2代目となる仙石線用の103系は非ユニットサッシの車両であっても仙石線への転属にあたり多くの車両がユニットサッシの窓に交換されています。ところが,一部の編成には転属時の窓サッシのままで入線,廃車になった車両も一定数存在していました。では,そのような車両はどの編成だったのでしょうか。
窓サッシを交換しなかった編成の数
仙石線の103系,特に2代目の転属車両は仙石線向けの更新を行った編成が多数な中,この更新を行わなかった編成というのが一定数おり,その状態のままで廃車となっています。その数は2・3代目を纏めて18編成中3編成でそこまで大きな割合ではなく,比較的少数世帯でした。その編成というのが,RM-155編成,RT-299編成,RT-371編成の3編成で,仙石線向けの2代目103系としては特に後期の導入編成でRM編成は1994年導入,クモハ103の0番代としては最後の車両クモハ103-155を組み込んだ編成であり,RT-299・RT-371編成はどちらも浦和電車区から転属してきた高運転台車となります。これら3編成は殆どの仙石線向けの更新を行った103系の中でも窓サッシが交換されていないことからも異彩を放っており,特にRT-299・RT-371編成は仙石線唯一の高運転台仕様であった事からも仙石線内でも一際目立つ存在であったものだと思われます。
画像出典 裏辺研究所 裏辺金好様
窓サッシ仕様がそのままだった理由と後の動向
この3編成が窓サッシを交換していなかった要因に挙げられるのが既に首都圏在籍時代に更新を終えていたという理由が挙げられます。それ以前に入線した更新車は首都圏時代は更新を受けないで入線をしている編成が多く,仙石線内独自の更新を受けています。バランサー付きのユニットサッシ窓への交換がされ車内に関してもバケットシートに変更され座席モケットも先頭車が紫,中間車が桃色という独自の仕様に交換されていました。また,ドア窓についても従来よりも拡大された金属抑えのドア窓となっていました。ところが,この3編成は首都圏向けの更新がされており窓サッシの交換が省略されRM-155編成は4両全てが,RT-299・RM-155編成のモハユニットは窓の四隅が丸みを帯びた非ユニットの古い窓のままとなっており高運転台のRT-299・RT-371編成のクハも元からユニットサッシだったものの交換されないままとなっています。また,ドア窓については従来と同じ拡大されていないHゴム抑えの従来の窓の仕様となっており,車内についてもまた他の編成とは違う仕様であり座席は従来の座席の仕様でモケットを交換しており通路色も中央部に赤,その両側を黄色で塗装した派手な色をしておりこれも首都圏向け更新車の仕様をそのまま受け継いだ仕様となっています。
2002年以降,205系3100番代が入線し103系は置き換えられる事となりますが,これらの編成は比較的早期に置き換えられ,2003年8月までには消滅することとなります。RM-155編成はクモハ103を組み込んだRM編成であった事もあり早い時期に廃車となりましたが,RT-299編成についてはRT編成では一番最初に置き換えられています。これは高運転台仕様でかつ中間モハユニットにAU712を積んでいたという事もあり早期の廃車となりました。最後に残ったRT-371編成の廃車を持って窓サッシが転属時の古い側窓で残った仙石線用103系は消滅することとなりました。
画像出典 Wikimedia commons 永尾信幸様
終わりに
18編成中3編成のみではあったものの確かに仙石線に存在した窓サッシ未交換のまま入線した更新車。殆どの編成が仙石線独自の更新を受けていた中で首都圏向け更新工事を受けていたこの編成は他よりも個性が目立つ編成であったと思われます。