北西~南東方向。
配線………単式ホーム1面1線(棒線駅)。
のりば番号は付けられておらず、下り智頭・東津山・津山方面ならびに智頭急行線方面、上り郡家・鳥取方面とも同じホームから発車しますので、乗り間違えないよう注意が必要です。
ホーム有効長……5両分。
ホームドア………なし。
ホーム幅…………全体的に狭いです。
上屋(屋根)………なし(駅舎の庇は線路際まで届いていません)。
ホーム上設備……ベンチすらありません(ベンチは駅舎内のものをご利用下さい)。
ホーム中ほどに面して駅舎があり、その向こう側には便所跡があります。
写真は鳥取方を望む。
便所跡です。鳥取方を望む。
マナー違反が後を絶たなかったのか、近年になって閉鎖されたと思われます。
おそらく男女共用の汲取り式でしょう。
智頭方・東津山方を望む。駅舎手前に便所跡があります。
また、現在は1面1線のみ使用ですが、かつては右側にも線路とホームがあり、相対式ホーム2面2線でした。
レールは撤去されましたが、ホーム跡は残っています。
写真は鳥取方を望む。
そして、ホーム東津山方の東側(駅舎側)には、貨物側線や貨物設備が存在していた可能性があります。
草に埋もれて分かりづらいですが…。
鳥取方を望む。
鳥取方を望む。
前方で不自然なカーブを描いていますが、これは2面2線時代に両開き分岐器があった名残です。
この先、社地区の田園風景の中を右へカーブしながら走り、今度は国道53号と並走状態で狭くなった千代川の谷に広がる山あいの田園地帯の中を北上します。そして国道が離れ、右へカーブして千代川を渡ると右手に用瀬の市街地を見ながら北西へ走り、用瀬駅へと至ります。
智頭方・東津山方を望む。
こちらも前方で両開きポイントの跡を通るため、不自然にカーブしています。
この先、左側を流れる千代川の谷が次第に狭くなり、国道53号とも並行して険しい山間部をしばらく南東へ走ると智頭町に変わります。その後は千代川を2度渡り(2つの橋梁の間の山地はトンネルで通過)、谷が少し広がると山あいの田園風景を見ながら南下しますが、なかなか谷が完全には開きません。しばらくすると、ようやく谷が大きく開き、智頭の市街地に入ると智頭駅へと至ります。因美線は智頭駅を境に系統が分断されており、東津山方面は乗換となります。また、智頭急行智頭線が分岐しており、特急『スーパーはくと』『スーパーいなば』は因美線から智頭急行線へ直通します(一部の普通列車も直通運転)。
あとがき
下車(乗車)時・・・ありません(2022年に自動車で訪問しました)。
鳥取方面へ自動車で移動した際に立ち寄りました。単式ホーム1面1線の棒線駅ですが、かつては相対式ホーム2面2線でした。特急が頻繁に走るので復活させないのか?と思ってしましました。東側に古い木造駅舎があります。駅は社地区の南端部で住宅が少ないです。社地区の中心部は北へ400mほどの場所です。
鉄路のみでのアクセス(ルートは一例です)
東京から・・・当日到達可能、日帰り往復可能。
東海道山陽新幹線(姫路)山陽線→智頭急行線の特急『スーパーはくと』
(智頭)因美線の鳥取方面行き普通。
大阪から・・・当日到達可能、日帰り往復可能。
山陽線→智頭急行線の特急『スーパーはくと』(智頭)因美線普通。
食料・飲料 (500m以内)
コンビニ・・・・・・なし (1km圏内に店舗はありません)
飲食チェーン店・・・なし (1km圏内に店舗はありません)
特に東京からの到達難易度が高いですが、因美線を乗り鉄の際は、ぜひ一度は因幡社駅でも途中下車してみて下さい!
(参考:地理院地図、Google地図、Wikipedia)