西日本鉄道(西鉄)の天神大牟田線・太宰府線で運行されておりました代表的な特急列車と言いますと、上の画像の8000形電車でありまして、平成元年に導入されて以来、天神大牟田線・太宰府線の全線であります、福岡(天神)~大牟田間、西鉄二日市~太宰府間におきまして、その雄姿の姿を見る事ができておりました。
この電車と特徴と言いますと、2扉車で転換クロスシート、白地に赤ラインの独特の塗装姿がまさに特急用車両である事を伺わせております。やはり、他に転換クロスシート車と言いますと、西鉄では3000形電車しかない訳でもありますので、数少ない存在である事がわかるのではないでしょうか。
しかし、そんな8000形電車も、製造から25年を経過した頃から老朽化が進み始めておりまして、その結果ついに平成27年より廃車が発生しておりました。
これは、1日の走行距離が平日で約400~700キロ、土日祝日になりますと約650~1000キロと、西鉄電車の中でも非常に破格の走行距離を誇っておりました。そう言った事もありまして、検査周期も西鉄電車の中では短い周期で検査を行っても来ていましたが、それでも老朽化に追い付かない事もありまして、廃車が発生する事態となってしまったのでありました。
その結果、8000形電車に代わる特急電車として運行されておりますのが画像にもあります、全廃しました2000形電車に代わります急行用として導入されておりました3000形電車でありまして、こちらに関しましては特急の基本編成であります6両編成でも3両×2、画像の2両×3と言った編成が可能となっておりますので、編成によって走行の調整ができる分、効率的にも良いのではないかとも思います。


そう言った編成調整もできます3000形電車が増備を続けてきていた代わりに、6両固定編成でもあります8000形電車は徐々に編成を減らしていきまして、その結果最後まで残りました画像1の8051Fが平成29年10月の運行を最後に引退しまして、その後解体された事から、残念ながら画像でしか元気な姿を見る事ができなくなりました。
現在は、これら2編成に変わります観光用車両「水都」・「旅人」がその3000形電車から改造されておりまして、いずれも天神大牟田線及び「旅人」に関しましては太宰府線でも活躍しておりまして、8000形電車から継承されまして活躍を行っております。
(3000形電車「旅人」)


さて今回は、その8000形電車の観光用としていずれも3000形電車の先代にもあたります2編成に関しまして、皆様にご紹介してまいります。
まずご紹介しますのは、平成29年7月に引退・廃車となりました8061F柳川観光列車、先代「水都」であります。


この先代「水都」は、この列車が8000形電車では末期の時点で唯一天神大牟田線全線であります、福岡(天神)~大牟田間を連日往復していた列車でもありました。


改めまして、この「水都」の由来は、柳川観光列車である事から、水の都であります柳川を表すとともに、博多弁で「好き」を表す「すいとー」からも取っているそうでありまして、福岡を代表する観光列車として日本だけではなく海外の方にも楽しんでいただけるように運行されている電車であります。やはり、福岡地区~柳川へ結ぶ電車でもある訳ですから、いろいろな意味を表すのもわからなくはなかったでしょうか。
(水都のマーク)


この「水都」では、車体ではこれからご紹介しますように6通りのラッピングが施されておりまして、これらラッピングにも意味がありました。実際に以下の表におきましてまとめておりますが、後述のように車体の画像を見ますとそれらが実感するのではないかとも思います。


1号車 木蘭色(もくらんじき) 菊と渡り鳥
2号車 濃藍(こいあい)色 花火と白秋祭のどんこ舟
3号車 灰緑色(かいりょくしょく) 花菖蒲
4号車 深緑(ふかみどり)色 からたちの花
5号車 紺青(こんじょう)色 柳の新緑と水流
6号車 臙脂(えんじ)色 柳川まりと雛祭り
2号車 濃藍(こいあい)色 花火と白秋祭のどんこ舟
3号車 灰緑色(かいりょくしょく) 花菖蒲
4号車 深緑(ふかみどり)色 からたちの花
5号車 紺青(こんじょう)色 柳の新緑と水流
6号車 臙脂(えんじ)色 柳川まりと雛祭り
(1号車「菊と渡り鳥」)


(3号車「花菖蒲」)


尚、これらのラッピング愛称に関しましては現在も上の画像・以下画像の3000形電車で継承されておりまして、1号車~3号車が3018F、4号車~6号車が3017Fが2代目「水都」を継承しております。
8000形電車「水都」の車内であります。座席自体はこれまでの8000形電車と同様の転換クロスシート車となっておりまして、各号車シートカバーによって違いがある事が伺えておりました。それにしても、こう言った所が外観とマッチしている部分でもある訳でありますので、何号車であるかがわかりやすくなっていた事もわかるのではないでしょうか。
(1号車、「菊と渡り鳥」車内)


(5号車、「柳の新緑と水面」車内)


また、3号車には柳川の物産品も展示します、「ディスプレイキャビネット」を設置しておりまして、様々なものが置かれておりました。この中には、宝くじ発売時には特に必要になるでありましょう、「宝くじ入れ神棚」や、特産のみそやのり、そして備長炭で焼かれましたうなぎかば焼きをパックしたものが乗車時には見られておりまして、様々なものが物産品として存在していた事もわかります。


さらに反対側には、後述の「旅人」のように観光列車らしくスタンプ台が置かれておりますし、乗車記念カードも全号車において設けられておりました。カードに関しましては、私も画像のように集めておりましたが、様々なカードが実際に存在していた事がお分かりいただけるのではないかとも思います。


(乗車記念カード)


