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もう、うんざり…(迷惑客列伝 その②)

皆様、こんにちは。
現役鉄道員のKです。

前回の予告からずいぶんお待たせしてしまい、申し訳ありませんでした!
(相変わらず、本業の乗務が忙しく・・・すみません!!)
今回は、前回予告した通り、私が駅係員時代に遭遇した「事件級」の出来事をご紹介します。


・間違えたのには自分なのに・・・事件

あれは、確か休日の午後だったと思います。ホームでの列車監視業務を終えて、改札口のカウンターに入り、同僚から引き継ぎを受けたと同時に、女性客がものすごい剣幕でカウンターにやって来るなり、いきなりこんなことを言いました。


客:「お前ら、ほんと最低だな!!!」
私:「?」

目が点になるという表現がありますが、その時の私はまさにそんな感じでした。なにせ、こちらはカウンターに入って何秒も経っていないのですから。とりあえず事情を聞こうと私は切り出します。

私:「お客様、いきなりそう言われましても、どういった事情か私には分かりかねますので、冷静にお話しいただけませんか?」

すると、この台詞がさらに火に油を注いだようでした。女性がヒートアップします。

客:「おめえらが言ったんだろうが、ghgdっgcjづd・・・」

途中からは支離滅裂になっていたので、いよいよ困り果てた私は内心キレながらも冷静にお話を伺うことにしました。

どうもこの方は、本来自分が乗るべき電車を間違えて、別の行き先の電車に乗った上で乗り入れ先である私たちの駅に「意図せず」流れ着いてしまったようでした。

しかも、後から同僚から聞いた話では私が来る前に1度カウンターに来て、さんざん文句を言っていったらしいのでした。
同僚は、「ここで降りるなら、乗って来た分の精算をしてください。それが嫌なら来た道を戻って、本来乗るべきだった電車に乗ってください。」と案内して、1度は納得して出ていったというのです。
(だったらそれを引き継ぎの時に教えてくれよ・・・というのは私の愚痴です。)

ともかく、そのやり取りを私は知りませんでしたので、結果として同僚がしたのと同じ説明を繰り返してしまいました。

すると、「うるさい!」と言われた上で、戻るのもめんどくさいからここで降りると申されたので、

私:「それでは、この駅までの乗車分の御精算をお願いいたします」
すると、この方中々に「お行儀」がよろしく、お金を投げつけるようにカウンターに叩きつけると、吐き捨てるように

客:「お前らの電車なんか2度と乗るかよ! ◯◯線と繋がりやがって!」

と捨て台詞を吐いて出ていかれました。

終始呆気にとられてしまいましたが、正直な感想としては「こんな人、本当にいるんだ」という感じでした。

何度も言いますが、間違えって乗って来たのはお客様自身です。自分が行き先も見ずに乗って来た「過失」を棚に上げて怒鳴り散らすのですから、こちらからすれば堪ったものではありません。

みなさんも電車に乗るときはスマホから顔を上げて、乗るべき行き先かどうか確認してから乗りましょう。そして万が一間違えたら・・・潔く諦めてください(笑)。


・PASMOを新しく作れ!おじさん事件

あれはとある平日の夜だったと思います。
いつものように行き交うお客様をカウンターから見守っていると、50代くらいのサラリーマン風のおじさんが入ってきました。

客:このPASMOの定期券なんだけど、印字の部分が薄くなってしまってね
私:かしこまりました。ちょっと確認させていただきますね。

そうしてお預かりしたPASMO定期券を見ると確かに、定期区間やお名前を印字した部分が大分掠れていました。

私:確かに大分薄くなって見えづらくなっていますね。では機械で再度印字してみますね。

そうして係員端末にPASMO定期券を挿入し、印字面の再印字を試してみました。2、3回繰り返すとある程度印字面が見えるようになるのですが、長年使用しているICカードだと、それでもうまくいかないケースが多く、お客様の場合もそうでした。
ただ、印字面が見えないからと言って定期券として使えないわけではないのでそれを説明しようと試みます。

私:何回か試してみましたが・・・機械で印字できるのはこのくらいが限界ですね。ただ、定期券としては正常にお使いいただけますので問題はないかと思いますよ。

するとおじさん、ちょっと不満そうに切り出します。

客:印字された面を印刷して会社に出さないといけないからさ、困ったな。そうだ、ICカード新しくしてくれる?

私はこれは困ったことになったなと思いました。
なぜなら、当時半導体不足の影響でPASMOの在庫が限られていたため、必要最低限の再発行業務以外での新規カード発行を止められている状態にありました。
(ちなみに在庫が枯渇したそもそもの原因は、簡単に発行できるからと1人で何枚も発行するような客が大勢いたからといいうのはここだけの話です・・・)

その日の朝礼でもその事を改めて訓示されていたため、私はこう切り出しました。

私:申し訳ありません。現在半導体不足のためPASMOの在庫が少なく、交換についてはいたしかねます。

するとここまで普通だったお客様の様子が一変します。

客:はあ?こっちが困ってんだから何とかしろよ。ってか、印字面が見えないんだから不良品だろ?交換しろよ!!

突然怒鳴られたので呆気にとられましたが、なんだか見下すような態度が気に入らなかったので、私も「臨戦体制」に入りました。

私:お客様のカードはただ単に経年で印字面が見えにくくなっているだけで、カードとしての機能は問題なく使えている状態です。カード交換は著しく損傷していたり、中のIC機能が読み取れなくなった際には対応させていただきますが、今回の場合は出来かねます。
(心の中では「誰があんたのカードなんか交換するもんか!」と思っていました・・・)

するとさらにお客様もヒートアップしていきます。

客:あのな、あんたも話が通じないやつだな。カード交換しろよ!!
私:何度も言いますが、出来かねます!

