昨年末JR北海道は今年3月のダイヤ改正の概要を発表しました。旭川~網走間の特急「大雪」を特別快速に格下げし、1号以外の特急「オホーツク」の時間帯の変更が盛り込まれていました。
「大雪」は4往復の「オホーツク」のうち2往復を旭川~網走間に短縮した特急列車で、2017年3月のダイヤ改正で登場しました。もともとは札幌~網走間で運転されていた急行列車の愛称で、25年ぶりの愛称復活でした。
私個人的には宗谷方面も含め札幌と直通していた列車を旭川でぶった切るのは悪手でしかないとずっと思っています。しかし、2016~7年頃はキハ183系の老朽化問題に直面し車両のやりくりが厳しくなっていたので、暫定的な措置であれば仕方がないとも思っていました。
ただ、旭川分断が恒久的に続くと石北本線特急自体がジリ貧になっていく予感はしていました。競合する都市間高速バスは札幌~北見間が9往復、札幌~網走間が6往復運転されています。今回の「大雪」の特別快速化は利用の低迷が理由とのことで、やはりそうだったかという感じです。
「大雪」には何回か乗っています。グリーン車はキハ183系時代にありましたが、2023年3月のダイヤ改正でキハ283系化された際になくなっています。キハ283系に置き換わってからはまだ乗れていないので、なくなる前に乗っておきたいなと考えています。
また、「大雪」の特別快速化に伴って、旭川駅で改札を出ずに「ライラック」「カムイ」と「大雪」を乗り継ぐ場合は特急料金は通算できる特例はなくなります。この特例が適用されたきっぷはまだ収集できていないのでこちらも課題です。
「大雪」の特別快速化についてあるニュースサイトで「料金が割安になる」と結論付けている記事がありました。これは半分正解で半分誤りです。
まず正規運賃+料金で比較してみます。JR北海道では4月から運賃値上げが予定されていますが、比較のためここでは現行運賃で計算しています。
◆正規運賃(現行運賃)+特急料金
オホーツク直通 | ライラック・カムイ + 大雪 |
ライラック・カムイ + 特別快速大雪 |
|
---|---|---|---|
札幌(市内)~遠軽 | 8,560円 | 8,560円 | 7,970円 |
札幌(市内)~北見 | 9,660円 | 9,660円 | 8,850円 |
札幌(市内)~網走 | 10,540円 | 10,540円 | 9,730円 |
上で書いたように旭川駅で改札を出ずに「ライラック」と「大雪」を乗り継ぐ場合の特急料金は通算できるので、「オホーツク」直通利用の場合と同額です。この比較であれば特別快速化によって特急乗車区間が短くなることで少し安くなります。ここは半分正解です。
次に特急列車は「えきねっと」で前日まで購入可能で最安な「特急トクだ値1」を利用した場合で比較してみます。北海道の「特急トクだ値1」はダイヤ改正以降で割引率が上がるので4月以降の価格での比較とし、旭川から先の特別快速利用区間の運賃も値上げ後のもので計算しています。
◆特急トクだ値1利用時(4月以降の新料金)
オホーツク直通 | ライラック・カムイ + 特別快速大雪 |
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---|---|---|
札幌(市内)~遠軽 | 5,330円 | 5,800円 |
札幌(市内)~北見 | 5,990円 | 7,560円 |
札幌(市内)~網走 | 7,060円 | 8,660円 |
あら不思議。石北本線特急の「特急トクだ値1」の割引率が高いため、「特急トクだ値1」がない特別快速を利用した場合の方が高くなります。ここが半分誤りです。快速化して割高になるのはおかしな話ではありますが、どうせ記事するするならばこういうところまで掘り下げて発信して欲しいものです。調べれば10分で分かることなので。