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【20100形第4編成 単体】
▲「試運転」表示で第4編成の「試運転」専用ヘッドマークを掲出する20100形第4編成(モハ20107‐クハ20108)。
東武鉄道伊勢崎線・営団地下鉄(現東京メトロ)日比谷線直通用20000系20000型・20050型のそれぞれ中間車を譲受した20100形。第4編成のモハ20107の種車は20050型モハ25850形25856号車,クハ20108の種車は20000型モハ26800形26804号車です。
今までSNSでしか見た事がなかったこの姿を実際目の当たりにして,感動と興奮そして嬉しさが入り混じった気持ちで撮影を行いました。
▲「試運転」専用ヘッドマークを掲出した20100形モハ20107を面縦で撮影。
▲司会進行を行う上高地線の社員さんからこれも取付けましょうかとの嬉しいお言葉があり,参加者からお願いしますとの返答を受けて20100形モハ20107に「試」の円板を取付けます。
▲「試運転」表示でモハ20107専用の試運転ヘッドマークとその横に「試」の円板が掲出された20100形モハ20107‐クハ20108。
アルピコ交通上高地線の撮影会に参加するのは今回で3回目ですが,いつも予想を遥かに上回る(いい意味で想像以上の斜め上を行く)内容で参加して良かったと思っています。
▲「試運転」・「ご乗車できません」を交互に表示する20100形第4編成(モハ20107‐クハ20108)。
20100形はアルピコ交通上高地線初のVVVFインバータ制御車で,モハ20100形に東洋電機製の耐寒・耐雪仕様の制御装置(IGBT素子使用)で,回生・発電ブレーキ付きの制御装置を搭載。主電動機は種車のものを継続使用しています。屋上に霜取り用パンタグラフを搭載。
台車はアルピコ交通上高地線初のボルスタレス台車でモハ20100形は種車のSS133形・クハ20100形は種車のSS107形です。
▲20100形第4編成モハ20107側からの撮影が終わるとクハ20108側からの撮影となり,先ずはモハ20107と同じく「ALPICO」表示からの撮影です。
クハ20100形は床下に電動空気圧縮機や補助電源用の静止形インバータ装置(東洋電機製の新規換装品)などを装備します。屋上に集電装置を離線対策として2基搭載しています。
集電装置は霜取り用パンタグラフも含め,アルピコ交通上高地線初のシングルアーム式パンタグラフです。クハ20100形の車体側面に車外スピーカーを新たに取付を行っています。
▲20100形第4編成クハ20108の前面に第4編成専用の「試運転」ヘッドマークを取付けるアルピコ交通上高地線の社員さん。ヘッドマークの汚れを払ってくれています。その気配り・心遣いに改めて感謝です。
▲クハ20108用「試運転」ヘッドマーク掲出,「試運転」表示の20100形第4編成。
第4編成となる種車は令和6年6月に京王重機整備に搬入され改造工事や機器の換装や点検・整備等を実施。同年12月に20100形の最終編成としてアルピコ交通上高地線新村車両所へ搬入されました。内装はこれまでの編成と異なり化粧板は木目調となっています。外装は撮影会時点では未定でした。その後,令和7年3月3日(月)に車両譲渡元である東武鉄道株式会社とコラボレーションした「TOBU×ALPICOコラボトレイン」として2025年3月23日(日)より運行を開始すると発表がありました。外観は東武鉄道の車両をイメージしたえんじ色が施されます。
▲「ご乗車できません」を表示する20100形第4編成(クハ20108‐モハ20107)。「回送」・「試運転」表示の際に交互に表示される「ご乗車できません」を見る機会は少ないと思われます。
