新しい風に乗って

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202411台湾渡航⑥:彰化の機関庫と、台中捷運

11月の台湾渡航。5年越しに扇形機関庫への訪問が叶う。

 

前回の続きである。

setoutivrm.hatenablog.com

 

最初はこれ

setoutivrm.hatenablog.com

 

彰化の機関庫は博物館でも公園でもなく、立派に現役の鉄道施設である。私としても5年前も今回も鉄道趣味として訪問したわけで、一般的な観光施設として訪問したとは一切認識していない。そんな場所に(そして安全管理も自己責任の場所に)訪れる人は現地の同族、つまるところ鉄道マニアぐらいかと思っていた。実際、一般人が機関車見て何になるんだ。

普通の観光地には安全標語なんか無い。

通用門からすこし奥に入ると、さっそく3両の機関車が留置(あくまでも現役の車庫なので、展示ではなく留置として表現する)されていた。R20形というアメリカから輸入してきたディーゼル機関車、いわゆる「アメロコ」というやつである。台鉄では殆どの路線が電化され、数少ない非電化路線も旅客列車としては気動車が走っているためこれらのディーゼル機関車は貨物列車メインで走っているようだ。右側の車両はどうやらトップナンバー。青色に塗られているのは何故だろうか?

視線を右に向けると謎のロボットが鎮座していた。こち亀ロボット刑事を彷彿とさせるようなブサイクな見た目である。なんでも鉄道部品を組み合わせて作られているらしく、似たようなものは島内で複数存在するらしい。…そういえば、台北の駅舎にもこんな感じの奴がいた気がする。

うおっ、でっか♡

先のR20形の間を通り抜けると機関庫を見渡す場所に出る。梅小路や津山を彷彿とさせるような大きな扇形機関庫である。そして写真に写りこんでいるように子供連れがかなり多い。改めて言うがここは博物館でも公園でもなく、現役の鉄道施設である。その気になれば車庫の中に眠っている機関車を起動させて本線に出すことができるのである。いやはや、そんな場所がこんな緩いとは…。

扇形機関庫と駅側線部分は一応分けられている。遊客禁止進入の看板があるが日本人にはなんとなく内容がわかるのが救いで、まあ漢字というのは便利なものだ。その禁止進入看板の先には架線が張られており、電気機関車、さらにその奥は駅の側線として電車も留置されていた。一方で上の写真の通り扇形機関庫部分には架線が張られておらず、転車台で向きを変えられるのは1両のみということもあり留置できる車両はディーゼル機関車か、蒸気機関車になる。そもそも扇形車庫そのものが蒸気機関車に都合のいい構造である。建屋に煙突があるのは機関車からの煙を逃すためだし。

複数の写真があったので合成じゃないっぽい

だが施設内には、電気機関車や電車までこの車庫に留置させたときの写真が掲げられていた。この写真の左から4両と、右から3番目以外の車両は電車や電気機関車で、ここに押し込むためには先頭車1両だけ転車台に持って来て、向きを変えて機関車か人力かで押してやらないとならない。どんだけ手間をかけたのやら…

施設内には展望台がある。俯瞰して車庫を撮影することも可能だ。11番線に1両だけいる蒸気機関車はCK124号機。日本では真岡鉄道でSLをけん引しているC12形の同型機とのこと。台湾が日本国の外地だった時代の機関車だ。そしてこいつもその気になれば本線を走れるらしい。

車庫の反対側には色あせた機関車がいた。R7…と書かれているように見えるが車番がぼかされて判別することができなかった。この様子から見ると既に現役を退いた車両なのだろうか。隣の客車もあまり整備はされていなかった。

 

