まえがき
若い頃はどこへ行くのにも車が中心でしたが、子供が成長して独立して親の手を離れると鉄道で旅をする機会がずいぶん増えました。
もともと幼少の頃から鉄道は好きでしたが、子供が生まれてからはどうしても車での移動の方が便利だったからしばらくは旅行の移動手段から鉄道を選択することは少なくなっていました。
子供が成長して独立してからのここ10年ほどはまるで今までの空白を埋めるかのように鉄道を利用して夫婦で旅行するようになりました。
もちろん新幹線網が拡充されて東京からだと到達時分がかなり短縮されたこともありますし、事前に目的地の駅レンタカーを予約しておけば旅行先での移動も便利である面もあります。さらに還暦を越えた私とすれば長距離運転はなるべく控えた方がいいのだろうし、行き先が遠ければ遠いほど車より鉄道で移動する方が楽だと思うようになりました。
ここで私の経験が役立っているのは、鉄道が好きなので乗車経路や列車の選択ということもあることと、およそ30年にわたって長距離トラックドライバーに従事していたことで旅行先での移動も大雑把な部分ではカーナビも不要なほどにいろいろな道路を知っているということかもしれません。
管理職となってトラックから降りて内勤に変わって十数年経過して高速道路も新規開通したところも多かったり、一般国道などでもバイパスや広域農道の開通でずいぶん変化した部分もありますが、本当にナビ頼りとなるのは目的地の温泉旅館に着く手前で入り組んだ古い温泉街で旅館の場所を探すくらいなものです。
まあ早送りのように車窓の風景が次々に通り過ぎてゆく新幹線はともかく、緩やかに時間が流れる在来線での車窓の楽しみは旅の楽しみのひとつです。
まえがきがずいぶん長くなってしまいましたが、私の鉄旅と温泉旅行の組み合わせを振り返ってみたいと思います(日帰りは割愛します)。
子供が親の手を離れて最初の鉄道利用での温泉旅は結婚30周年記念を兼ねての夫婦旅でした。
この時は旅行の計画を立てるにあたって
「母ちゃん、どこへ行ってみたい?」
と、意向を訊いたところ
「角館の武家屋敷通りに行ってみたい」
とのことでしたので、旅行先を秋田県にしました。
秋田新幹線「こまち」に乗車したのはこの時が初めてでした。
角館駅で予約しておいた駅レンタカーに乗り換えて武家屋敷通りや田沢湖を観光しました。
でも、私としてはこの造りは好みでしたから結果的によかったのかもしれません。
訪れたのは11月後半•••既に紅葉は終わって初冬と言った方がいい季節でした。
こちらに一泊してから国道46号線〜国道13号線と車を走らせて秋田市の土崎港でセリオンに立ち寄ってから男鹿半島の南岸のリアス式海岸に沿って男鹿温泉へと向かいました。
昼食は男鹿半島のこちらに立ち寄りました。
大きな牡蠣は別注文。美味しかったです。
男鹿での宿泊は雄山閣。
チェックインを済ませてから車を走らせて向かったのはなまはげ館。
こちらでは県内各地に伝わるなまはげのお面や衣装などが展示されています。
隣接する場所には古民家が移築されており、こちらではなまはげの実演を見学できます。
男鹿名物といえば石焼味噌汁。元は漁師料理であったものを男鹿のホテルや旅館で提供されるようになって男鹿名物となっています。下茹でしていない生の魚介類などが汁に入った桶に真っ赤に焼けた石(金石と呼ばれる溶結凝灰岩)を入れて一気に沸騰させるものです。普通の石では高温になるまで焼くと割れてしまいますが、金石は割れないので(といっても2〜3回ほど使用すると割れてしまうそうですが•••)このようなことが可能なのだそうです。