鉄旅と温泉⑤-3(あめつち)

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 三朝温泉での朝を迎えました。

 訪れたのは2月の山陰ですから天気は期待していませんでしたが、この時の旅行は晴れたのは出雲大社にお参りした時のわずかな時間だけ•••ただ、屋外を移動中には幸いなことに雨も雪も降らず傘をさすことはありませんでした。

 雨上がりの朝の温泉街を散策します。



 この時は降っていませんでしたが、旅館をチェックアウトして倉吉駅までレンタカーを走らせている時に風と雨が強まり荒れた天気に変わりました。

 倉吉駅ホームにて。


 次に乗車するのはこちらです。

 土休日を中心に運転される快速「あめつち」
 国鉄型気動車(ディーゼルカー)キハ47形を改造した観光列車です。


 都市間近郊輸送用のキハ47を改造したこの列車は事前に指定席グリーン券を購入して乗車できる全車グリーン車指定席列車です。

 事前のネット予約となりますが、車内で食事やスイーツが提供されます(当日予約はできません)。


 種車となったキハ47形一般車の姿です。都市間近郊輸送用として製造されたため扉はひとつの車両に片側2ヶ所ながら中央寄りに配置されて両開きドアとなっています。このため客室とデッキの仕切りはありません。

 一部の座席はカウンター席となっており、沿線の宍道湖などを正面に眺められるような配置です。

 観光列車用に内部は大幅に改造されており、グリーン車扱いとなっています。

 天地(あめつち)の名に相応しく、神話の国をイメージした内装です。






 事前予約しておいた食事のメニュー。



 古い国鉄型気動車からの改造ですが、内外装ともに素晴らしいデザインだと個人的には思います。しかし残念なのは、車体そのものは種車の構造そのままなのでデッキとの仕切りが無いので開放的過ぎること、窓割と座席配置が合っていない点です。同じように国鉄型気動車からの改造で新潟県内で運転されている「越乃Shu*Kura」が同じキハ40系列からの改造でもデッキとの仕切りを設けてあり、ローカル線用に扉を両橋側に配置したキハ48形などからの改造であることや窓配置まで手を加えた大掛かりな改造であることに比べると車内からの眺望という点ではちょっと残念な改造内容です。

 とはいえ、車内の座席や装飾などは観光列車としては申し分なく楽しめる列車です。


 宍道湖を眺めて走行します。沿線の景色が楽しめる区間では徐行し、車内にBGMが流れます。


 斐伊川を渡るとまもなく終点の出雲市駅です。

 昔からの暴れ川で、そのことからこの川が八岐大蛇(ヤマタノオロチ)であるという伝説が生まれたとも伝えられています。

 出雲市駅から再び駅レンタカーに乗り換えて稲佐の浜日御碕(ひのみさき)を訪れました。

 旧暦の10月(新暦の現代においても10月においても使用されることが多いですが•••)は神無月出雲国に全国から神々が集まって会議を開くということで各地にの神様が不在となるという俗信からこのように伝承されているわけですが、その俗信から神々が集まる出雲地方では10月を神在月として伝承されていることをご存知の方は多いと思います。

 全国から集まる神々をお迎えし、会議が終わるとお見送りするという稲佐の浜。この時は雨こそ降ってはいませんでしたが、強い風が吹きつけていました。

 それが車でわずかに移動して日御碕に来ると突き抜けるように明るい青空に変わりました。

 相変わらず強風が吹きつけているものの、空を映す海の色は鉛色から青緑へと変化しました。





 出雲市駅に戻る途中で島根県立古代出雲歴史博物館に立ち寄りました。


 こちらは展示物も豊富で、もっと時間をかけてゆっくり見学するべきだと思いました。極端に言えば1日をこの博物館の見学のためだけに使うという贅沢な時間を過ごしてみたい施設だと思います。


 出雲市駅に戻って駅レンタカーを返却、いよいよ東京に戻る時間が近づいてきました。

 この写真の北口とは反対側の南口側にある駅前温泉施設「らんぷの湯」でサッパリして列車の発車時刻を待ちます。

 復路も寝台特急「サンライズ出雲」に乗車です。

 車両の所属基地であるJR西日本後藤総合車両所出雲支所から列車が回送されてきました。


 往路の個室寝台は部屋の空間が狭い「ソロ」でしたが、復路はもう少し広い「シングル」の切符が取れたので往路よりはゆったりできそうです。

「ソロ」と「シングル」の大きな違いは、ソロは動力装置が床下に動力装置などを装備しているためダブルデッカーでありながら1階部分が高い位置にあるため1•2階ともに床から天井までの高さが低く、かつ個室内の面積も狭くて大きな荷物があると不便です。特に2階の個室は階段が床スペースのほとんどを占めるため大きなキャリーバッグなどがあると置き場に困ります。1階部分の個室では何とかキャリーバッグを置くことは可能ですが、足元がとても狭くなります。

「シングル」は動力装置など大きな床下機器を搭載していないため1階部分が低く配置されているため天井までの空間や床部分もやや広いので「ソロ」よりは居住性がいいです。

 復路では「シングル」の2階個室でした。



 上り列車では下り列車の東京駅21時50分発と違って出雲市駅を18時57分と早く出発します。そのため東京駅に到着するのも7時08分と早い時間に到着します。


 出雲市駅を発車していよいよ山陰の旅も終盤となりました。


 上りの「サンライズ」は下りに比べて3時間近く早く出発するため有効時間帯の関係で停車駅も異なります。下り列車では通過していた三ノ宮駅と大阪駅には停車しますが、下り列車では停車する浜松駅は通過となります。乗務員の交代のみで停車する運転停車する駅も異なります。


 熱海駅を発車して夜明けの相模湾を眺めます。動画は神奈川県の根府川駅付近を走行中の車窓風景です。


 上り列車では首都圏の通勤時間帯と重なることから何らかの理由で東海道本線で遅延が発生した場合の影響を小さくするため東海道貨物線を走ります。

 そのため普通列車との並走シーンを眺めることもできます。動画は大磯駅付近です。

 JR東日本の首都圏での通勤通学•近郊輸送の主役であるE231系•E235系との並走シーンにいよいよ旅行が最終盤となったことを実感します。



 東京駅に到着してこの旅行は終わりました。