【NANKAIのロゴマークが見事にそのまま残る・Mrマリック氏から「手力」(ハンドパワー)の恩恵を受ける】大井川鐡道元南海6000系運行開始初日
南海電気鉄道から大井川鐡道に移籍してきた6000系が運行開始した。2020年に移籍し同年中に運行開始の予定だったがCOVID-19や災害による不通が重なり4年以上車庫に眠ったままであった。一般的に他社からの移籍車は他社のロゴマークは取り除くのであるが、大井川鐡道では見事にそのままであった。必要最小限の改造だけを行い営業運転に就いたのは他の普通電車(元南海21001系や元近鉄16000系など)と変わらない。鉄道車両の運行開始初日は”平場”とかダイヤ改正初日に行う事が多いが、今回は集客も狙ってか?”ド年末”に行ったのは異例であった。大井川鐡道における元南海6000系運行開始初日を追いかけた。
乗車・撮影日=2024年12月30日(月)
【まずは新金谷車両区から出庫する元南海6000系】
↑元南海6000系運転開始の詳細は大井川鐡道公式サイトに掲載があった。これによれば新金谷10時31分発82列車金谷行きが初列車(一番列車)と案内があった。
「とりあえず新金谷に行けば何かわかるだろう」
と思い自動車で来てみた。駅前には有料駐車場(タイムズ)やSL乗車客向けの駐車場も別にある。立地としてはE1A新東名の島田金谷インターチェンジから近いので、自動車のナンバーとしては他県(静岡県以外)が目立つ。この辺はいつもの事である。
↑既に「謹賀新年」のしめ飾りがあった。新金谷駅は大井川鐡道㈱本社事務所も所在する駅で、建物自体は国指定の登録有形文化財である。それにしても正月のしめ飾りを付けない企業は近年増えたものである。SL(蒸気機関車)とEL(電気機関車)にもしめ飾りが付いていたりする。
↑新金谷駅の改札口。有人管理駅である。金谷までの片道150円の乗車券(硬券)を買う。普通乗車券は改札窓口でも発売するが、SL関連のきっぷに関しては新金谷駅隣の「プラザロコ」にある専用窓口での発売となる。
↑新金谷車両区に行くと早速元南海6000系が出庫する。既に同業者(撮り鉄)が100名ほど居る。
↑元南海6000系が大井川鐡道に移籍した証拠として、元近鉄16000系や「きかんしゃトーマス号の客車」と一緒に撮っておく。
↑続いてSL(蒸気機関車)のC10-8も車両区から出庫する。川根温泉ホテルが何かのグランプリで1位獲得を祝うヘッドマークが付いていたが、何のグランプリなのかはわからない(調べる事を忘れた)。大井川鐡道なので本来ならばSLが主役になるはずだ。しかし、この日は何故か主役にならず。主役は元南海6000系なのだ。電車が主役になる日もあって良い。
これは余談だが、「きかんしゃトーマス号」は12月25日まで運行した。以降はトーマスはソドー島に帰ったため、新金谷車両区には当然のことながら居ない。2025年は4月頃から「きかんしゃトーマス号」の運転があるようなので、それまではソドー島へ帰省中である。
【「NANKAI」のロゴマークがそのまま残る。Mrマリック氏から「手力」(ハンドパワー)の恩恵を受ける】
↑元南海6000系がホームに入ると改札開始。金谷までの乗車券を改札氏に差し出すと「パチーン!」と改札鋏が入る。ホームでは同業者(撮り鉄)や観光客が撮影する。きっぷを見ていると私のように普通乗車券で乗る人は少なく、「大井川本線フリーきっぷ」の提示が多かった。
↑こちらが商品の詳細であるが、駅窓口以外にもセブンイレブン(マルチコピー機から)、大井川鐡道通販サイトからも購入可能だ。SL乗車の際は基本的に別途急行券が必要であるが、”立ち席承知”で良いのであれば急行券は不要である。プラザロコや川根温泉(ホテルとふれあいの泉)では割引もある(条件あり)。SL運転日は4.800円、SL運休日は2,400円で1日限り有効であるが、2024年12月27日~2025年1月5日に限り最大9日間有効となった。例えば12月30日から使う場合は1月5日まで有効であった。有効期間が拡大しても値段据え置きの太っ腹。そうであれば購入客も多いわけであった。この辺は商売上手である。
↑クハ6905(千頭方)
↑モハ6016(金谷方)
見事にそのままである。「NANKAI」のロゴマークは消していない。知らない人が見れば「静岡県の大井川鐡道に何故南海電車が走っている??」と思ってしまうだろう。フツー他社ではこう言うのは許されない。少なくても旧所属社名は消すのが常識だ。消した所は自社名に貼りかえる(塗り替える)か消したままにするかのいずれかである。
だが、大井川鐡道は旧所属社名はそのままが基本だ。と言うかそれで許されてしまう。懐かしい電車に今でも乗れてしまう事をアピールするための戦略だ。大井川鐡道はSLやトーマスだけではない。普通電車も観光地として呼び寄せるための”資源”なのだ。
↑そのため車内もそのままだ。座席構造(オールロングシート・4ドア)も南海時代と変わっていないし、車両番号も同じである。さらにドアステッカーや宣伝も変わっていない。「メガネの愛眼・やわらかるい」の宣伝もそのまま。私がわかる限りでは大井川鐡道沿線にはメガネの愛眼の店舗が無いどころか、静岡県内でも店舗展開はやっていないはずだ。Mrマリック氏から「手力」(ハンドパワー)の恩恵を受ける。来年(2025年)はもっと良い年になるだろう…と。
【元南海6000系で運行する一番列車に乗る】
↑82列車は定刻通り新金谷駅を発車する。2両で80名ほどの乗車があった。大井川鐡道本線の普通列車にしてはかなり多い人数だ。ほとんどが「元南海6000系一番列車乗車」がお目当てなのは言うまでもない。
カメラが回りあれこれ喋り回る人が居た。この方は大井川鐡道の名物広報の山本豊福氏である。どうやら静岡県内のテレビ局の取材を受けていたようで(実際に放送されたかどうかは不明)、元南海6000系の事(車両、特徴、運行までの経緯等)を説明している。これは広報として重要な業務である。
その姿は遠目で何となく見る事にしておいて、”初走り”の元南海6000系の乗り心地としては60年選手とは思えないほどの良好な所があった。乗り心地は良い。1966年10月製で南海高野線(難波~橋本)一筋で活躍し2019年12月に除籍され大井川鐡道に移籍してきた。大井川鐡道で車籍が入ったのは2022年3月とのこと。南海時代にしっかりと整備が行き届いていた事が大きいだろう。
運賃表示器は元東急7200系と同じものを使っており、放送装置も同じ。この辺は特に新しい装置を導入する必要はなかろう。それ以外に壁には全線全列車時刻表や種別一覧が張り出しあるのが唯一の変化である。JR東海道線と並走すると金谷駅であるが、運転士がボタンを押して放送するタイプのため、ボタンを押さないと放送されない。運転士がボタンを押し忘れたようで特に放送が流れず、金谷駅に着くと「バーン!」とドアが開き到着とわかった。