2025年1月にプライベートで鹿児島、福岡を訪問し、予定の合間に思い出の場所や、心残りの場所に行ってまいりました。

 

 甘木鉄道の列車待ち合わせの時間をつかった基山駅観察を終えて、ようやく甘木鉄道に乗車します。この日に乗車するのは基山駅10:48発の甘木行。平日の日中なので、駅舎、ホームとも人気はほとんどありません。

 

 

第三セクター方式の甘木鉄道とは?

 

 そもそも「第三セクター鉄道」とは、国・地方公共団体を「第一セクター」と、民間企業を「第二セクター」とおいたうえで、その両者が共同出資して設立された事業体を第三セクター企業と呼ぶことから由来しています。第三セクター鉄道の多くは、1980年に制定された国鉄再建法内で指定された特定地方交通線として規定後、廃止(または国鉄からの切り離し)後の後続組織として採用されています(再建法は略称、民営化時点で廃止)。

 

 その甘木鉄道は、国鉄時代に第一次廃止対象路線の名簿に上がり、民営化を待たずに第三セクターとなった鉄道で、私が鉄道を好きになった頃にはすでに国鉄線ではない状況だった記憶です。その上、レールバスという用語も甘木鉄道で知り、身近に感じました。

 

 

実際に乗ってみます

 

▼基山駅跨線橋に掲示されていた甘木鉄道の時刻表。日中は30分間隔の運行ながら、朝夕は1時間4本と積極的な運行を行っているようです。その成果か近年では経常利益で黒字を継続している企業です。使い古された言葉ではありますが、応援したいと思わせる企業努力が所々で垣間見ることができます。

 

 

▼ホームに掲示された駅名板。経年物ながら手入れはしっかりとされている印象です。

 

 

 

▼つづいて甘木鉄道沿線路線図。始発・終着駅を含む11駅があり、写真内の赤丸は他社線との接続がある目印です。小郡(おごおり)では西鉄大牟田線、大板井では隣接する大分自動車道の高速小郡大板井バス停で高速バスひた号(福岡〜日田間)、甘木駅では西鉄甘木線ほか、バス路線とそれぞれ接続します。

 

 

▼本日乗車する列車がやってきました。車両はAR300形の302号車。到着後すぐ折り返しする、無駄のない運用です。なお、甘木鉄道は新型車両導入予定で、その際全車両入れ替えとなる模様。一見綺麗に見える車両ですが、老朽化にともなう更新とのことです。

 

 

▼車内の様子。富士重工業(のちに事業継承をうけた新潟トランシス)製の車両に見られるセミクロスシートの内装。私は1列クロスシートを陣取りました。この席からは前面眺望も望めます。

 

 

▼出発してすべての駅で撮影を!を意気込んでいましたが、早速立野の駅で失念w。それ以降は気が向いたタイミングで撮影することに。ここは小郡駅。甘木鉄道は高架化されており、西鉄大牟田線をまたいています。

 

 

▼甘木鉄道から見下ろしたところに西鉄小郡駅があります。乗換駅の案内はありますが、実質は駅同士が隣接しているという位置関係なので、路地を歩いて渡る必要があります。架線柱の形状をみて、そうそう、これか西鉄だよなーなど独り言を呟く瞬間です。

 

 

▼松崎駅に到着。国鉄時代は筑後松崎という名称でした。ここでAR306号車と離合(この言い方って九州独特なのですか??)。

 

 

 

▼大刀洗駅に到着。かつては航空基地があった栄華は駅隣接の記念館で知ることができるようです。ちなみに航空基地の跡地には現在キリンビール福岡工場があります。駅から700mとか書いていましたね。国鉄時代にはビール工場への引込線が存在しており、そこから出荷するための貨車が出発しており、そのために広大な駅構内が存在したそうですが、これらも資料に書かれているから知ることができたわけです。今の町の様子からは全く想像できません。

 

 

 甘木駅に近づくと、進行方向右手に西鉄甘木線が迫ってきました。

 

 

▼11:14定刻に甘木駅に到着しました。

 

 

▼甘木駅は1面2線のホームがありますが、その横には車両基地があるため留置された各車両が好きなだけ眺められますw。洗車機の手前に停車しているのはAR305号車。

 

 

▼駅舎から離れた場所に留置されていたのは、宝くじ号とクレジットされた、AR400形。この形式は車内がクロスシートになっているのがポイント。1両しか存在せず、そのうえ運用の朝夕の2両運転時の増結対応が主な運用とのことでした。

 

 

▼甘木鉄道の甘木駅の駅舎。この駅舎は小学生に読み込んでいたコロタン文庫の全駅ものしりガイドでも紹介されていたのですが、細かい改修はなされているのでしょうが、駅舎の外観は大きく変わっていないですね。一説には大刀洗航空基地への軍事輸送として甘木線が利用されていた名残とのこと。

 

 

▼最後に、甘鉄甘木駅前の石碑について。「日本発祥の地 卑弥呼の里 あまぎ」と彫られておりました。全国各地に邪馬台国伝説がありますが、甘木もその一つだったのですね。日本史に疎く、この日まで九州での候補地は吉野ケ里遺跡くらいしか思い当たりませんでした。

 

本日は以上です。

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