転轍器

古き良き時代の鉄道情景

黒部峡谷鉄道

 誰かが言った「にぶろく」とはこのことか、と762ミリ幅の線路を見て納得する。富山地方鉄道の特急に揺られて宇奈月温泉下車。そこから乗る、まるで遊園地のようなトロッコの幅を見て改めて線路幅を意識する。機関車は本格的な登山鉄道風の日本離れした顔が印象的であった。側面に並ぶ点検扉はまるでディーゼル機関車のボンネットのようでED18の切抜きナンバーが貼られていた。

 黒部峡谷鉄道宇奈月から欅平まで往復し、途中猫又もしくは鐘釣で下車し万年雪を見た記憶がある。

 忘れかけた黒部峡谷鉄道のネガフォルダから、かつて見た映画“黒部の太陽”を思い出す。大規模なダム建設で自然との闘いが描かれていたとおぼろげに浮かぶ。昔は暗幕で暗くした学校の講堂で「映画教室」が開かれて、“ゴジラ”や“大魔神”が記憶に残っている。

 通風機が並ぶ2輛連結の機関車は最新のEH101+EH102かもしれない。

 独特な顔をした凸形機関車はED11と読める。

 駅名標から猫又の交換のようである。

 黒部川に沿って絶景が織りなす車窓も記憶は薄れている。トロッコから対向列車を撮った駅はどこなのかは特定できていない。ナローゲージの鉄道に乗ったのはこれが唯一である。

 撮影:S51(1976)/9/16