さて、昨年のお盆明けからですが、長期出張で東京都内に滞在する機会がありました
平日昼間はお仕事…という名のみっちりお勉強…だったのですが、土日については何をしてもお咎めなしということで、ちょいちょいお出かけを敢行してきました
まだまだ残暑厳しい9月上旬のこと、この日は決してE353系のグリーン車に乗ることが一番のお目当てだったわけではなく、ずっと前から行きたかった草間彌生美術館へ行きたかったのです
まずは滞在している研修施設から西武鉄道の電車に揺られて、中野で中央線快速から東京メトロ東西線に乗り換えて早稲田駅で下車しました
東西線には東京メトロの車両以外にも、東葉高速鉄道の2000系も乗り入れてます
ちなみに、ある程度鉄道に詳しい管理人でさえ、東京の地下鉄網はYahoo乗換案内の判断を仰がないと、迷子になりそうです
草間彌生ミュージアムは新宿区にあり、長野県松本市出身の前衛芸術家である同氏の作品が展示されています
公式サイトからの事前予約が必要でして、それさえも満員になっていることが多く、なかなか行きづらい施設となっています
館内は基本的に撮影禁止となっているため、ここでは多くを紹介できませんが、”草間かぼちゃ”だけは撮影OKでした
こちらは、真っ暗闇の部屋でぼうっと幻想的にかぼちゃ内にあかりが灯り始める仕掛けになっていました
屋上に鎮座していたかぼちゃも撮影自由で各々がスマホ片手に思い思いに作品を楽しんでいました
1時間弱の滞在時間を終えて、お昼時になりました
実は、駅からここへ来る途中にそそられる町中華があったのですが、再び地下鉄に1時間ほど揺られて都営三田線の三田駅で下車しました
田町の並み居るビル群の一画に、愛媛県宇和島市に本店を構える鯛めしで有名な「かどや」の支店があります
「伊予灘ものがたり」に乗った後に、必ず松山市内のお店に行くほど「かどや」の大ファンな管理人
しかし、東京には何店舗かお店があるのに、関西にはありません
なので、今回の東京滞在を利用して行っておきたかったお店の一つなのです
宇和島タイプの鯛めしは、こちらの鯛のお刺身を黄身の浮いただし醤油にぶち込んで、豪快に白米のかけて、海苔やわさびなどの薬味を添えれば完成です
究極の卵かけごはんともいえるもので、だし醤油と黄身と鯛の旨味が渾然一体となって、お口いっぱいに幸せが広がります
品川・田町近辺で働いてる人ならば、いつでもランチに来れるわけで、そう考えると関東民は恵まれているなぁ、と思うわけです
食後は京浜東北線に揺られて東京駅へ向かいました
この駅は乗り換えで使うことが多く、そういう時は駅ナカで大概の用事が済んでしまうため、管理人の記憶が正しければ、駅の外へ出るのは中学校の修学旅行以来約20年ぶりです
もちろん復原工事が完成してからは初めてのことで、東京大空襲で焼失した3階部分とドーム部分が美しいですね
東京駅の歴史を調べているなかで、初めて知ったのですが、焼失したドーム部分を八角屋根に修復した時は木造だったそうで、その仮復旧の状態がずっと続いていたんですね
さて、花の都の東京に来たからには、普段は食べれないものを食べようということで、KITTE丸の内にある千疋屋にやって来ました
さすが千疋屋なだけあって、注文するのに度胸のいるプライスですが、ここまで来てケチっては男が廃ります
注文したのは巨峰と無花果がこれでもかと言わんばかりに盛り付けられたいちじくとぶどうのパフェです
メニューの写真を撮り損ねたのですが、保管しているレシートを見ると、紅茶とセットでお値段3,355円でした
果物の味を決して邪魔しないバニラアイスとホイップクリームは、どこまでいっても爽やかで気が付けばグラスは空になってしました
脳内が幸せな気分で満たされたところで、丸の内周辺をぶらぶらして18時半頃に東京駅へ戻ってきました
この日は雨が降ったり止んだりで、なかなか鬱陶しい天気だったのですが、夜の東京駅はそれをすべて帳消しにしてくれる美しさでした
建物の赤レンガと現代的な高層ビルとのコントラストが幻想的で、ライトアップに照らされた石畳がまるで一枚の絵画のような風景を描き出しています
研修施設の周辺が都内ではまぁまぁ田舎な方なので、夕食も摂っていこうかと思ったのですが、さすがに鯛めしとパフェでお腹いっぱいとあっては、なかなかお腹は空かず、駅ナカでお弁当を買って帰ることにしました
東京から寮へ帰るには、立川に向かうのが手っ取り早いのですが、この時はまだ中央線快速のグリーン車お試し期間がスタートしていませんでした
せっかく東京に来ているので、ここは中央線快速ではなく、普段はあまり縁のない車両に乗りたいと思うのがヲタクという生き物なのです
ここで、「中央ライナー」という列車名とE257系が脳内に出てくるあたり、意識を過去に置き去りにしてしまっているのかもしれないです
気を取り直して、時刻表を確認してみると、ちょうど19:15発の「かいじ」51号竜王行きがあったので、立川まで特急課金して帰ります
中央線を西へ向かう特急列車といえば、新宿始発のイメージが強いですが、利用者の便宜を図って東京始発となる列車が存在します
平日限定で運行される…25年春ダイヤ改正で廃止される…「はちおうじ」「おうめ」も全ての列車が東京駅へ乗り入れています
「そういえばE353系のグリーン車に乗ったことがなかったな」と思った私は、立川まで僅か40分の乗車であるにもかかわらず、魔が差してG車課金してしまいました
グリーン車は編成の中ほど、9号車に連結されています
「あずさ」や「かいじ」で不思議なのは、東京・新宿寄りが1号車になっている点でしょうか?
