九州地区で活躍してきた電気機関車で、最近は運用離脱機が増えてきたED76形とEF81形。3月15日のダイヤ改正を控え、JR鹿児島本線沿線では両形式がけん引する貨物列車の撮影者が増えています。北九州と福岡地区の境界、城山峠(福岡県岡垣町)などを訪れてみました。

 

 

城山トンネルに向かう5075レをけん引するED76 1017=海老津—教育大前

 

 

 

岡垣町は北九州市と福岡市の中間に位置する人口約3万1千人(2024年12月末)のベッドタウンです。玄関口はJR海老津駅で、鹿児島本線で小倉駅から約40分、博多駅からは約50分と、アクセスは良好です。

 

筆者が同町を訪れたのは3年ぶりで、今回は海老津駅からよく知られた二つのポイントに向かいました。まずは駅前の踏切で、ここは下り列車限定ですが、曇りの日には比較的きれいにまとまります。

 

この日は、午前9時前に通過する貨物列車1063レが人気の「銀釜」EF81 303のけん引でした。ここは昔に雑誌で知った場所で、いつか300番台をここで…と思っていましたが、図らずも土壇場になって実現しました。

 

 

1063レに充当されたEF81 303=遠賀川—海老津

 

 

後継機EF510形300番台も撮影できました。本来は深夜帯に通過する71レで、大幅な遅れで走っていたようです

 

 

 

次に向かった城山峠は、鹿児島本線の起点・JR門司港駅(北九州市)から約35キロ、海老津駅と教育大前駅の中間地点にあります。1890年の九州鉄道開業時は峠越えのルートでしたが、1909年に現在見られるトンネルを抜ける新線になりました。

 

筆者は以前からここでED76形を撮りたいと考えていて、訪れないままでいるのが心残りでした。そうした中、同形のタイムリミットが近づいたため、ようやく重い腰を上げました。

 

城山峠へは海老津駅から県道を約2.5キロ、30分ほど歩きます(路線バスは夜7時台の1本しかありません)。

 

撮影ポイントは、敷島稲荷大明神の赤鳥居を過ぎた城山トンネルの入り口付近で、海老津駅方面から真っすぐ走ってくる下り列車を見下ろす形になります。

 

 

城山峠を行く赤い国鉄電機。長年の思いがようやくかないました…

 

 

 

ED76形は予定どおり5075レをけん引して9時50分ごろやって来ました。思い入れが強かったせいか、シャッターを押すのをしばし忘れて1017号機を眺めていました…。

 

この日は代走もあり、5075レに続く2071レにはEF81 455が充当されていました。こちらはJR以降に新製された同形450番台ですが、実質的には国鉄形で、懐かしさを十分感じるものでした。

 

 

小雨の城山峠を行くEF81 455。まだまだ若いと思っていた450番台も終わりが近づいてきました

 

 

 

ダイヤ改正まであと1週間。今後は定期運用からの撤退が予想され、門司機関区で並んで待機するEF510形300番台を見ると、ED76形とEF81形の出番はあまりなさそうに思えてきます。


今回訪れた岡垣町を含む北九州と福岡両都市圏の間のエリアは、まちなかよりものんびり撮影できる印象です。筆者も懐かしい国鉄電機を思い入れのある場所で、ゆっくり見送ることができました。

 

 

 

※鹿児島本線城山峠については、旧本線の遺構を含め以下の記事にまとめています