e-wingの運行開始当時は3月25日から開催された愛知万博や中部国際空港の観光地としてのポテンシャルの高さが注目されました。中部国際空港への空港バスは地元では名鉄バスや知多バスのほか遠方からは静鉄ジャストラインや富士急バス、信南交通や川中島バスも中部国際空港の開業と愛知万博の開催を新規需要掘り起こしの格好の機会と捉えて一斉に運行を開始しました。
遠州鉄道では2004年1月より同社運輸事業部内においで空港直行バスの検討を開始。空港規模や経路、鉄道利用時との比較検討を行った結果、2004年5月には若手を中心に、運輸事業部・営業所(輸送の現場)・遠鉄トラベル(旅行代理店)の若手社員を中心とした10名のプロジェクトチームを結成します。名古屋空港や空港直行バスの利用実態調査や大手企業・広告代理店などへのアンケート結果をベースに綿密なマーケットリサーチ及び需要予測を行った上で正式に事業化が決定しました。
開業前にはまだ“e-wing"の名称は無くネーミングは公募により選定、3573通の応募から決定した
開業時は浜松駅・ホテルコンコルド浜松・ヤマハ前・本田技研・浜松西インター駐車場・東名三ヶ日・中部国際空港にバス停を設置し、上り1・2便、下り11・12便は磐田駅前まで運行していました。運賃は東名三ヶ日は2,500円、浜松西インター・本田技研は2,800円、ヤマハ前・ホテルコンコルド浜松・浜松駅は3,000円、磐田駅前は3,200円でした。予約はフリーダイヤルの電話と当時まだ普及し始めたネット予約も対応、盤石の体制を敷き運行を開始しました。
浜松駅から中部国際空港まで3,000円(当時)と云う価格は新幹線利用時の5,500円(当時)より価格・所要時間・乗り換えの手間などを考慮してもe-wingに軍配が上がります。
結果、2月17日の開業から3月末までの利用者は延べ3万8千人。これは同社の損益分岐点のおよそ3倍を超える利用者を叩き出します。その後も利用者は堅調に推移し同年6月(開業4ヶ月)には早くも利用者10万人に到達しました。
万博特需に沸いた2005年も中盤を迎えて開業特需から恒常的な利用者の確保に軸足を置く事業者の台頭が目立つようになります。
長野方面(長野・松本・岡谷)から運行していた川中島バス・松本電鉄・諏訪バスは2006年4月〜2008年10月にかけて段階的に廃止、沼津・新富士駅から運行していた富士急バスは2006年9月に廃止、静岡・清水から運行していた静鉄ジャストラインは2012年3月に廃止となり、既に高速バス・空港バスを運行していた事業者も数多く撤退しています。
2005年9月1日改正
e-wingパンフレット
堅調な利用者を受け、遠州鉄道は2005年9月1日には一挙に30分ヘッド運転に増便、磐田方面便は磐田営業所発着として磐田インター駐車場バス停(遠鉄バス磐田市立病院福田線:美登里町上バス停に隣接)を設置します。磐田駅バス停はこの時廃止されました。
浜松駅方面行きはこの時、高丘駐車場バス停(遠鉄バス高台線:開成中学入口バス停に隣接)を設置します。
ダイエーが開業した“ハイパー高丘“が2004年に閉店して、その第三駐車場を駐車場としました。