西武鉄道は1月23日、2025年3月ダイヤ改正の概要を発表しました。今回はこれについて分析します。なお、記事中の時刻表は、東京時刻表などをもとに当局が作成し、その他の図は西武鉄道ホームページやプレスリリースから引用しています。
1.特急・S-TRAIN
(1)平日夕方に運行されているS-TRAINの発車時刻が全列車30分繰り上がります。夕方のラッシュ時間帯が早い時間帯へ推移していることを受けての変更としています。
現行のS-TRAIN109号は豊洲22:00発、所沢22:57着と遅い時間帯の運行なので、22時台よりは17時台のほうが利用者の獲得が期待できそうです。
(2)平日朝に運行されている、飯能発池袋行き特急「むさし20号」の所要時間が6~7分短縮されます。
主に所沢~池袋間の所要時間が短縮されます。一般列車の特急待避の設定を見直すものと思われます。
(3)日中時間帯の新宿線の特急「小江戸」本川越行きの西武新宿駅発車時刻が、毎時40分発から毎時30分発に変更となります。
西武鉄道いわく、「より分かりやすいダイヤを目指す」とのことですが、今のダイヤでもそこまで分かりづらいわけではないので、わざわざ変更する理由は何だろうかと思っていました。別のサイトでは、「池袋線の特急「ちちぶ」が池袋発毎時30分なので、それに合わせるということではないか」という指摘をしている方がいて、なるほどと思いました。
2.一般列車 池袋線関係
〇平日朝時間帯
(1)所沢駅のホーム上の混雑緩和を図るため、所沢始発の上り列車3本が以下の通り変更となります。 これにより、所沢駅6~7時台の所沢始発の列車がなくなります。
・所沢6:38発普通新木場行き→清瀬始発に短縮
・所沢6:59発準急新木場行き→小手指始発に延長
・所沢7:52発準急池袋行き →小手指始発に延長し、通勤準急に変更(石神井公園は通過)
池袋線の飯能・西武秩父方面(下り)は、4番線と5番線の2線ありますが、池袋方面(上り)については3番線の1線しかありません。しかも、池袋方面へ向かう列車が発着するホームは、上図のとおり新宿線の西武新宿行きの列車が発着するホームと共用となっています。(西武新宿行きが2番線、池袋行きが3番線)
要は、新宿方面への通勤通学客、池袋方面への通勤通学客の双方が同じホームに集結するため、混雑が激しくなっているというわけです。
所沢始発列車を設定すると、到着した列車を見送り始発列車を待つ人が出てくるため、ますますホームに人が滞留することとなります。その滞留をなくすため、ラッシュ時間帯は所沢始発の列車を廃止することにしたとみられます。
(2)通勤準急
通勤準急の一部が準急に変更され、石神井公園に停車します。通勤準急は現在3本運行されていますが、どの列車が準急に変更されるのかは不明です。個人的には小手指6:57発の通勤準急が対象ではないかと予想しています。
(2)飯能駅での乗り継ぎ改善
西武秩父5:56発普通飯能行きから飯能6:43発急行池袋行きへ、また、西武秩父6:18発普通飯能行きから、飯能7:04発快速急行池袋行きに新たに乗換ができるようになります。
なお、飯能6:45発快速元町・中華街行きは、小手指始発に短縮されます。
以上を踏まえ、改正前後でどのように変わるのかをみてみましょう。
<小手指駅6時台後半 現行>
<小手指駅6時台後半 改正後予想>
黄色部は運転区間延長、橙色は設定変更、灰色は減便部分を示しています。所沢6:38発の普通新木場行きが清瀬始発に短縮されると、途中の秋津駅に停車する列車が6:39~6:49と10分空いてしまうので、ここは何らかの変更がなされるものとみられます。
続いて、小手指駅7時台前半をみてみます。
<小手指駅7時台前半 現行>
<小手指駅7時台前半 改正後予想>
飯能駅での西武秩父方面からの普通列車→池袋行き急行・快速急行への乗り換えが新たにできるようになり、池袋駅へ10分ほど速く到達できるようになるとみられます。吾野や東飯能など、特急通過駅からの都心への通勤はかなり便利になるのではないかと思います。
<小手指駅7時台後半>
