わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

[8]特急乗り継ぎで徳島→高知へ…大歩危峡の絶景&秘境「祖谷」の自然を堪能【2024四国周遊夏旅】

 

▼前回の記事

watakawa.hatenablog.com

 

2024年8月13日(火)

特急〔うずしお1号〕にて徳島駅に到着し、朝からホテルサンルート徳島の日帰り入浴でくつろいだところで、いよいよ移動を再開していきます。

紛うことなき徳島県の県庁所在地に位置する一大ターミナル、それが徳島駅。駅前に立派なロータリーを構え、駅ビルと一体化した駅舎も県都のターミナルにふさわしく思えますが…そんな立派さとは裏腹に、実はこの駅には「電車」がやってきません徳島県内を走る鉄道路線は完全非電化で、全て気動車による運行となっています。

また改札口には自動改札機すらなく、交通系ICカードはもちろん非対応。自動改札機の設置がない都道府県庁所在地ターミナル駅は訪問時点(2024年8月)で鳥取駅・徳島駅松山駅の3駅のみでしたが、松山駅は2024年9月の新駅舎開業に伴い自動改札機を導入しています。また鳥取駅も2025年春頃に自動改札機の導入が予定されており、今後は徳島駅が全国で唯一となります。

そんな徳島駅から乗車するのは、9時00分発の特急〔剣山3号〕阿波池田です。「剣山」は徳島県西部に位置する山で、これからまさにその山のある方角へ向け徳島県内を横断していくことになります。

使用車両はキハ185。前回の記事で「1日1往復のみ〔うずしお〕に充当される」とご紹介しましたが、こちら〔剣山〕では全列車がキハ185系による運行です。

列車は4両編成で、前から順に4・3号車が自由席、2・1号車が指定席です。2号車は「ゆうゆうアンパンマンカー」となっており、繁忙期・多客期のみ連結される親子向けの車両となっています。当該号車の指定券を所持していない乗客は中へ立ち入ることができませんので詳しい様子は分かりませんが、外装だけでなく内装もアンパンマン一色で、子ども向けのプレイルームなどが設けられているようです。

私は25歳児につき、ゆうゆうアンパンマンカーではなくノーマル車両にて終点阿波池田まで乗車したいと思います。

発車まで時間がありますので、少し車内を見物。洗面所など水回りは古さが際立つものの、問題なく使用することができます。

また扉は折り戸となっており、駅に到着するごとに扉が内側へ半分に折れるように開く造りになっています。最近この手の構造は全国的にも大変珍しく、貴重なものとなっています。

前回の記事でもご紹介しましたが、座席によってテーブルのデザインが少し異なっているのが気になります。何か事情があって一部のみ取り替えた際に、従来とは異なる仕様のものが取り付けられたのでしょう。

9時00分、列車は時刻通り徳島駅を発車。この先徳島線へと進む、74.0kmの道のりです。

実は私、これまでにも「最長片道切符の旅」(2021年夏)や「特急リレー」(2022年GW)など様々な旅の中でこの特急〔剣山〕に乗車しています。その中でも今回乗車しているこの徳島駅9時発の便は、私がまだブログを始める前の2020年元日に四国を旅行した際に乗車しており、今回久々の再会となりました(なお最長の時は12時発、特急リレーの時は18時発を利用した記憶)。

徳島駅を発車してすぐの区間、進行方向右側にも線路が見えており「さすが県庁所在地、非電化といえど複線だよな」と思ったのもつかの間、実はこれ複線ではなく「単線並列」というもの。現在私の乗る列車が走行している線路は徳島線で、右側の線路は先ほどまで乗車していた特急〔うずしお〕等が通る高徳線の線路になっています。単線の路線が2つ並んでいるだけですが、パッと見た様子では複線に見えるという不思議な光景で、両者は徳島~佐古駅間の1駅間のみ並走しています。

佐古駅を通過した後、高徳線と分かれこちらは西向きに進路をとります。単線でありながら高架化されているという、都会路線なのかローカル線なのかよく分からない構造です。

途中停車駅は蔵本、石井、鴨島阿波川島阿波山川、穴吹、貞光、阿波加茂です。70km少々の運行区間にしては停車駅が多く、なおかつ多くは県外の利用者にとってなじみのある地名・駅名とは言い難いものがずらりと並びます。前回の記事でも少しご紹介した通りですが、四国の特急はかつて「急行」であったものをそのまま「特急」へと格上げしたケースが多く、ここ徳島線でも急行〔よしの川〕をはじめとする急行・快速列車の運行が中心でした。特急〔剣山〕は1996年にデビューし、程なくして1999年に急行〔よしの川〕は廃止(特急に統合)されたのです。

車内では徳島名物の「すだち」果汁を使用した缶ジュースと「鳴門金時パイ」で優雅なひとときを過ごします。徳島駅の改札外の土産物店では人気の商品が1個単位でも販売されており、私のような一人旅行者には大変有難いものです。

