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京都とともに古都として人気が高い奈良だが、鉄道によるアクセスは近鉄が優位に立っているのはご存知の通り。
しかし、近年はJR西日本がアプローチを見せている。奈良県は長い間JRの特急列車が走らない空白県だったのだが、2019年に開業したおおさか東線を活用して、新大阪駅で新幹線に接続する奈良駅行き臨時特急「まほろば」の運転が開始され、この春のダイヤ改正で定期運行(土休日のみ)になるそうだ。秋には専用車両(リニューアル車)も投入されるとか。
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そして今度は京都駅からJR奈良線経由で奈良駅までの臨時特急「いにしへ」一往復の運転が発表された。しかしながら、ダイヤを見ると所要時間は50分前後と現行の最速列車「みやこ路快速(画像)」と変わらない。奈良線の線形や単線区間の存在などを考えると仕方ないのだろうが、かなり冒険的な試みのように感じる。
京都駅と近鉄奈良駅の間には近鉄特急が30分毎で運転されており、所用時間は35分。特急料金もJRの半額以下だ。しかも奈良での観光には、近鉄奈良駅の方が好立地にある。JR特急が根付くか興味があるところだ。
それにしても面白いと思うのが関西流の列車のネーミング。JRは「まほろば」「いにしへ」。近鉄の観光特急も「あをによし」と、いずれも古語かそれに類するものが使われている。インバウンドの観光客にはチンプンカンプンだろうし、若い世代の日本人にはどう受け取られているのだろうか。
奈良駅への優等列車と言えば、かつては名古屋駅からも関西本線経由で急行「かすが」が運転されていた。こちらは伊賀上野駅までの復活運転の動き(実証実験とか)があるようだが、再度奈良駅まで走る日は来るのだろうか。