川岸駅【長野県】(中央本線辰野支線【中央東線】。2021年訪問) | 『乗り鉄』中心ブログ(踏破編)

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今回の【駅】シリーズは、
長野県岡谷市南部、天竜川沿いの谷あいに広がる農村集落に位置する中央本線辰野支線【中央東線】の駅で、開業時以来の古い木造駅舎が残っていたものの、2023年、開業100周年を機に駅舎が建て替えられた駅、そしてJR東日本の駅であるもののほぼ全列車がJR東海・飯田線からの直通列車であるため、車両だけ見るとJR東海の駅と間違えてしまうかもしれない、
川岸駅 (かわぎしえき。Kawagishi Station) です。 
標高757.4mです。
 
尚、当記事は駅舎改築前の2021年7月に訪問した際の写真を使用しています。ご了承下さい。
  
  
駅名  
川岸駅 (駅番号なし)  
  
所在地  
長野県岡谷市     
  
乗車可能路線  
JR東日本:中央本線辰野支線【中央東線】    
  
隣の駅  
岡谷方・東京方………岡谷駅   
塩尻方・名古屋方……辰野駅  
 
訪問・撮影時  
2021年7月   
 
 
駅概要  
駅形態……………地平駅(1923年開業)。
駅舎………………2023年改築の簡易駅舎。それ以前は1938年完成の木造駅舎。
出入口……………東側のみ。
        西からは約200m北の陸橋or約350m南の踏切を通って東側へ。
バリアフリー……×(跨線橋は階段のみ。車いすの場合は事前にJR東日本へ連絡を)。
点字ブロック……駅出入口~駅舎内~ホーム間に設置。
駅前広場…………○(但しバス停留所は駅南側の県道14号沿いにあります)。
 
 





2021年当時の駅舎です。西方向を望む。
当時は1938年に完成した平屋建ての古い木造駅舎が健在でしたが、2023年に川岸駅開業100周年を迎えたことから簡易駅舎へと改築されました。
出入口に扉があり、段差がありませんが、改札ラッチが狭かったため車いすは駅舎内までしか行けませんでした。
駅舎改築後も階段のみの跨線橋に手が付けられなかったため、バリアフリー非対応のままです。
駅舎の右側には公衆トイレ(車いす対応トイレ併設)と川岸駅開通記念碑がありますが、これらは現在も残っています。
また、ロータリーの無い駅前広場がありますが、バス停留所もタクシー乗り場もありません。
バス停留所は写真左側、中央本線と並行する県道14号線沿いに設けられています。
その他の付帯設備(郵便ポスト、電話ボックス、飲料自動販売機、屋根付きの無料駐輪場)は、一部が移設の上で維持されています。
 
 


Googleストリートビューの画像を借用しています。

その後、旧駅舎は解体され、2023年10月に新たな簡易駅舎へと改築されました。
 
 

駅前です。北を望む。左手に川岸駅があります。
駅前は奥に延びる県道14号線沿いに民家が立ち並んでいますが、数は少ないです。商店は見られません。
川岸地区の中心部は県道を600mほど北上、飯田線と天竜川を渡った西側に広がっています。
また、川岸地区自体は比較的住宅の数が多いですが、駅が中心部から離れた場所にあり、また支線に転落して利便性が低下したことも原因なのか、川岸駅の利用は低迷しています。
 
そして右(東)は県道近くまで山の斜面が迫っており、その中腹を中央自動車道(中央道)が南北方向に並行しています。
この山で2021年8月の豪雨時に土石流が発生し、駅前の民家に土砂が流入するなど被害が出ました。
 
 

駅前です。南を望む。右手に川岸駅があります。
駅前広場のすぐ先、奥に延びる県道14号沿いには路線バスの停留所があります。
こちらも県道14号沿いに住宅が立ち並んでいます。商店はありません。
南側も駅から離れた約300m南や、約500m南西の天竜川対岸には大きな集落が形成されています。
そして、約300m南南東(写真左奥)、県道から東へ入った先には中央道の川岸バスストップがあり、高速バスの新宿~駒ヶ根線・新宿~飯田線の一部便と長野~飯田線が停車します。
 
 

