↑前回からつづく↑
キハ85系に引退の話がチラホラと聞こえ始めた2022年2月のこと、同車で唯一乗ったことのなかったキロ85形に乗りたくて、名古屋→富山を最前列となる10号車1番C席で乗り通しました
途中の下呂まで周囲に騒音を喚き散らす熟年夫婦がいたり、日の短い2月だったので、飛騨古川以北の車窓が真っ暗だったりしたものの、無事に終点の富山駅に到着しました
ダイワロイネットホテル富山駅前で一夜を明かし、富山13:02発の「ひだ」14号で名古屋へ戻る予定にしています
午前中は特に予定を入れておらず、フリーにしており、前から乗りたかった富山ライトレールに揺られて、市内を散策することにします
富山駅前は北陸新幹線開業と路面電車の南北接続事業によって、かつての面影が一新され、様変わりしました
富山ステーションシティの上層部には、翌月(2022年3月)に開業を控えたヴィスキオ富山が存在感を放っています
それでは、富山駅から岩瀬浜行きに乗車します
JRの富山港線を引き継ぎ、一部区間で併用軌道を新設し、2006年4月に日本初のLRT路線として開業した富山ライトレール
開業から15年以上経っていますが、ようやく乗ることができました
富山駅で電車を撮りそびれたので、いきなり車内から離合する車両たちを捉えた写真からになります
富山港線時代は線内に交換設備を備えた駅が1ヶ所しかなく、データイムの運行間隔は60分ヘッドであり、人口40万人を超える富山市の都市近郊鉄道として十分な運行本数が確保されているとは言い難い状況でした
LRT化にあたって、交換設備が4ヶ所に増強され、データイムで15分ヘッド、平日朝夕ラッシュ時には10分ヘッドの運行が可能になりました
運転席の見える席に陣取ってすれ違う電車を眺めていると、充当される車両が複数あることに気付きます
主力車両は同線のLRT化時に導入された0600形で、それに運用の都合でT100形や9000形も充当されます
いま私が乗っているのが、3車体2台車連接構造のT100形で「SANTRAM」の愛称を持ちます
製造元はもちろんアルナ車両で、リトルダンサーファミリーの一員です
富山駅から30分で終点の岩瀬浜駅に到着しました
特に駅周辺に何かあるわけでもなく、適当に散策してすぐにいま来た道を引き返そうと思っていたのですが…
岩瀬運河沿いを歩いていくと、富山が世界に誇る冠雪した立山連峰の姿を望むことができました
下調べも何もせずに、偶然こうした絶景に巡り合えると嬉しいですよね
何のあてもなく、漫然と歩を進めていくと、素敵な絵に出会いました
富山湾の情景に北陸新幹線や富山ライトレールが描かれていますが、看板屋さんかなにかでしょうか?
特にGoogleマップか何かを見ていたわけでもなく、不意に古い町並みが残るエリアに遭遇しました
旅行先で、普段とは違う景色、日常とは違う刺激を求めるタイプの人間なので、何のあてもなく散策することはよくあるのですが、さきほどの絶景もさることながら、偶然の連続に驚かされます
岩瀬浜の古い街並みが保存されているエリアには、旧馬場家住宅と旧森家住宅の2件が内部を観光客向けに公開しています
まずは馬場家住宅から見学してみましょう
馬場家は江戸後期から北前船で財を成し、岩瀬五大家に筆頭に挙げられていたそうです
この建物は、2016年に国の有形登録文化財になりました
建物全景を収めていませんが、続いて隣にある旧森家住宅にお邪魔しました
こちらも北前船で財を成した人物のお屋敷であることが容易に想像できます
現在は、2024年元日に発生した能登半島地震の影響で臨時休館となっており、2026年以降に再開される予定です
ひとしきり観光を終えて、東岩瀬駅から再び富山ライトレールに揺られ、富山駅まで戻ります
JRから富山ライトレールへ移管される時に、ほとんど駅で旧駅舎は取り壊されましたが、建物が比較的新しかった競輪場前駅とこの東岩瀬駅だけは解体を免れました
駅舎は1924年に富岩鉄道として開業した当初からあるもので、ホームにはしっかりと上屋も残っており、いまにもブルーの帯を巻いた北陸地域色の413系がやって来そうです
そんな妄想はたいがいにして、やって来た電車はぴかぴかの9000形「CENTRAM」です
往路で乗車したT100形SANTRAMと違って2車体2台車構造で、製造元もアルナ車両ではなく、新潟トランシスとなっています
富山駅に着くと、ちょうどT100形SANTRAMが入線してきました
窓下のラインが黄色なので、T104編成ですね
富山駅でさっきまで乗ってきたCENTRAMとSANTRAMが並びました
富山市内を走る新鋭路面電車ファミリーですが、同じ形式でも編成によって塗装が異なるのが特徴です
片や引き締まったブラック、片や富山の新雪思わせるホワイトですが、両車共に愛称も形式も同じ9000形「CENTRAM」です
大胆な色使いは、G.K.インダストリアルデザインの手により生まれたものです
そんな最新鋭の連接車体の低床車に混じるようにして…
…1960年代生まれの7000形電車もまだまだ元気に走っています
冠雪した立山連峰の下に、富山湾の波を表現した穏やかなラインを幾重にも重ねたシンボリックなイラストがコンコース上にありました
2022年3月改正で”ワイドビュー”の愛称が廃止されるので、律儀にみどりの券売機の操作画面をカメラに収めていました
昼食は前々から気になっていた駅構内にある「すし玉」さんでいただきました
注文したのは、富山駅店限定となる”厳選かがやき7”で、見るからに新鮮そうなネタが並びます
商品名は、もちろん富山駅に発着する北陸新幹線「かがやき」がE/W7系であることをもじったネーミングですね
お寿司が7貫だけでは足りなかったので、追加で巨大な穴子を頼みました
皿からはみ出しそうな勢いの穴子は、表面が香ばしく炙られており、一口頬張るとふわっふわっな身に全人類が驚くことでしょう
しかも、卓上には穴子専用のタレが用意されており、これもじっくり穴子を煮詰めて作った特製品で、相性が悪いわけありません
昼間からビールを流し込みたい衝動に駆られましたが、これからの行程に差し支えるので控えておきました
それでは、再び「ワイドビューひだ」に揺られて、富山から南下するとします
次回、「ひだ」14号&16号編へつづく…