2025年3月8日~3月30日 博多座・花組公演
昨年は宙組の一件で博多座での宝塚の公演がなく、2023年の星組公演以来になります。しかし演目が発表になったときに「なぜにこの芝居が?」と思いました。初演でもさほど評判は良くなかったし、私も見ましたが全く面白いとは思えず、併演の謝演出のショーもトンチキだったし・・・。初演の頃には既に正塚氏の作品には精彩はなかったし、最近は新作が書けないのか再演ばかりですしね。
なので前売りが開始になってもチケットは完売せず、しばらくは初日や千秋楽もあったし、今でも平日だと残っている様子。これはこの演目だからなのか、前トップの人気がありすぎたからか???
なのにチケットぴあの先行で申し込んだら、1階最後列ってどうよ・・・。
3月12日11時公演、1階V列で観劇。
※ネタバレ注意。
●ミュージカル「マジシャンの憂鬱」 作・演出/正塚晴彦
2007年に瀬奈じゅんを中心とした月組で初演され好評を博した作品を、永久輝せあを中心とした花組により博多座にて上演致します。 多彩な登場人物達によるウィットに富んだ台詞を織り込み、サスペンス的要素を交えながらも軽妙なタッチで描き上げたミュージカル作品。
もう正塚、大野作品は眠気との闘いです(笑)。途中から長台詞の応酬にはやはりウトウト来たし、初演でも思ったのですが、タネのあるマジシャンと超能力って相反するものだと思うんですよ。そこが今回も引っ掛かって物語に入り込めなかったし、事故死した皇太子妃が三年間も地下墓地でいたのも不思議だし、そこを救出する件が描かれておらず、ラストも無理やり恋愛要素を入れた感じ。
初演も見てるし、DVDやスカステの放送も見てるのに、全く覚えておらずで「こんな作品だったかいな?」という有様。それだけ印象に残らない作品ということなんでしょうね。私はウトウト来たものの、寝ることはありませんでしたが、知人は途中で睡魔が襲い、目覚めると緞帳が降りるところだったそうです(笑)。
主役でマジシャンのシャンドールを永久輝せあ(初演:瀬奈じゅん)。
正塚作品の主人公って、大体ちょっと不機嫌なんですよ。この作品も例によってそんな感じなんですが、ひとこが演じると声のトーンがやや高いので、あまり不機嫌には見えず、少し明るく思いました。初日を開けて数日でしたが、やや声がハスキーな感じで台詞が聞き取りにくいところが多かったです。この役自体は粋にクールに見せるのですが、ひとこのキャラじゃないなと。かといってお披露目公演の天使や、プレお披露目の荒くれ男も違うし・・・。私自身がイマイチひとこの魅力を見いだせていないだけなのか??作品を見ながら「これ柚香光でやったらカッコ良かっただろうな・・・」と思ったり。
相手役の星空美咲は皇太子妃の侍女ヴェロニカ(初演:彩乃かなみ)。
お堅い女性をやると彼女って表情が凄く怖いんですよ。せっかくカワイイ顔してるのに・・・。皇太子妃のボディーガード的な役ですが、あまり強そうには見えなかったし、声質がアニ声に近いので、役的には皇太子妃の方が似合いそうに思いました。ひとこ同様に「これ星風まどかだったら・・・」なんてまた思ったり。
皇太子ボルディジャールを聖乃あすか(初演:霧矢大夢)。
皇太子らしい品と佇まいは良かったですし、ちょっとコミカルな感じも上手かったと思います。
皇太子妃マレークを美羽愛(初演:城咲あい)。
地下墓地でのちょっとイッてしまってる感じは、「エリザベート」のヴィンディッシュ嬢っぽかったですね。かわいい感じはやっぱりありましたけど。
墓守のシュトルムフェルドを専科の高翔みず希(初演:未沙のえる)、その妻のアデルハイドを同じく専科の凛城きら(初演:矢代鴻)。初演時の二人のキャラが濃いかったので、今回はインパクトに欠けました。
探偵でシャンドールの仲間のラースロを羽立光来(初演:嘉月絵理)。
ここが専科的な役に思いましたし、初演時同様に結構に仕切ってる感がありました。
あとの仲間って特に為所がないのが勿体ない。
初演時は後物で、フィナーレとパレードに誤魔化された気がしましたが、今回は前物で芝居だけになるとやっぱりキツイ。私は常々「初演に勝るものはない」と思ってますが、これに至っては「初演もどうよ?」ですからね。