20100形の側面は種車の東武20000系の面影がありますが,正面は元の鋼体などの構造を生かしつつ窓の大きい開放感のあるデザインとなっています。運転台は改造工事途中に実際の乗務員に模擬設置した運転席に座ってもらい、視認性の確認や機器の操作性について意見を反映し設計されています。
▲撮影会も終盤となり「試験車」と書かれた縦長マークが掲出された20100形第4編成(クハ20108‐モハ20107)。「試験車」の縦長マークを掲出するとは思わず,驚きと興奮を覚えながら撮影を行いました。
▲「試験車」の縦長マーク・クハ20108用「試運転」ヘッドマーク掲出中のクハ20108も面縦で撮影。
撮影会の最後に車両間近まで行ける自由撮影が約10分取られたので台車や床下機器を撮影。
写真はモハ20107が装備する東洋電機製のVVVFインバータ制御装置(新規換装品)。性能的にはJR東日本E129系や長野県内のしなの鉄道の新型車両SR1系とほぼ同じです。
▲クハ20100形20108の妻面に取付られているアルナ工機の製造銘板。ピントが甘いですが。
こちらも車両の間近まで行けた時に撮影。
【フォトラン】
▲新村車両所を出発,松本駅へ向かう20100形第4編成(モハ20107‐クハ20108),「試運転」(334列車 新村駅→松本駅)。フォトランも兼ねた車両や機器の性能確認などを行う試運転列車です。
待ちに待った無塗装車両の本線走行の撮影。大阪在住なので無塗装車両が本線を走る姿を撮影出来る機会は無いのかなと思っていたので,撮影できる喜びを噛み締めていました。
上高地線北新・松本大学前駅‐下新駅にて
▲20100形第4編成(クハ20108‐モハ20107),「試運転」(334列車 新村駅→松本駅)。後追いも撮影。ファインダーを覗いているとこの姿が見えた時ビックリ。まさか撮影会で掲出された「試験車」縦長板を取付けたまま走行するとは思ってもいませんでした。
上高地線北新・松本大学前駅‐下新駅にて
▲20100形第4編成(クハ20108‐モハ20107),「試運転」(333列車 松本駅→新島々駅)
反対側の運転台でも同様の試験を松本駅から新島々駅まで実施していると思われます。
「試運転」と「ご乗車できません」を一定間隔での交互表示で,撮影場所は「ご乗車できません」表示でした。個人的には「試運転」表示を期待していたのですが,こればかりはタイミングなので仕方ないですが,少し残念な気持ちでした。
写真に写っている白いラインは飛行機雲です。上高地線下新駅‐北新・松本大学前駅にて
▲20100形第4編成(モハ20107‐クハ20108),「試運転」(333列車 松本駅→新島々駅)後追いでモハ20107側も撮影するもこちら側も「ご乗車できません」表示で少々ガッカリ。
上高地線下新駅‐北新・松本大学前駅にて
▲20100形第4編成(モハ20107‐クハ20108),「試運転」(336列車 新島々駅→信濃荒井駅)。信濃荒井駅へ向け定期列車の合間を縫うように走る試運転列車。
営業運転開始に向け,VVVFインバータ制御装置やブレーキ性能などの確認が入念に行われています。
新島々駅から信濃荒井駅へ向かう「試運転」列車もモハ20107側は「ご乗車できません」表示でした。上高地線下新駅‐大庭駅にて
▲20100形第4編成(クハ20108‐モハ20107)(336列車 新島々駅→信濃荒井駅)。
既存の3000形置換として令和3年度から各年度1編成ずつ導入されてきた20100形も最終増備となる第4編成が搬入されたことで予定通り全4編成が出揃いました。
クハ20108も「ご乗車できません」表示だろうと思ながら後追いも撮影しましたが,「試運転」表示だったので嬉しくなりました。上高地線下新駅‐大庭駅にて
▲信濃荒井駅で折返した20100形第4編成(クハ20108‐モハ20107),「試運転」(335列車 信濃荒井駅→新村駅)が新村駅へ向け上高地線を快走します。
フォトランを兼ねたこの日の試運転の最後の表示はまさかの「地下鉄線直通!!
