西武鉄道をめぐる話題を書こうと思っていたら、鉄道模型界から残念なニュースが入ってきました。
ワールド工芸が、今月末で「廃業」するというのです。
ワールド工芸といえば、その昔は「発煙装置の」という枕詞が付く、蒸気機関車用の発煙装置を製造、販売するメーカーでした。1980年代初頭には車輛模型も出し始めましたが、当初はB20、2120、1100といった小型、古典機を、無動力かつ発煙装置付きで出していたのを思い出します。その後は本格的な模型メーカーへと転じていく訳ですが、発煙装置へのこだわりは持ち続けていたようで、当鉄道の暖房車、ホヌ30などはしっかり煙を吐きます。
先に述べたとおり、1980年代半ばからは、ワールド工芸といえば、金属製のちょっと渋い車輛をリリースするメーカーとして定着していきました。そのラインナップは、古典機、旧型車、私鉄といった、大メーカーがまず出さないような車輛が中心でした。(もちろん時代が変われば、大メーカーがそうした車輛にも参入してくることはあるもので、EF55なんかはその典型例かも知れません)
当鉄道においても、ワールド工芸製品は、ついつい蒐集してしまう存在でした。もちろんそれなりのお値段はしますので、その全てを買うことはできませんが、特定の「テーマ」に沿って集めるのに好適な製品がたくさん出ていました。
まずは西武鉄道の旧型電機、これらはワールド工芸なかりせば揃わなかったでしょうね。同じことは東武鉄道、秩父鉄道の電機(一部プラ製品が出ていますが)についてもいえます。それから、北海道の炭鉱鉄道にいそうな古典蒸機や客貨車、暖房車や雪かき車、ちょっと昔の貨車なども、ワールド工芸から出ると買ってしまいました。
そんなワールド工芸が活動を止めてしまうとのこと。実は数年前からNゲージの完成品のリリースが少なくなっていまして、あくまでも噂レベルですが、職人さんが不足しているらしいなんていう話も聞こえてきました。それでもまだしばらくは楽しませて貰えるものと思っていたのですが、もうこれで新製品には出会えないのですね。そして、地方私鉄や旧型車、古典機などを製品化してくれるメーカーは余りありませんので、その不在はこれからじわじわと響いてくると思われます。それから、厳冬期の大宮のイベント、さいたま鉄道模型フェスタもワールド工芸の肝いりで行われていただけに、来年以降の開催が気になるところです。
ワールド工芸のスタッフの皆様、これまでありがとうございました。また違った形であの個性的な模型たちに再会できることを願っております。
こんな模型、ワールドさんしか出さないよなぁ。その1:伊予鉄道モニ30タイプ。
こんな模型、ワールドさんしか出さないよなぁ。その2:私鉄風トフ(西武トフ1)。
当鉄道にはまだまだ未整備のワールド工芸製品(キット、完成品)があります。今後とも少しずつ整備していきます。そして、欲しかったけれど買えなかったあの車輛、この車輛、これからは再生産をあてにはできないので、中古市場での偶然の出会いに期待するしかないのですね。