すると、お客様は諦めたのかぶつくさ言いながらカウンターを出ていきました。
出ていったのを見て、ようやくほっとし、カウンターにいた他の同僚と愚痴りながら別の作業を始めた私でしたが、直後にとんでもないことが起きます。

なんと、先ほどのお客様が戻ってきたのです。
しかも戻ってくるなり、私に「お前、名前はなんだ」と聞いてくるのです。驚きつつも、ややこしいことになるなと思った私は「個人的なことですのでお答えできません」と返しましたが、このお客何を思ったのかおもむろにスマホを取りだし、私を撮影し始めたのです。

私:あの、お客様。何をされているのでしょうか?お止めいただけますか?
客:うるさい。お前が名前を教えないから撮っているんだ。

さすがの私も軽く恐怖を感じ始めたところで、騒ぎを聞き付けた助役が間に入ってくださいました。

助役:私はこの駅の責任者です。何かございましたか?
客:こいつ(私)が名前を名乗らないから撮っているんだ!
助役:とりあえず撮影は止めていただけますか?
客:名前を教えろよ!
助役:私は助役の◯◯です。彼の上司ですので、お話は私が伺います。
客:お前の名前なんか聞いてないんだよ。こいつの名前をだな・・・。
助役:それは出来かねます。正式なクレームでしたら私が伺います。

ここで客も何かまずいと思ったのか、突然カウンターを出ていってしまいました。

私は助役に礼をいったあとで、さっきお客様から定期券を預かった際に見たお客様の降車駅を確認し、急いで内線で電話をし、こう伝えました。

私:「先程こちらに、そちらの駅までのPASMO定期を持ったお客様がカードを交換しろと言ってきたのですが、こちらでは拒絶していますのでそちらでもお申し出があったら拒絶してください。」

そう。このお客様はひょっとしたら降りる駅で同じような問答をする卯可能性があると考えた私は、先回りしてお客様がカードの交換を出来ないように相手駅に依頼することにしたのです。
普段であればこんなことまではしませんが、先程の態度でこちらも気分を害したので、できる限りの「反抗」をしたという訳です。

その後も何日かは、またあのお客が来たらどうしようか・・・と内心思いながら勤務していたのは言うまでもありません。

・入場料は払いませんおじさん事件

これまたある日、カウンターで勤務していたところ、2人組の酔っぱらったおじさんが入ってきました。

客:おい、兄ちゃん。なんかICカードが使えないんだけど?
私:確認してみますね。

ここで係員端末でカード情報を確認すると、別の改札口で入場した記録が残っていました。

私:お客様。ついさっき別の◯◯改札口で入場された記録があるのですが?
客:ああ、道がわかんなくなって入っちゃったんだよね。出たいんだけど。私:そうでしたか。。では構内通り抜けとなりますので、入場料分の料金を頂きますがよろしいでしょうか?

すると酔いも手伝ったのか、とつぜんおじさん達が怒鳴り始めます?

客:ええ?金払わないといけないの?別に電車乗ってないんだけど?
私:ええ。でも駅構内を通り抜けるだけでも入場料は頂くことになっています。お支払ください。
客:ああ?ってか、そもそもお前のとこの駅の造りが分かりにくいのがいけないんだろ?払うもんか!

こうなると、もはや相手は「獣」です。私もそれ相応の態度になります。

私:なるほど。払っていただけないのなら警察を呼ぶことになりますが・・・
客:はあ?なんでそれで警察が出てくるんだよ?おかしいだろうが。ふざけるなよ!
私:ふざけてはいませんよ。支払い義務があるものを払わないとおっしゃっているのは無線飲食と同じ行為で犯罪ですよ。おっしゃっていることは犯罪者と一緒ですよ。
客:なんだと!犯罪者呼ばわりするつもりか!

おもわず、「はい、そうですが」と言いそうになるところでしたがさすがに堪えました。

私:どうされますか?入場料160円払いますか?それとも警察呼びますか?

すると酔っぱらい2人組は文句を言いながら、渋々入場料を払っていただいたので、こちらもICカードを使える状態に戻してお返しし、お引き取りいただきました。

・迷惑客に思うこと

ここまでご紹介してきた事例は、「ほんの一部」であり、実際駅で勤務していた数ヵ月の間、大体週に何回かはお客様から「ありがたい悪態」を吐かれていました。

当たり前ですけど、私たち係員も「人間」です。人間である以上、感情もありますし、傷つきます。
しかしながら、鉄道の現場でお客様と交流する際の8割はこうした「心ない言葉の弾丸を浴びる」場であったりします。
正直メンタルがある程度強靭でなければ勤まらないなと思いますが、そもそも見知らぬ相手に対して、何でそうした態度が取れるのでしょうか?
これは永遠の疑問です。
(まあ、単純な話「舐められているんだな」とは思いますが・・・)

近年、カスハラが社会問題となっていますが、皆さんの周りには皆さんが思う以上にカスハラの「加害者」がいると思います。
本当に普通そうに見える人でも、相手が弱い立場だと認識した瞬間に「加害者」となり、刃を向けてくるのです。

そうした加害者に対して、日々神経をすり減らしている鉄道従事員が多くいることを皆さんには知ってもらいたいです。

そして、なんでもかんでも脊髄反射のようにクレームを言ってくる加害者の皆さんに対しては「恥を知れ」と言いたいです。

以上、一鉄道員の心のボヤキでした。


☆私のページでは、鉄道業界を巡る時事問題や、私自身の体験談といった鉄道業界の裏事情、さらには鉄道業界を目指す方向けのお話などを順次掲載したいと思っています。
もし、「こんな話題を聞いてみたい!」というテーマがありましたら、ぜひコメント欄で教えてください!
よろしくお願いいたします!

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