阿波山川駅を過ぎると、車窓右側には雄大吉野川の流れが見えてきます。この車窓が有名なため、徳島駅発車時点で座席は進行方向右側が埋まりがちです。

ほぼ全区間に渡って吉野川と並走して走る徳島線には「よしの川ブルーライン」の愛称が付けられています。季節によっては観光列車「藍よしのがわトロッコ」も運行されており、風を浴びながら吉野川の眺めを楽しむことができます。

穴吹駅では反対側のホームに当駅始発の普通列車(徳島行)が停車中。私の乗る列車の入線を待ってから発車します。

徳島線内の普通列車徳島駅から遠ざかるほど本数が減っていきます。最も本数の多い徳島~阿波川島駅間は日中30分間隔で列車の運行がありますが、この先の穴吹~阿波池田駅間では3~4時間ほど普通列車の運行がない時間帯もあります。

特急〔剣山〕の停車駅が多い背景にはこうした運行本数の少ない普通列車を補完する役割も担っているという事情があると思われますが、そうは言うものの実は特急〔剣山〕自体も2025年3月のダイヤ改正で減便が予定されています。現在徳島~阿波池田駅間で1日5.5往復の運行がありますが、このうち2往復が運行を取りやめ、今後は1日わずか3.5往復での運行となる見込みです(徳島発の方が1本多い)。

列車は阿波池田駅の一つ手前、佃駅を通過。この駅で土讃線と合流します。

定刻よりも2分ほど遅れ、10時17分頃に終点の阿波池田駅に到着。ここからは土讃線の特急に乗り換えます。

接続する阿波池田10時20分発の特急〔南風3号〕高知行は、〔剣山3号〕から対面乗り換えが可能となっていますので多少遅延しても問題ありません。ただし大きく異なるのは、〔剣山〕が徳島県内で完結するローカル特急であるのに対し、〔南風〕は大都会岡山駅にて新幹線と接続する本州連絡特急としての重要な役割を担っています。

程なくして、ほぼ定刻で列車が入線。何とこちらもアンパンマン

特別車両というよりは単なるラッピングですが、それにしても徳島方面から乗り継ぎで家族連れが多い理由がよく分かりました。この〔剣山3号〕→〔南風3号〕、恐らくアンパンマンファンには堪らないゴールデンルートなのでしょう。

列車は1分ほど遅れ、10時21分頃に阿波池田駅を発車。車内は一見すると通常通りか…? と思いきや、天井を見上げると人気のキャラクターがずらり。なかなか力が入っています。

こちらは5両編成で、このうち自由席は最後部の5号車のみ。お盆真っただ中につき大変な混雑をしていましたが、運よく通路側に空席を見つけることができ、腰掛けました。着席を諦めデッキに立つ人もいます。

吉野川の上流へどんどん近づいており、何度か川を渡る瞬間もありました。

10時39分頃、定刻よりも2分ほど遅れて大歩危駅に到着。短時間の乗車でしたが、ここで列車を降ります。

大歩危駅は「祖谷のかずら橋」への玄関口としても知られ、全列車が停車します。

今回時間は約3時間ほどと限られますが、この大歩危・祖谷エリアを可能な限り観光していこうと思います。

大歩危駅は山の中にあり、観光列車「四国まんなか千年ものがたり」も多度津駅から当駅までの間で運行されています。

駅舎はまるで古民家のような佇まいで、駅前にはすぐバスやタクシーが乗り付けます。

ロータリーから県道へ向かっては上り坂になっており、その途中には「歩危マート」と呼ばれる商店(スーパー?)もあります。

今回は立ち寄りませんでしたが、どうも「歩危マート」の向かいには「歩危マート2号店」なるものも位置しており、こちらでは食事ができるようです。次に来た時は是非立ち寄りたいと思います。

大歩危駅前を離れ、吉野川を渡って対岸へ移動します。晴れていて暑いですが、晴れているからこそ美しい景色を楽しめます。

1.3kmほど歩き、やってきたのは「道の駅大歩危」。国道32号線沿いにあります。

館内にはジビエメニューを味わえるお店があり、せっかくなので「イノシカバーガー」(1,000円)を注文。イノシシ・シカの肉を使用したパティをたっぷりの野菜とともに挟んだボリューム満点のバーガーです。クセがなく食べやすいので、トマトソースとの相性抜群でした!

