2025年3月ダイヤ改正の深掘り検証、今回はJR大糸線について取り上げます。
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1.ダイヤ改正の概要
今回のダイヤ改正では、信濃大町~白馬~南小谷~糸魚川間で時刻変更が行われます。また、1日1往復直通している特急「あずさ」が、南小谷発着から白馬発着へ短縮されるほか、信濃大町~南小谷間で普通列車が1往復減便となります。
2.ダイヤ改正 詳細分析
それでは、信濃大町以北の大糸線のダイヤについて、改正前後を比較しながら分析しましょう。まずは糸魚川方面行きです。
ポイントの一つ目は、特急「あずさ5号」が南小谷行きから白馬行きに短縮されていることです。これについては、先行する普通南小谷行きが白馬で30分長時間停車することで、特急「あずさ」から南小谷方面へ乗り継げるように配慮されていることが分かります。この南小谷行きは、南小谷で普通糸魚川行きへ乗り継ぐこともでき、利便性は確保されます。
次に、夕方時間帯に1本減便となっていますが、信濃大町での乗り継ぎが10分以内となっており、いくらか改善されているので、これで補っているといえるのではないでしょうか。
なお、JR西日本が管轄する南小谷~糸魚川間でも時刻変更が行われます。乗り継ぎは必ずしもよくはありませんが、糸魚川駅では乗り継ぎが新たにできるようになるところもあるなど、少し改善されたといえそうです。
続いて、糸魚川→南小谷・白馬・信濃大町方面をみてみましょう。
もともと、大糸線内の乗り継ぎは、糸魚川方面のほうが良好なのですが、改正後もその傾向は継続しています。夕夜間帯に1往復減便となりますが、糸魚川方面への乗り継ぎを優先させた結果、信濃大町や南小谷での乗り継ぎは若干悪くなっており、普通列車の減便については、松本方面行きのほうが影響が大きくなっています。
また、特急「あずさ」については、南小谷発から白馬発に短縮されるうえ、設定時間帯も2時間ほど早まります。白馬発新宿行きの「あずさ」の時刻を早める理由について、JR東日本は「上り直通列車の運転時刻を早めることで、首都圏エリアへのお帰りがより便利になります」としています。
しかし、改正後のダイヤをみると、土休日と多客期に運転される特急「はくば」松本行きが、現行の「あずさ」とほぼ同じ時間帯に設定されていることが分かります。時刻表からは白馬発15時台の特急利用がそこまで少ないようには見えませんが、なぜ運行時刻を早めるのではないでしょうか。
その理由は、車両運用にあると思われます。特急「あずさ」は基本編成の9両もしくは基本編成9両+付属編成の3両の
12両編成で運行されています。白馬へ直通する特急「あずさ」は、大糸線内は9両編成で運転されています。一方、臨時特急「はくば」は付属編成の3両編成で運行されており、両数が異なっています。
特急「あずさ」の利用者は、大糸線内よりも新宿~甲府・松本間のほうが断然多いため、より利用者の多い区間に9両編成の車両を回したい、そのために白馬からの新宿行き列車の運転時刻を早めるものとみられます。
3.まとめと今後の展望
いかがでしたでしょうか。白馬~南小谷間は特急列車の乗り入れが終了となり、普通列車のみの運行となります。
同区間の令和5年度の輸送密度は189であり、JR西日本管内の南小谷~糸魚川間の110と肩を並べる数字となっています。信濃大町~白馬の令和5年度の輸送密度が770であることを踏まえても、白馬駅以北は利用者がかなり少ない状況にあることが分かります。
大糸線では、実証実験として、令和6年6月1日~令和7年3月31日の間、糸魚川~南小谷~白馬間に臨時バスを4往復増発しています。
この臨時バスの実証実験も、管轄の境界である南小谷駅ではなく、白馬駅を発着地としています。こうした状況をみても、今後は南小谷~糸魚川間だけでなく、白馬~南小谷~糸魚川間において存廃協議が進んでいく可能性が高そうです。
特急乗り入れが廃止となった白馬以北の区間、今後どのようになっていくのでしょうか??