しばらく滞在し、満足したところで駅へと帰ることにした。出口は入口とは別の場所にあり、一方通行の回転ゲートを通り抜けて出たがその先は鉄道グッズの数多く取り揃えられているおもちゃ屋に通じていた。ふと、小さい頃に岡山県は玉野にあるおもちゃ王国に行った時のことを思い出した。あそこも出口がおもちゃ屋に直結している構造だった。さっき車庫内で子供を引き連れていた台湾現地の親はここで子供に困らされることになるのだろうか。

 

往路とは違い駅裏ルートから駅に戻り、新烏日へと戻る。3面5線に多数の側線を擁する大きな駅だ。

おお

EMU500形、それも②でちらりと触れた病院の椅子号が停車していた。色合いと若干エナメルな感じが病院の待合室のそれである。

この病院の椅子号は彰化駅から海線方面に向かう。新烏日へと向かわない列車なので乗ることは叶わなかった。好んで乗る必要もないが。

新烏日からは台中捷運へ乗り換えた。こちらの駅名は高鐵台中である。台鉄もこれにすればよかったのにそうしなかったのは、何か高鐵には屈しないみたいな意地でもあったのだろうか。

この路線の特徴は完全自動運転であること。運転士の類はおらず、客室最前部・最後部からは線路方向の景色を存分に視認できる。後方に陣取って景色を眺めていた。

市政府という駅で降りてみた。ものものしい名前に見えるが、市の政府、要するに市役所である。台中捷運は騒音やプライバシーに配慮してなのか、写真奥のように高架区間の大半にシェルターがかぶせられていた。電車が外に出てくる場所は結構少ないようである。

対向の電車がやってきた。2両編成で5ドアという詰め込み輸送に特化した仕様である。いや実際都市鉄道で稼ぐのはそれが一番最適解なんだろうけども。

ロゴ

台中捷運のロゴマークが気に入ったので撮影した。台中の「中」を図案化したものである。色合いも含めて、どこか近未来的でカッコいい。

駅構内にでかでかと謎キャラクターの絵が鎮座していた。後で調べたところ台中捷運のキャラクターではなく、子午計畫(MeredianProject)というコンテンツとコラボしているようだ。

 

台中捷運を全部乗り通してもよかったが、この駅から台中駅へと向かう方が台北には早く着くようである。連接バスに乗ったはいいが、このバスがハズレだった。運転の荒さは事前に覚悟していたのだが車両の整備が悪く、停止中にアイドリングの振動が激しく地面から響いてくるのである。動き出してしまえば何の問題も無いのだが数十分揺られるだけでグロッキーになってしまった。

 

くたくたになりながら台中駅へ到着。2019年の時は駅の外のよくわからない場所で放り出されたが、今回はちゃんと駅前広場にバスが着いてくれた。

 

今の台中駅は高架駅だが、地上駅時代の駅舎がすぐ隣に残されている。ここに車両がいくつか保存されているようなので時間つぶしに訪問した。駅舎周辺ではバザールが開催されていた。

DR2700形という優等ディーゼルカーである。

EMU100形。これは有名な車両である。この車両ではないが動態保存されているものもあり、そいつが本線に出てくると日本の電車オタクが大挙して台湾に押し寄せるという噂だ。

運転席にはちいかわのウサギがいる。ちいかわも台湾に進出しているようだ。

※このほか、機関車1両が保存されているが、割愛する。

台北へ向かう列車に乗ることにする。自強号(日本で言う特急)に揺られることになる。切符を買うとQRコードが印字されており、自動改札も券を差し込むのではなくQRコードを読み取らせる形になっていた。驚いたが、よくよく考えると前回の渡航はTR PASSで係員改札を通った気がするし、今回のこの時刻までは近距離利用なのでICカードを使っていた。切符は初めてかもしれない。

ホームには新型の自強号であるEMU3000が停車していた。12両貫通という輸送力の鬼みたいな電車である。正直これに乗ってみたかったが、惜しくもダイヤがかみ合わず叶わなかった。いつも通りのプッシュプルの自強号に乗りこみ、台北へと向かった。

 

続く

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