「試運転」表示で先頭に立つクハ20108をやっと撮影できるかもと思っていましたが,フォトランの最後に相応しいかなと思いました。上高地線下新駅‐大庭駅にて
▲「地下鉄線直通」表示の20100形第4編成(モハ20107‐クハ20108),「試運転」(335列車 信濃荒井駅→新村駅)。新村車両所建屋に入庫後,試運転の後の確認や調整が行われていました。上高地線下新駅‐大庭駅にて
【試運転ヘッドマーク】
▲「試」円板と「試運転」特製ヘッドマーク。特製ヘッドマークはかつての東武特急5700系「猫ひげ」風デザインです。
▲縦長の「試験車」板と20100形第4編成専用「試運転」特製ヘッドマーク。第4編成の車掌台側には20100形の種車となった東武20000系・20050型のイラストが描かれた特製副標も掲出され撮影会・フォトランに花を添えていました。イラストはクハ20108は20000系・20050型を改造した20400系,モハ20107は20000系・20050型です。東武への敬意を感じました。
▲20100形第3編成『2代目なぎさTRAIN』モハ20105に掲出された「試運転」特製ヘッドマーク。第4編成と同じデザインで色違いです。
▲20100形第1編成モハ20101に掲出されていた「試運転」ヘッドマーク。20100形第1編成導入時や3000形を用いた試運転列車などで使用されているオーソドックスなヘッドマーク。
【試運転サボ】
▲20100形第4編成の側面乗降扉横のサボ受けには「試運転」用東武鉄道風の特製サボが掲出されていました。写真はクハ20108のもので,モハ20107も同じデザインのサボが掲出されていました。特製ヘッドマークも含めグッズとして販売して欲しいと願っています。
サボ受けは第2編成から設置されています。
【東武鉄道の名残】
▲20100形第4編成クハ20108の運転台直後の乗降扉横の戸袋部分に種車の車両番号ステッカーを剥がした跡。この場所に新たにアルピコ交通上高地線20100形第4編成クハ20108としての車両番号ステッカーが貼られます。
乗降扉窓ガラスには東武鉄道時代の乗降扉注意喚起ステッカーが残存。営業運転開始までに同じデザインを再現して新たに張付けられます。
各乗降扉横にはNKKスイッチズ製の半自動スイッチ(ユニバーサルデザインスイッチTB01シリーズ)を搭載しています。
▲20100形第4編成クハ20108の車端側乗降扉横の戸袋部分の左側は東武鉄道のCIロゴを剥がした跡が,右側は号車ステッカー跡がそれぞれ残ります。CIロゴは社章を剥がして張替えたため,中央に薄く社章の丸い跡が残っています。
第4編成は「TOBU×ALPICOコラボトレイン」として外観は東武鉄道の車両をイメージしたえんじ色が施されるため,CIロゴ跡部分に「ALPICO」ロゴが配されます。
【回送列車】
▲20100形第1編成(クハ20102‐モハ20101),「回送」(307列車 新村駅→新島々駅)。撮影会を終え再び運用に就くため新村車両所から新島々駅へ回送されます。
新島々駅到着後,3000形モハ10形リバイバルカラー(モハ3003‐クハ3004)と交替し運用に就きました。
【種車の東武鉄道20000系】
▲20100形の種車となった東武伊勢崎線・帝都高速度交通営団(現東京メトロ)日比谷線直通用20000系電車。写真の21804編成は奇しくも今回の第4編成クハ20108の種車となったモハ26800形26804号車(前から6両目に連結)が連結されています。またモハ24800形24804号車(前から4両目)は20100形第3編成『2代目なぎさTRAIN』クハ20106の種車です。
平成20年10月26日東武伊勢崎線越谷駅にて
最後になりましたが,今回の素敵な撮影会・フォトランを開催していただいたアルピコ交通上高地線社員の皆様,ローソントラベルの皆様には大変お世話になりました。
20100形無塗装の撮影会は第2編成導入時の令和5年3月に開催されましたが,その時はタイミングが合わず,もう20100形無塗装編成の撮影会は無いかなと半ば諦めていたので,今回の撮影会を知った時は嬉しく直ぐに申し込みました。お陰様で念願だった無塗装車両の撮影会に参加出来ると同時に,本線走行を撮影する事が出来ました。
この場をお借りし改めて厚くお礼申し上げます。
【参考文献・資料】
「鉄道ファン 2022年6月号」(No.734 交友社)
「アルピコ交通」
【鉄道】20100形第4編成「TOBU×ALPICOコラボトレイン」の運行開始について | アルピコ交通株式会社
「市民タイムズ」
新車両えんじ色のライン 上高地線で23日から運行 長野県松本市(市民タイムスWEB) - Yahoo!ニュース
「東洋経済オンライン」
信州・上高地線、22年ぶり新車で描く「復旧後」の道 元東武電車を大改造「顔」はオリジナルデザイン | ローカル線・公共交通 | 東洋経済オンライン
「鉄道ホビダス」
2両で3パンタ! アルピコ交通新型車両20100形、営業デビュー! | 鉄道ホビダス
「京王重機整備」
「東洋電機」
https://www.toyodenki.co.jp/technical-report/pdf/giho146/p21-23_146.pdf
「NKKスイッチズ」