駅西側です。ホームより撮影。
駅のすぐ西側を天竜川が北(右)から南(左)へ流れています。
その対岸は駅がある東岸より平地が広く、田畑と集落が混在しています。
駅からは直接西岸へ行けないため、南北に架かる天竜川の橋へ迂回する必要がありますが…。
背後には山地が広がっていて、山並みの向こう側を、辰野でVターンしてから塩尻へ向けて北上する辰野支線が通っています。
みどり湖経由の新線は、岡谷からこの山地を塩嶺トンネルで貫いて一気に塩尻までショートカットする線形で、辰野経由と比較して劇的な時間短縮効果をもたらした反面、辰野支線が寂れてしまいました…。しかし支線東側の岡谷~辰野間は実質的に飯田線の一部のような形になっており、完全なローカル線に転落した西側の辰野~塩尻間と比較してまだ列車本数が多いです。但し使用車両は自社(JR東日本)より飯田線を管理するJR東海の車両に遭遇する率の方が圧倒的に高いです。まぁ車両のグレードは混雑時を除き、転換クロスシート車もあるJR東海の方が高いですが…。
 
 


旧駅舎時代の駅舎内です。上写真は西を、下写真は南を望む。
 
駅員配置………なし(無人駅。インターホンもありません)。
自動改札機……なし(無人駅なので乗車駅証明書をお持ちの上で入場して下さい。
          車内または下車駅で運賃をお支払い下さい)。
ICカード………『Suica』エリア内ですが川岸駅は利用不可。
       ICカードで下車の際は乗車全区間の運賃を現金精算。
幅広通路………なし(改札ラッチ跡があるため車いす通行不可。点字ブロック設置)。
有人通路………なし(無人駅のため)。
窓口……………あり(かつては左側に合ったと思われますが、閉鎖されています)。
自動券売機……なし(そのように見える端末は乗車駅証明書発行機です)。
自動精算機……なし(改札跡ホーム側にあるきっぷ回収箱に乗越運賃を入れて下さい。
          ワンマン列車の場合は下車時に精算)。
駅舎内設備……待合室(空調なし)。
トイレ…………駅舎外北側(車いす対応トイレ併設)。
売店……………なし(駅舎外に飲料自動販売機があります)。
コンビニ………なし(1km以内に店舗はありません)。
 
上記のデータは駅舎改築後の現在もほぼ同じですが、
今は車いすで駅舎内を通行可能と思われます(但し跨線橋は階段のみ)。
 
 

改札跡を通り、右へ曲がって古レール使用の屋根付き通路を進むと跨線橋があります。
跨線橋を渡るとホームに到達します。
尚、前述の通り、跨線橋は現在も階段のみで、バリアフリー非対応です。
北(岡谷方)を望む。
 
 

ホーム側通路より改札口跡を撮影。東を望む。
改札ラッチが撤去されずに残っていて、点字ブロックはあるものの車いすどころかベビーカーも通行できませんでした。
左側にはポール状のきっぷ回収箱(集札箱)が設置されています。
 
 

1番線に設置の建植式駅名標です。非電照式です。
国鉄デザインそのもので、書体が現代風に改められています。
長野支社の駅でよく見られるタイプです。
尚、川岸駅に駅ナンバリングは導入されていません。
 
 

こちらは跨線橋脇に設置されている駅名標です。
民営化後に激減しているタイプですが、川岸駅では書体を改めた上で残存しています。
レトロ感は薄くなっていますが、この駅名標を残してくれているだけでも感謝です。
 
 




駅構造……地平駅(北北東~南南西方向)。
配線………島式ホーム1面2線。
 
左(東)が1番線で下り辰野・塩尻・名古屋方面および飯田線上り豊橋方面、右(西)が2番線で上り岡谷・東京方面です。
1番線の左側、2番線の右側にはかつて側線が存在したと思われますが、貨物取扱廃止や支線格下げにより不要になったのでしょう。
 
ホーム有効長……7両分。
ホームドア………なし(2021年7月時点)。
ホーム幅…………元々主要幹線の駅です。駅の規模を考えると広いです。
上屋(屋根)………手前の岡谷寄り約1両分(近年更新されました)。
ホーム上設備……待合室(ベンチあり。空調なし)。
 