所沢7:52発の準急が、小手指始発の通勤準急となります。通勤準急の運行時間帯を現行より後ろ倒しするものとみられます。
〇平日日中時間帯
元町・中華街15:18発Fライナー快速急行所沢行きが、小手指行きに延長されます。東横線~副都心線~西武線を直通するFライナーの中で、この列車だけ唯一所沢行きとなっていましたが、他のFライナー同様、小手指行きに統一されます。
〇平日夕夜間
(1)17時台
池袋17:20発準急飯能行きが急行飯能行きに、池袋17:25発急行小手指行きが快速飯能行きに変更となります。
<現行>
<改正後予想>
現行ダイヤでは、17:20の準急の5分後に急行が発車しています。この急行はひばりが丘で準急を追い抜くため、所沢方面へ向かう人が急行に集中し、混雑しているものとみられます。混雑を緩和するために、準急と急行の発車順序を入れ替えたうえで、所沢から先のダイヤを現行と同じにするために準急から快速へ格上げするものとみられます。
なお、練馬18:10発普通飯能行きは、ダイヤ改正後の急行と運行時間が重複するため、小手指止まりになるのではないかとみています。
(2)21~22時台
池袋22:02発準急飯能行きが急行に格上げされます。一方、池袋22:32発急行飯能行きは快速に格下げされます。
<現行>
<改正後予想>
池袋22:02発の飯能行きは急行となりますが、先行する普通列車やS-TRAINがいる関係で、現行の準急と大きく変わらないダイヤになるのではないかと予想します。また、この列車が急行に格上げされると、保谷駅から所沢方面へ向かう列車が20分ほど空いてしまうため、いずれかの普通列車が区間延長される可能性が高いです。
池袋22:32発の急行も、先行列車の関係であまり速くないので、快速に変更しても所要時間は大きく変わらないでしょう。急行通過駅の混雑緩和という目的も兼ねているとみられます。
(3)23時台
池袋23:26発急行飯能行きが、23:22発快速飯能行きに変更となります。
池袋の発車時刻を4分早め、所沢以降は現行と同じ時刻で運転することになりそうです。こちらも、急行通過駅の利便性向上が狙いとみられます。
このほか、土休日は一部列車が8両から10両へ増車となる一方、西武秩父線の普通列車については秩父鉄道直通列車を除き全て4両編成となります。
3.一般列車 新宿線関係
(1)早朝時間帯
拝島5:12発の一番列車(普通小平行き)が、準急西武新宿行きに変更となります。これにより、西武新宿へ乗り換えなしで速く到達できるようになります。
なお、この準急の設定により、現行ダイヤの新所沢発西武新宿行き普通列車は上石神井始発に短縮されるのではないかとみられます。
(2)夜時間帯 最終列車繰り下げ
本川越23:31発の普通所沢行きが増発となります。これにより、本川越から所沢への最終列車が約20分繰り下がります。
推測ですが、この列車は本川越から南入曽車両基地に向かう回送列車を活用した列車と思われます。車両基地に戻す前にもうひと働きさせて、川越から所沢・飯能方面へのアクセスをよりよくしようという狙いがあるとみています。
(3)臨時列車
土休日に設定されている新宿~多摩湖間直通の臨時急行列車について、上り多摩湖発西武新宿行き急行の設定がなくなり、多摩湖発国分寺行き普通列車に変更となります。多摩湖から都心方面へ帰る行楽客の利用が少なくなったか、国分寺線の本数を充実させるための変更とみられます。
このほか、山口線・狭山線でも一部時刻が変更となります。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。細かな内容が多い改正内容でしたが、狙いが分かりやすいものと分かりづらいものが両方あった感があります。このプレスリリースに掲載されていない列車も、時刻や行先変更がされている列車が多数あると思われ、ダイヤの全体をみてみないと何とも言えない部分も多くあります。
その点については、改正後の時刻が明らかになった後に再度検証して、分析したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。