尚、これらは3000形電車に代わりましても継続しておりまして、柳川の物産品やスタンプ台、そしてカードも種類を変えまして継続しております。やはり、こう言ったものが観光列車らしさが見られていた訳ですので、継続している事はありがたい事と言えましょうか。
そして、一番の売りでありました12席の展望席であります。こちらは1号車「菊と渡り鳥」の前方展望席の部分でありますが、乗車当時画像のように12席はほぼ埋まっておりました。この電車の場合は、遠く大牟田方面まで運行されておりましたので、約1時間座るならば、私としましてはやはりこの前方の人気がある展望席かなと思います。


しかし、そんな8000形電車8061F先代「水都」は、ご紹介しておりますように平成29年7月22日に引退しております。しかし、ご紹介しておりますように2代目であります3000形電車3017F+3018Fによりまして継承されておりまして、特急以外にも急行・普通にも運行する事もありまして、利用されます多くの方々にも好評を得ておりますので、2代目の引き続きの活躍に期待する所であります。
次にご紹介しますのは、平成29年10月の運行を最後に引退・廃車となりました、8051Fで運行されておりました、先代の太宰府観光列車「旅人」をご紹介してまいります。


この先代「旅人」は、平成26年に運行を開始したものでありまして、基本的な運行区間は太宰府線の西鉄二日市~太宰府間でありました。尚、運用はこの他に福岡(天神)→太宰府間の急行、そして福岡(天神)~二日市・筑紫・小郡間の急行・普通列車にも運用に入っておりました。


所で、「旅人」と言いますと、当ブログでもご紹介しておりましたが、現在博多バスターミナル~太宰府間において運行されております「太宰府ライナー旅人」と言う名称でのバスが存在しておりますが、こちらはご紹介しておりますように大宰府観光列車として運行されております。ちなみに、名称の由来は太宰府に住んでいたとされます、歌人であります「大伴旅人(おおとものたびと)」から取ったものであります。
この先代「旅人」には、淡いピンク色のラッピングが施されておりますが、このラッピングの中には、太宰府各地にあります様々な名所などのイラストが描かれておりまして、そう言う事もありまして各車両違った姿を見る事ができておりました。それほど、太宰府も太宰府天満宮だけではなく様々な名所が存在している事も伺う事ができた事がわかるのではないかと思います。
(2号車、観世音寺・戒壇院)


(3号車、九州国立博物館・水城跡)


車内は、以下の表にもありますように各号車において様々な模様の姿を見る事ができておりました。それにしても、これら模様にも理由がある訳でもありましたので、それらも開運につながっていると言うのが良かったのではないかと思います。


【ドア際の各号車の案内】
1号車 貝合わせ文様(縁結び)
2号車 七宝文様(家内安全)
3号車 波兎(うさぎ)文様(安産)
4号車 矢羽根文様(厄除け)
5号車 亀甲文様(健康長寿)
6号車 梅文様(学業成就)
1号車 貝合わせ文様(縁結び)
2号車 七宝文様(家内安全)
3号車 波兎(うさぎ)文様(安産)
4号車 矢羽根文様(厄除け)
5号車 亀甲文様(健康長寿)
6号車 梅文様(学業成就)
(2号車・七宝文様(家内安全))




(6号車・梅文様(学業成就))


また、3号車には、太宰府のお土産などを展示しますカウンターや、その下の画像の反対側には先述の「水都」のように「旅人」に乗った証しでもあります記念スタンプのスタンプ台も設けられておりました。やはり観光列車でもありますので、こういった記念に残すものも置かれているのもわからなくはなかったでしょうか。


(記念スタンプのスタンプ台も設けていました)


そして、1号車と6号車の先頭部にあります展望席であります(画像は1号車です)。この展望席12席に関しましては、黒地の梅柄のシートに交換されておりまして、1ランク上がったような形となっておりました。本当に、展望席と言うのは8000形電車でも一番売りのある座席でもあっただけに、画像でしか味わう事ができないのが惜しい所ではあります。


所で、各車両のドア際には、「千梅(ちうめ)ちゃん」と呼ばれます、太宰府市の看板娘であり、観光宣伝隊長でもありましたキャラクターの姿が各号車違った形で見る事ができておりました。本当に、様々な千梅ちゃんが見られるのもこう言った観光列車だから見られていた事がわかります。尚、千梅ちゃんは現在は月にいるそうでありまして、その姿を見る事はできなくなりましたが、時々「X」でも配信しているようであります。
そんな8000形電車8051F先代「旅人」は、平成29年9月16日で「旅人」として引退しておりまして、「水都」と同様3000形電車3010Fに継承されまして現在に至っております。残念ながら、先代が6両編成であったのが、2代目は5両編成と若干短くなりましたが、それでも先代の装備のほとんどは継承しております。
(車内ショーケース)~竈門神社に奉納する「願いごとの紙」を入れる祈願箱などがあります
また、8051Fに関しましては、「旅人」として引退した後も元に戻しまして天神大牟田線を平成29年10月まで走りました。しかも、久しぶりの白地に赤ラインの特急カラーでの運行でもありましたので、「旅人」として引退しまして解体へと至るのでは?とも思っていただけに、私自身正式引退までの最後の猶予期間を収める事ができて良かったと思っております。


今回は、今年で引退しまして8年になります8000形電車のうち、観光用として使用されておりました2編成をご紹介しましたが、この電車自体が平成の間しか見られなかった事もありまして、令和となりました今では見る事ができないのは、先輩でもあります昭和生まれでもあります5000形電車より先に姿を消した分残念ではなかったかと思っております。残念ながら、画像しかもう味わえなくはなっておりますが、その分3000形電車によりまして継承されているのは良かったと思う一方、直ではもう見る事ができませんが、それでもこの8000形電車の貢献度は大きかったのではないかとは思ってならない所でありましょうか。

