【追記】 granxaft1972さんから貴重なコメントを頂戴し、私に欠けていた視点を補っていただきました。
【速報】
阪神が2027年春に新車3000系を導入し、6両編成のうち1両を指定席車にすると発表しました。詳細は不明ですが、おそらく京阪プレミアムカーや阪急プライベースに準じた車両を連結すると思われます。自由席車5両は、収容力を維持するためロングシートとなる公算が大です。そうなれば、無料の転換クロスシート車が多数運用されている直通特急を置き換える際、評価が分かれる可能性があります。別の記事で改めて検証する予定なので、しばらくお待ちください。
さて、今回の記事の本題に移ります。すでにご承知の方が多いと思われますが、阪神の8000系車両6連19本、計114両がことごとく「赤胴車」に塗り直されることになりました。
第一号の8215編成が2025年5月下旬に出場したのち、3～4年かけて順次変更してゆく予定です。ちなみに「赤胴車」の名称は、1954年から連載されていた漫画『赤胴鈴之助』に由来します。
「赤胴車」時代の阪神8000系
現在の阪神の急行系車両は、上半分に明るいオレンジ、下半分に純白に近い色をまとっています。ただ、その配色が阪神タイガースの宿敵である某球団を連想させる、との声が以前から止みませんでした。昨今は毎年のように株主総会で追及される始末です。
さらに、野球ファンのみならず、鉄道ファンや一般の利用客にも赤胴車を懐かしむ人々が多かったようです。阪神が打ち出した方針は、こうした要望を受けたものです。
しかし、これは過去に下した決定を、自ら否定することを意味します。一度変更したものを元に戻すのは、再度別のものに変えるより、はるかに勇気が要ることです。
よって、本件に関する阪神の姿勢は、英断として称えられるべきでしょう。逆説的に、何かを間違えることよりも、それを認めず修正しないほうがよほど罪深いのだと痛感させられます。
以前述べたように、京阪や南海、神戸電鉄でも復刻塗装が施されていますが、一形式につき一編成、しかも期間限定のイベントに過ぎません。阪神のように主力商品をすべて、かつ恒久的に旧仕様へと戻すのは、鉄道業界では珍しいのではないでしょうか。
とりわけ個人的に楽しみなのは、往年の阪神の面影を唯一残す8502号車が赤胴車に戻ることです。この車両はもともと8201号車を名乗り、大阪側の先頭に立っていましたが、阪神大震災で生じた廃車を補うため、方向転換して神戸側を向くようになり、それと同時に改番されました。
阪神の8201号車（現8502号車）
8502号車は他車に比べて前面窓が小さいため、現塗装では上半分のオレンジ色がかなり重たく感じられます。やはり、この車両に似合うのは赤胴車色しか考えられません。
こういった一連の動きを検証すると、開業当初からマルーン色を守り続けている阪急の偉大さに、改めて気づかされます。例外が皆無というわけではありませんが、比率からすれば看過して構わない程度のものです。
阪神の赤胴車と並ぶ阪急車
上の写真は山陽電鉄の須磨浦公園駅で撮影したものなので、完全な再現は不可能ですが、赤胴車が復活すれば、新開地駅と高速神戸駅でこの並びが見られるようになります。その日の訪れが、今から楽しみでなりません。
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