

ご覧の皆様もご存知の通り、熊本市からは九州各地へ向けて高速路線バス及び特急バスが運行されておりまして、それぞれ九州の県庁所在地への高速路線バスが運行されている事はご存知の通りではないかと思います。
実際に、福岡市へはドル箱路線であります「ひのくに号(画像1、西鉄バス3344 画像2、九州産交バス、熊本200か18-67、ともに三菱2TG-MS06GP)」、長崎市へは「りんどう号」、大分市へは「やまびこ号」、宮崎市へは「なんぷう号」、そして鹿児島市へは「きりしま号」がそれぞれ運行されておりまして、九州産交バスと各県の共同運行会社によりまして運行されております。
これらには、「ひのくに号」・「やまびこ号」・「りんどう号」・「きりしま号」に関しましては4列シート車による運行、「なんぷう号」に関しましては3列シートによる運行(但し、4列の場合もあります)となっているのも特徴でもあります。
しかし、唯一県庁所在地へ運行されていないのが佐賀市でありまして、実際に発着する便は存在しておりません。それでも、過去には熊本市から佐賀市へは、画像にもあります九州産交バスが運行します熊本~佐世保線「さいかい号(熊本200か・492、日野PKG-RU1ESAA)」が、その下の画像の高速金立バス停に1往復停車する形では運行されておりました。
(高速金立バス停)
さらに、この路線は令和2年以降、「新型コロナウイルス」による需要減や、乗務員不足のため運休しておりましたが、今年3月末に正式に廃止となっております。したがって、後述の路線を利用しまして途中乗り換える形で行く形となっているのが現状でもあります。
そのため、佐賀県内から熊本へとなりますと、以下画像の高速基山バス停を経由する形で、福岡~佐賀線「わかくす号」~「ひのくに号」の乗り継ぎでの利用が主となっておりまして、このバス停からとなりますと「ひのくに号」の各停便や植木インター経由便が停車しますので、バスで移動となりますと「わかくす号」~「ひのくに号」での移動が特に見られております。
【実際に過去にそのような形で利用】
(「わかくす号」、8314・日野2TG-RU1ASDA)~高速金立→高速基山間で利用
(高速基山バス停、熊本方面乗場)

(2975・いすゞQRG-RU1ASCJ)~高速基山→熊本桜町バスターミナル間で利用

しかし、かつてはこのような乗り換えも生じずに熊本市から佐賀市からの高速バスも存在しておりました。しかも、この路線ではさらに佐賀県内発着におきましても運行されておりまして、佐賀県内から熊本までダイレクトに結ぶこともできておりました。それが今回ご紹介します「おおあそ号」でありますが、今回はその「おおあそ号」に関しまして、この路線の運行開始~廃止までの経緯を皆様にご紹介してまいります。
この「おおあそ号」とは、熊本県側が九州産交(現・九州産交バス)、佐賀県側が西鉄バス(佐賀営業所運行)・昭和自動車(昭和バス)・祐徳自動車の合計4社による共同運行で、唐津・嬉野・佐賀~熊本間で運行されておりまして、既にこの頃に他の県庁所在地への都市間バスが存在していた中で佐賀県内へも高速バスが運行されるようになっておりました。
この「おおあそ号」の運行本数は、唐津・嬉野発着は各3往復、佐賀発着は唐津・嬉野の分も含めまして9往復で運行されておりまして、所要時間は佐賀~熊本間が約1時間55分、嬉野・唐津は約3時間で結んでおりました。
この「おおあそ号」の停車地は(熊本~佐賀間のみ掲載)・・・
熊本交通センター~(この間「ひのくに号」各停便と同じ停車地)~高速宮の陣~高速神辺~高速中原~高速神埼~佐賀駅バスセンター
あとは、唐津方面が多久発着所・唐津バスセンターなどに停車しまして唐津シーサイドホテルへ、嬉野方面が武雄北方インター・嬉野インターに停車しまして、嬉野温泉(現・ユースポ入口バス停、ホームセンターユートクがある所)へ運行されておりました。
この「おおあそ号」の車両は、各社3・4列シートの車両が揃えられておりまして、装備もトイレ・テレビ(ビデオ)・サービスコーナー(一部)が装備されておりまして、サービス面に関しましては所要時間2~3時間であった事もありまして、そんなに悪くなかったようであります。
(以下は昭和バスの専用車であった車両、佐賀22き・116→福岡200か・594→佐賀200か・227、日産デP-RA53RE~廃止後「からつ号」転用後に運用離脱した時の画像)
けれども、ふたを開けてみましても利用者はさほど多くはなく、全体的に低迷していた事もありまして、この「おおあそ号」は結局平成4年に廃止されまして、わずか2年で佐賀市への福岡を除く九州内の都市間バスは姿を消してしまいました。そして、元専用車は上の画像・後述のように各路線に転用されておりまして、その結果転用後に一生を終えるに至っております。
こちらの画像は、九州産交バスに所有しておりました1台(熊本22か23-13、いすゞP-LV719N)でありまして、この車に関しましても、元「おおあそ号」専用車でもありまして、使用されていた車の中では最も長く活躍しておりました。
(平成22年乗車時撮影)
九州産交(→九州産交バス)には、専用車は3台存在しておりましたが、「おおあそ号」廃止後には、いずれも「ひのくに号」や「やまびこ号」、かつて運行されておりました熊本~杖立間の路線などに使用されておりましたが、この車に関しましては、塗装も変えずに末期時には画像の「あまくさ号」や「空港リムジン」などに使用されておりました。
実際によく見ますと、車体の塗装の模様も登場時と同様の模様が残されておりまして、「おおあそ号」時代の名残を残しております。かつて専用車時代は、以下画像の空いた部分に「OASO(最初の「O」には上のラインが付きます)」のアルファベット文字が付いていました。尚、この塗装はその後「さいかい号」・「やまびこ号」などにも採用されまして、同様の塗装が大分バスでも採用されておりました。
この車の車内は、4列シート・トイレ・テレビ付でありまして、「おおあそ号」専用車にふさわしい装備であったようであります。尚、サービスコーナーと言ったものは設けられていなかったようでありまして、「おおあそ号」専用車両の中ではシンプルなものであったようでもありました。
(車内全体)
この車は、最後に残った各社専用車の1台でありましたが、その後廃車となっております。この時、私自身この車に約20年ぶりの利用でもありましたが、この車に関しましては懐かしいと言う印象がいまだに残っているほどでもあります。
今回はかつて存在しました「おおあそ号」に関しましてご紹介しましたが、現在佐賀市内~熊本市内間は、交通機関利用に関しまして、必ず鉄道・バス利用とも鳥栖・基山地区以外からの乗り換えが必要となっております。しかし、以前はご紹介しましたように乗り換えずダイレクトに利用する事もできていた地域もあっただけに、そう言った地域にお住まいの方にはまさにメリットは高かったのではないでしょうか。この「おおあそ号」も、そう言ったメリットはあったとは言いましても、やはり元々利用が少なかったようではありましたので、となりますと廃止へととながってしまったことは残念ではないかと思ってなりません。