岡谷寄りに跨線橋の階段があり、1番線側(東側)にある駅舎に通じています。
 
1枚目と2枚目は1番線より、3枚目は2番線より、4枚目はホーム中央より、全て塩尻方・名古屋方を望む。
 
 




1枚目と3枚目は1番線(右)より、2枚目と4枚目は2番線(左)より、全て岡谷方・東京方を望む。
黄色の点字ブロックが未設置の部分(手前側)には列車が停車しません。
幹線の駅だったため、ホーム有効長が長いですが、かつてはもっと長かったと思われます(空中写真を見ると跨線橋の東京方(奥側)にもホームが延びていたようにも見えました)。
 
 

待合室内です。岡谷方を望む。
ベンチが置かれています。
空調はありませんが扉があるので、寒さはある程度しのげます。
 
 



全て1番線より岡谷方・東京方を望む。
ホームは跨線橋の少し先で途切れていますが、かつてはもっと先までホームが延びていた可能性があります。
また、辰野支線は全線単線で、この点でも「みどり湖」経由の新線開業まで輸送力増強のネックになっていました。
この先、県道14号線をアンダークロスして、左を流れる天竜川に近接して住宅と農地が混在した谷あいの風景の中を北上します。その後、進路を北東に変えると住宅が増えてきて、左から来た「みどり湖」経由の高架新線(複線)の下り線をくぐって新線の上下線間に入ります。その後は高架へと上がり、天竜川を渡って市街地に入ります。そして長野自動車道の高架橋をくぐって地平に下ると岡谷駅へと至ります。大半の列車が岡谷止まりですが、一部は上諏訪駅や茅野駅まで直通し、さらに快速『みすず』等の一部列車は岡谷駅でスイッチバックして「みどり湖」経由の新線に入り、松本・長野方面へ直通します。飯田線から松本方面へ直通する列車は全て、辰野駅から信濃川島経由ルートに入らず、岡谷駅を経由します。乗降の少ない区間を走るより、乗降の多い諏訪地区に立ち寄るメリットの方が大きいようです。
 
 

1番線より辰野方・塩尻方・名古屋方を望む。
左の1番線側は電化後も側線が存在していたと思われます(架線柱の位置から推測)。
この先、右を流れる天竜川に沿って谷あいの住宅と農地が混在した中を南下し、やがて民家が途切れて谷が狭くなると山林の中を走るようになり、辰野町に変わります。その後は谷が少しずつ広くなって(=伊那谷に入り)、山あいの田園風景の中を走ってから天竜川を渡ると住宅地の中を南西へ走るようになり、辰野駅へと至ります。他路線の例ですと飯田線は乗り換え……となるところですが、当地の場合は基本的に辰野支線の塩尻方面は乗換、になります。大半の列車が飯田線へと直通します。
 
 
あとがき  
下車(乗車)時・・・2021年。          
 
島式ホーム1面2線の交換可能駅で、本線時代はもっとホームが長かったのですが、支線に格下げされて以降、東京方の半分ほどが撤去されました。訪問当時は東側に木造駅舎が健在でしたが、2年後の2023年に簡易駅舎へと建て替えられています。駅前は県道沿いに住宅が立ち並んでいますが、背後が山地になっており、私が訪問した翌月(2021年8月)に集中豪雨による土砂災害が発生し、多大な被害が発生しました。
  
鉄路のみでのアクセス(ルートは一例です)  
東京から・・・当日到達可能、日帰り往復可能。
       新宿から特急『あずさ』で岡谷駅まで行き、辰野・飯田線方面列車に乗換。
       快速『みすず』も停車。 
大阪から・・・当日到達可能、日帰り往復可能。
       東海道新幹線で名古屋下車。中央西線特急『しなの』に乗り換えて塩尻下車。
       さらに中央東線で岡谷まで行き、辰野・飯田線方面列車に乗換。
 
食料・飲料 (500m以内)  
コンビニ・・・・・・なし (1km圏内に店舗はありません)
飲食チェーン店・・・なし (1km圏内に店舗はありません)    
  
大阪からの到達難易度はやや高いですが、中央東線辰野支線を乗り鉄の際は、ぜひ一度は川岸駅でも途中下車してみて下さい!
   
(参考:JR東日本のHP、地理院地図、Google地図、Wikipedia)