昨年秋に青春18きっぷが「リニューアル」という名の大幅な発売・利用ルールの改悪をされて以来、ネットなどでは18きっぷの代わりに使えるフリーきっぷについての話題がよく取り上げられていましたが、一昨日(2月12日)にJR西日本が、もしかしたら最強の「18きっぷの代わり」になれるかもしれない新たなフリー切符の発売を発表しました。
そのきっぷの名前は「(ICOCAでGO)JR西日本無限大パス」。JR西日本のICOCAエリア(七尾線・城端線を除く)の普通列車(新快速・快速を含む)の普通車自由席が何と利用開始日から連続する30日間にわたって乗り放題というものです。
このパスを利用して旅することのできる範囲はかなり広く、西は山陽本線経由で下関へ、南は紀勢本線和歌山経由で新宮へ、東は関西本線経由で亀山へ、北は北陸本線や湖西線経由で敦賀まで、さらに山陰エリアの一部区間にも乗車できます。
ただし新幹線は利用できず、特急列車や「Aシート」などの座席指定者を利用する際は別途特急券や指定券などの料金券が必要となります。
また、このパスを利用すると関西主要駅の対象店舗でドリンクのサイズアップや割引が受けられるクーポンを合計8回まで利用でき、これは一部のフリーきっぷで駅ナカや沿線の指定店舗や施設での割引や特別サービスが受けられるのと同様な特典といえます。
発売期間は今日2月14日から3月12日までで、利用期間は2月15日から4月10日までのうち連続する30日間で、購入時にあらかじめ利用開始日を指定する必要があります。利用可能期間の最終日が春の18きっぷのそれと同じ日なのは単なる偶然なのでしょうか?
パスはアプリ「KANSAI MAAS」のみでの販売で、利用の際はアプリに紐づけできるようにした登録済みのICOCAに事前チャージし、自動改札機、車載型IC改札機でICOCAから運賃を支払う仕組みになっています。支払った運賃は利用日の翌月末に全額WESTERポイントで還元されます。
事前に「KANSAI MaaS」アプリにICOCAの登録と、JR西日本の券売機などでWESTERポイントサービスの利用登録が必要。利用開始日にアプリ内で購入済みの「JR西日本無限大パス利用開始券」の「チケットを使う」ボタンを押すと利用できるようになります。
このあたり、購入時に利用開始日を指定しなければならなくなったものの「改悪」後も基本的には窓口で「青春18きっぷ一枚ください」と一言言えば購入できる18きっぷと比べるとかなりの手間ですが、今後はフリー乗車券の類を購入するにもこうした手順を踏まないと購入できないのが当たり前になるんでしょうか。個人的には、フリーきっぷのデジタル化を推進するならスマホに一つアプリを入れておけばそこで購入からいつでも利用開始できるまで完結できるようなスマートなシステムにしてもらいたいところですが。
また、ICOCAエリアでは原則として片道200km以上の距離を改札を出ずに乗車し続けることができないため、片道200km超の長距離旅でこのパスを利用する際には行程中に200kmを超えないい距離ごとにどこかの駅で改札を出入りできるように旅程を工夫する必要があり、このあたりは18きっぷと比べると使い勝手という点で一歩譲展といえるでしょう。
まあ、いくつか改善を望みたい点はあるものの、全体としては旅先がICOCAエリアに収まるのであれば十分に18きっぷに代わる格安鉄道旅の味方になりそうなパスといえそうな気がします。
特に特急券や指定券を購入すれば在来線特急にも乗車可能であることは18きっぷに対してはアドバンテージになるし、利用開始後有効期間の30日間の間であれば数日ずつに分割して使用することができるのもルール改悪後の18きっぷの失った利便性を維持しているという点で評価できると思います。
今回は期間・枚数限定での発売ですが、できれば通年にわたりいつでも購入・利用できるようにしてほしいですし、JR東日本エリアに住む者としてはやはりJR東日本にもSuica版の同種のパスを発売してもらいたいところです。
Suicaの利用可能エリアもかなり広大なので、ICOCA版以上に利用価値は高そうな気がします。
ただ、Suica版を発売するなら新幹線も在来線特急同様に所定の料金券さえ購入すれば乗車可能なようにしないと利便性はかなり落ちてしまいそうに思いますが。