大歩危峡は観光遊覧船も有名ですが、今回はどうも時間の都合上乗船できなさそうなので、祖谷方面のバスが来るまで国道沿いを散策しながら大歩危峡の景色を楽しみたいと思います。

道の駅大歩危からさらに北へと歩き、遊覧船の乗り場がある辺りまでやってきました。ここから川を見下ろすと、それはそれは大変美しく…。

今朝の徳島市内で河口付近の幅の広い吉野川も渡りましたが、上流へやってくるとこれほどまでに川幅が狭くなるのだということがよく分かります。

吉野川をさらに上流へと辿ると、高知県の内陸部を進み、最終的には高知県いの町の源流に辿り着くとされています。愛媛県との県境付近で、石鎚山なども近いエリアです。

さて、「大歩危峡まんなか」の目の前にあるバス停「大歩危峡」より、ここからは路線バスに乗車して祖谷へ向かいたいと思います。

大歩危峡12時02分発の四国交通祖谷線 久保行に乗車。阿波池田からやってきたバスで、大歩危峡は約9分遅れで12時11分頃に発車しました。車内には観光客らしき方が何名もいらっしゃいます。

このバスは先ほど降り立った大歩危駅も経由して、その先の山中へと進みます。大歩危駅前では何やらロータリー上でお祭りのようなパフォーマンスが繰り広げられており、バスの運転手さんがパフォーマーの方と「はよ通してやww」と冗談交じりに言葉を交わしていたのが印象的でした(笑)。こうした些細なやり取りの中にも、都会ではなかなか感じられない人のぬくもりを垣間見ることができました。

大歩危峡の時点でも十分山の中といった雰囲気でしたが、大歩危峡を離れ山道を上っていくとさらに秘境感が強まります。これから向かう「祖谷(いや)」は、白川郷岐阜県)・椎葉村(宮崎県)と並ぶ「日本三大秘境」の一つに数えられています。

30分ほど乗車し、定刻より6分ほど遅れて12時41分頃に「かずら橋」バス停へ到着。

大歩危峡からの運賃は730円でした(交通系IC利用不可)。

かずら橋への観光客はやはり自動車で訪れるのが一般的で、その拠点となるのが対岸に見える「かずら橋夢舞台」です。山肌の一部を切り取るように巨大な柱が無数に建てられ、その上には広大な駐車場のほか土産物店・飲食店が入っています。

私が降り立った「かずら橋」バス停からもかずら橋はそう遠くなく、距離にして300mほど川に向かって坂を下るように進んでいきます。途中には「祖谷宝物館」なるものもありましたが恐らくかなり前に閉館している様子でした(いつ頃までやっていたのかは不明)。

さらに下っていくと、かずら橋の入口に到着。…って行列長すぎ!

お盆の最繁忙期とあって、観光客がびっしりと列をなして待っている様子。「40分待ち」の看板も見え、流石に今回は渡るのを諦めざるを得ませんでした…。

なお、かずら橋のすぐ隣には自動車も通行可能なしっかりとした橋が架けられており、川のこちらと向こうを行き来する分には何ら問題ありません。かずら橋はあくまでもアトラクションでありますが、そのすき間だらけの足元は想像するだけでもぞっとします。一度に多くの人が渡ろうとすると耐荷重的にも問題があり、みなおそるおそる渡ることもあって歩みがゆっくりなので混雑していたというわけです。

通行料は大人550円となっており、入口から出口へは一方通行になっているようです。サルナシ(別名「シラクチカズラ」)のつるが使われており、今度はもう少し時間に余裕のある時に来て、改めてしっかり渡りたいと思います。

祖谷渓は夏の川遊びにもぴったりのレジャースポットとなっており、家族連れや若者のグループで賑わっていました。ぼっち陰キャの私はたちまち行き場を失うわけですが、しかし流水のはたらきによって形成された岩場は迫力があり、これは見ていてとても面白かったです。

結局かずら橋も渡れず、時間の都合でこれといった体験もできませんでしたが、先ほどのバス停へと戻ってきました。実際この祖谷には様々な観光ホテルがあったり、さらに奥へ進むとより一層秘境感の強まるエリアもあったりなどでじっくり時間をかけて楽しみたいところですので、改めて再訪したいと思います。

かずら橋バス停より、13時10分発の四国交通祖谷線 阿波池田バスターミナル行に乗り込みます。かずら橋~大歩危駅前間は670円でした。

13時38分頃、定刻よりも4分ほど遅れて大歩危駅前に到着。ここから再び列車での移動をしていきます。

大歩危13時51分発の特急〔南風9号〕高知行が入線。特急は1時間に1本程度運行がありますが、当駅から高知方面の普通列車は8時15分発を逃すと次は14時19分発、その後は17時17分発…と数時間単位で列車間隔が開きます。やはり特急の自由席にも乗り放題のフリーパスが四国では欠かせません。

こちらも5両編成ですが、やはり自由席は1両のみ。トンネルも多く、かつ線形はあまり良くありません。

土佐山田の少し手前には「新改」という駅があり、ここはスイッチバック構造が残る駅として知られています。ただ特急などはホームを経由することなく通過できる構造のため、乗車する分にはスイッチバックの駅があったことなど気づく余地もありません。

定刻より4分ほど遅れ、14時46分頃に終点の高知駅へと到着。

前日にも降り立ってはいますが、改めてここまでやってきました。

8月11日より使用してきた「若者限定四国フリーきっぷ」は有効期間3日間。まだ明るい時間で少し早いですが、このきっぷの使用はここまでとします。

ここからはまた別のきっぷを仕入れて四国周遊後半戦へと突入しますが、その様子はまた次回お届けします。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。