私のレイアウト、白縫鉄道川正線(しらぬいてつどうかわまさせん)には、運転上のネックが存在します。
それは、2ヵ所のカーブポイントです。
2ヵ所ともPECO製で(ST244、ST245)、ポイントの仕組みをPECO流に言うと、”インサルフログ”であり、電気の流れは下図のとおりです。ポイントの切換えによって、分岐先の片側のレールを無電にすることができるため、アナログ運転には非常に便利です。
ただし、私のレイアウトはDCC運転を行っており、DCCでは、常時、全てのレールに通電していることが望ましいため、分岐先にもフィーダーを設けており、電気の流れは下図のようになっています。
このカーブポイントが運転上のネックとなっている原因は、上図に示す長い無電区間です。C11 や C12 のようなタンク機の通過は殆ど期待できませんし、9600 のようなテンダー機も、稀に怪しいことがあります。
これを解消しようと考えて購入したのが、PECOの新型カーブポイント、SL-U76 と SL-U77 です。購入後、1年以上放置していましたが、ようやくポイントの交換を敢行しました(
購入直後の投稿はコチラ、電気方式の図など、今回と重なる部分も多くあります)。
SL-U76 と SL-U77 の電気方式は、”ユニフログ”と言い、電気の流れは下図のとおりです。
フログの先端へ給電するためには、別途、部品が必要となります。
ところが、転轍機標識を回転させるために手動による転轍を選択した川正線では、この部品の取付が困難であり、せっかくの新型ポイントを1年以上も放置することになりました。
非常に便利なユニフログも、別途の部品を付けなければ(=フログの先端に給電しなければ)、インサルフログと同じく、長い無電区間が生じます。
次の動画は、フログ先端に給電しない状態で、機関車の通過をテストしたものです。
テスト機は、エコーモデルの ”汽車会社製 20t Cタンク” です。
この機関車、短いホイルベースにも関わらず、スピードを上げると、このポイントを通過してしまうのですが、ゆっくり走らせると・・。
どうやら、全ての動輪が無電区間に乗ってしまったようです。
速度を上げると通過できるのはフライホイールの効果でしょう。
![ポイントの無電区間に乗るCタンクの動輪](https://stat.ameba.jp/user_images/20250126/14/yanagi35100000/38/88/j/o3264150415537282208.jpg?caw=800)
折角の新型ポイントも、このままでは宝の持ち腐れなので、長い無電区間の短縮化を目指して、ちょっとだけ手を入れました。
その手法とは、”ユニフログ”を”エレクトロフログ”に変更することです。
エレクトロフログは、昔からある方式で、今は無きシノハラのポイントもこれでした。
変更後の電気の流れはこうなります。
![ユニフログから改造したエレクトロフログの電気の流れ](https://stat.ameba.jp/user_images/20250126/15/yanagi35100000/7c/6b/j/o0879045115537292643.jpg?caw=800)
勿体ない手法ではありますが、今のことろ、PECOは、このサイズのカーブポイントのエレクトロフログ版を出していないので、「それなりの意味はある!」と自分に言い聞かせました。
以下、工作の方法です。
これは、ポイント(SL-U76)を裏返したところです。
![ユニフログポイントに裏側](https://stat.ameba.jp/user_images/20250126/15/yanagi35100000/3f/52/j/o3264150415537301949.jpg?caw=800)
フログ先端に給電するための金属線と、両方のトングレールの裏側をはんだ付けすれば良さそうです。お誂え向きに、インサルフログで使用する溝彫りがあるので、金属線を通すのに便利です。
ところで、フログ先端裏側の結線状況をよく見ると、私が無電と思い込んでいたウィングレール(図では、黒い線で描いた部分)にも給電されるようですね。
![ユニフログポイントの裏側(フログ先端部)](https://stat.ameba.jp/user_images/20250126/16/yanagi35100000/ff/38/j/o0932044015537312582.jpg?caw=800)
次の写真は、フログ先端と両方のトングレールをはんだ付けしたところです。
![ユニフログをエレクトロフログに改造したポイントの裏側](https://stat.ameba.jp/user_images/20250126/16/yanagi35100000/aa/54/j/o3264150415537313900.jpg?caw=800)
はんだ付けの邪魔になる部分の樹脂を削って、両方のトングレールもろとも、大量のはんだを盛り上げてくっつけました。
盛り上げたはんだは、この後に削って、枕木の底面とツライチにしました。こうすることで、ベースボードが、はんだを隙間なく保持することになり、はんだが取れにくく、通電も長持ちすることが期待できます。
トングレールと基本レールの結線も、忘れずに切断しておきます。
![ユニフログをエレクトロフログに改造したポイントの裏側(トングレール部分)](https://stat.ameba.jp/user_images/20250126/16/yanagi35100000/2a/c2/j/o2401097015537317829.jpg?caw=800)
ここで、もう一度、エコーのCタンクで通過テストを実施しました。
結果は、狙い通りでした。
無事にポイントの改造が出来たので、川正線のレールを交換します。
まず、既設のカーブポイントを外します。
ポイントを外す際は、真ん中辺りを容赦なくカットして、ポイントをバラバラにしないと両端のジョイナーが取れません。
外した後にポイントをきれいに設置するには、ジョイナーをユルユルにするとともにポイント両端の枕木をカットして、ジョイナー全体をポイントのレールに挿し込んでおき、隣のレールに向かってジョイナーがスライドできるようにすると、きれいに収まります。
カットした枕木は、レールを挟む窪みをジョイナーが収まるように削って、忘れずに設置しておきました。
上の写真に、ベースボードから飛び出すコードが見えていますが、これは上段で説明した、DCC運転用の”ポイント分岐先給電フィーダー”です。
また、フログ部が白く見えるのは、車輪の落ち込みを防ぐ目的で、0.5mm厚のプラ板を敷いているからです。
こうして、何とか1ヵ所の交換を終えました。
そんなに手間がかかる工作ではないので、「続けてもう1ヵ所!」と意気込んだものの、手持ちのジョイナーが1個足りなくなってしまい、今日の工作はこれで終了です。
最後は試運転の動画です。
テスト機は 9600 の1号機が務めます。
この 9600 は、どういう訳か、このカーブポイントの通過が苦手で、少し速度を上げながら通過するのが常でしたが、テストではゆっくりと通過しました。
動画は、客車の連結、出発信号機の腕木現示、汽笛、発進を1分間に詰め込んでいます。
もう1ヵ所の交換が残っているものの、これで、ほぼノンストレスのシルキーランが楽しめそうです。ああ、良かった!
本日も、ご訪問ありがとうございました。