自動切替導入が困難なら運転台機器から音声による操作案内はできないか?
2025年1月25日12時50分頃、JR七尾線津幡-中津幡間で、金沢発七尾行き普通列車2両編成の2両目、パンタグラフ付近から出火する事故がありました。
交流電化区間から直流電化区間に進入するため、電源を切り替える際、運転士の切り替え操作が遅れたことから、屋根上から大きな電流が流れて火災になったとみられます。
同区間では2016年4月にも同様の、電流切り替え操作の遅れがありましたが、今回のような出火事故にはならなかったとのことです。
電流切り替え作業忘れの防止策は二つ
今回の事故の再発防止には、JR東日本が常磐線取手-藤代に導入している、ATS-P 専用地上子を用いた電流自動切り替え方式の導入です。
特急「ひたち」「ときわ」のE657系、臨時特急用E653系、普通列車用E531系で用いられており、自動切り替え方式により今回の七尾線のような運転士の切り替え操作遅れによる火災事故は防ぐことができます。
ただし、JR西日本側の事情、七尾線の利用状況等から、JR東日本のように直ちに導入することは難しいかもしれません。
次善の策として、津幡-中津幡間の電流切り替え地点に近づいたら、運転台機器から運転士に対し、音声放送案内を自動的に流すようにしてはどうでしょうか。
「まもなくデッドセクション、交直電流切り替え地点に入ります。電流切り替えを行なってください」といったような注意喚起放送を運転士に流すものです。
言語でなくベル、チャイム、音楽等に代えて流してもよいでしょう。
いずれにしても何らかの警告音声を流すことを検討してみてはいかがでしょうか。
交直流電流切り替え区間の状況
以前から交直流電流切り替え地点は、今回の七尾線に限らず、他の路線でも運転士にとっては緊張する区間といわれています。
電流切り替え区間のうち、JR東日本の常磐線取手-藤代、水戸線小山-小田林、東北線黒磯-高久間の普通電車、羽越線村上-間島間での特急「いなほ」はいずれも自動切り替え方式です。
今回の七尾線と同じ手動切り替え方式は、ハピラインふくいの敦賀-南今庄、山陽線下関-門司の415系普通電車、えちごトキめき鉄道糸魚川-梶屋敷の455系団体列車で残っています。
手動の電流切り替えは、以前は車内の電気が一瞬消えることもあって、旅の楽しみ、風物の一つでした。
安全・安心が第一なので、電流の自動切り替え変更を願いつつ、電流変更の楽しみは別の方に求めていくことになりそうです。
ただ、その際に、現在の521系電車から気動車への置き換えで電流切り替え防止を図るのは残念というか、悲しいものがあります。
ともあれ、JR西日本には再発防止の対策を願いたいと思います。
(※ 筆記にあたり、新聞各紙の記事を参考にさせていただきました。)