北陸新幹線の並行在来線のうち、福井県部分(敦賀~福井~大聖寺間)を運営している第三セクター線、ハピラインふくい。JRからハピラインへ移管されて1年が経つこの3月、ハピラインとしての初のダイヤ改正が行われることとなりました。

 大きな変化は、

1.敦賀駅での新快速列車との乗り継ぎを改善する

2.日中時間帯に敦賀~武生間の普通列車を増発する

3.朝時間帯の敦賀発福井行き快速列車の時刻変更を行い、大阪発の特急サンダーバード1号から乗り継げるようにする

 

の3点です。元来本数が少なかった敦賀~武生間で増発を行うこと、北陸新幹線の対抗馬になりうる列車の設定の仕方をするということで、「積極的な改正だ!」と大きな話題を呼びました。

 しかし、改正前後の内容をみると、実は必ずしもプラスの改正とはいえないことが分かります。今回はハピラインのダイヤ改正について、プラス面、マイナス面双方を分析し、改正の狙いについて考察したいと思います。

 なお、他路線や他列車との乗り継ぎについては、また別記事で検証する予定です。

 

1.朝時間帯

 では早速、改正前後のダイヤを比較してみましょう。まずは朝時間帯です。

 

<敦賀→福井方面>

 

<福井→敦賀方面>

 

 黄色は増発部分、橙色は5分以上時刻が変更となった部分、灰色は廃止された部分です。特筆すべきは敦賀7:45発の快速を8:04発に変更したことでしょう。これにより特急サンダーバード1号から乗り継げるようになり、大阪~福井間は2時間15分、京都~福井間は1時間46分で到達できるようになります。特急サンダーバード1号と北陸新幹線を乗り継ぐのと比べると所要時間は約20分差なので、割高な新幹線を避けたい利用者を取り込める余地は十分にあるといえるでしょう。

 また、新たに敦賀7:44発の普通列車が設定されます。現行ダイヤでは、敦賀・武生から福井へ向かう普通列車が、福井着8:11~9:18と朝ラッシュ後半の時間帯にも関わらず1時間空いています。福井駅近辺に9時前後に着きたい場合にはちょうどいい列車がない状況になっており、快速列車の時刻変更は朝ラッシュ時間帯に普通列車を充実させるという意味合いもあるとみられます。

 一方、早朝の福井方面行きや、朝ラッシュが終わる8時代後半の敦賀方面行きの列車は減便となります。

 

2.日中時間帯

 次に、日中時間帯をみてみましょう。

 

<敦賀→福井方面>

 

<福井→敦賀方面>

 

 なんといっても、敦賀~武生間において日中は6往復増発となるのがトピックスでしょう。JR時代に普通列車がこれだけ設定されたことはなく、画期的な増発といえるでしょう。

 ただし、完全な30分間隔ダイヤになるわけではなく、従来通り1時間運転間隔が空く時間帯もあります。また、福井~武生間においては2往復減便となり、現行では毎時2本確保されているところが、改正後は毎時1本になる時間帯があります。福井~武生間と武生~敦賀間で、明暗がくっきり分かれたと言えるでしょう。

 

3.夕方・夜間時間帯

 最後に、夕方・夜間時間帯をみていきましょう。

 

<敦賀→福井方面>

 

<福井→敦賀方面>

 

 両数については変更あるものの、時刻は現行とほぼ同じとなります。夕夜間の利用については、当初の見込みとあまり差がなかったとみられます。

 

4.まとめ ~今回のダイヤ改正の狙い~

 ここまでダイヤ改正前後の変化についてみてきました。区間別にまとめると、

 

敦賀~武生:日中時間帯は増便、朝時間帯は減便

武生~福井:朝時間帯・日中時間帯に減便

福井~大聖寺:ほぼ変化なし

 

ということがいえます。敦賀~武生間の大幅増発や北陸新幹線との対抗ばかりがクローズアップされていますが、武生~福井間は減便になっており、一概に利便性が向上するとはいえません。ハピラインのダイヤ改正について評価するとすれば、現行ダイヤと比べて、改正後のダイヤは敦賀~福井間、もっといえば関西や名古屋方面と福井方面を行き来する人の利用により重点を置いたといえるでしょう。

 敦賀~福井間は短距離ながら、新幹線を利用すると自由席でも1,870円の特急料金がかかります。また、越前たけふ駅は、武生市街から2kmほど離れたところにある単独駅であり、車がないと武生や鯖江の中心部へアクセスするのは不便な位置にあります。そうした背景から、関西や中京圏~福井方面を往来する際に、新幹線ではなくハピラインを利用するという人も決して少なくなかったとみられます。今回のダイヤ改正は、そうした移動需要を踏まえての改正だといえるでしょう。

 初めてのダイヤ改正にして、大きくダイヤが変わるハピラインふくい。利用動向がこれからどのように変わっていくのか、これからも目が離せません!!