東海道新幹線や「踊り子」のように、原則として下り方先頭車が1号車になるケースが多いのに、これらの列車は号車の順序が逆になっており、普段乗り慣れていない関西民からすると変な感じがするのです
ただ、関西でも「サンダーバード」は下関寄りが9号車なので、運用の都合で珍しいことではありません
ちなみに、グリーン料金と特急料金の合計額は1,430円です
ちょいと前までJR東日本管内に限りグリーン料金は割安な料金体系になっており、100㎞まで1,050円でしたが、2022年春にJR他社とほぼ同じ体系に戻ったことから、現在では100㎞まで1,300円となっています
それを考えると、立川までの料金が1,430円なのはどういう計算式になっているのだろうと思い、時刻表をつぶさに見てみると…
特急料金(事前料金)760円-530円+グリーン料金1,300円-チケットレス割引100円=1,430円
…となっていました
そんなわけで、指定席を利用した時とグリーン車を利用した時の差額は670円でしかありません
この日の「かいじ」51号には、サロE353-8を含むS108編成が充当されていました
E353系のデッキに足を踏み入れると、洗練されたデザインと落ち着いた雰囲気が広がります
乗降ドア上部の間接照明が木目調パネルの美しさを引き立てて、角部の金属パーツがスタイリッシュに空間を引き締める役割を担っています
乗降ドアからグリーン客室へ向かう途中で、まるで通路が関所のようになっている部分があります
ここに車掌室や車販準備室、それに多目的室や洗面所があるわけですが、その割を食う形で客室が前位側車端部ぎりぎりまで追いやられています
ほぼ同じ設計のサロE657形にも当てはまることですが、乗り心地が一番いいはずの台車間のスペースを客室しないというのはどうも納得がいきません
グリーン車の客室扉は普通車のようなガラス戸ではなく、高級感漂う深みのある色合いです
小さくグリーンマークが添えられているのが、これからアッパークラスの客室へ踏み込む高揚感を掻き立ててくれます
客室内は、深みのある赤に彩られたアッパークラスらしいハイセンスな客室が広がります
なお、車両の約半分をバリアフリー対応設備や上記の定員外に占める業務用スペースに割かれている関係で、定員は30名と少ないです
E257系のグリーン車が横4列×縦7列で定員28名なので、全室構造のE353系と大差ありません
信州の自然が感じられる爽やかなブルー系の普通車に対して、グリーン車は”赤”を前面に押し出しています
通路~客室ドア~天井にかけての配色に統一感を持たせることで、実質的に半室構造ながらも、客室に広がりが感じられるほか、高級感がビシバシと伝わってきます
3・4位側にバリアフリー対応設備を設けている関係で、後位側の1列については1人用座席が左右に1列ずつ設置されています
この車両の定員が4で割り切れないのは、この車イス対応区画が関係しています
それでは座席の詳細を見ていきましょう
JR東日本の在来線特急グリーン車としては、お決まり感のある4アブレスト配置で、シートピッチは1,160㎜です
実際に座ってみると貧相な見た目とは裏腹に、座り心地は悪くありません
普通車と比べると、リクライニング角度は深く、座面チルト機構も備わるため、腰回りが落ち着くようになっています
さらに、空気バネ圧式の車体傾斜車両となっていることから、コーナー通過時の体勢を安定させるようにヘッドレスト付近から肩部、腰部にかけて深みのあるバケット形状になっています
ここまでポジティブに感じたことを挙げてきましたが、普通車に対してアドバンテージを感じる点がこれくらいしかないんですよね
先代のE257系のグリーン車が、辛うじてグリーン車らしい”ゆとり”を提供しようと足掻いた努力の痕跡が垣間見えるのに対して、こちらは普通車との格差が余りにも薄いです
床のカーペットから天井に突き抜けるレッドで”クラス感”を表現したり、座席に細かく赤のステッチを縫い込んでレッドブラウンに見えるようにしたりと、デザインの力で座席のショボさをカバーしていますが、そんな上辺だけ取り繕うようなことではダメですよねぇ
E657系もそうですが、普通席であっても全席にコンセントとヘッドレストピローが備わるので、正直に言うと課金してまで乗る価値があるかどうか悩ましいところです
運行時間の短い「かいじ」ならともかく、「あずさ」で2時間半~3時間乗るなら、もう少し寛げるゆとりが欲しいと感じます
シートバックには、背面テーブル,ドリンクホルダー,網ポケット,コンセントが設置されています
ちなみに、フットレストはバー型のこれまた安っぽい貧相なものです
JR四国なら8600系の普通席でも付いているのに…と、ため息が出てきます
それよりも気になるのは、コンセントの位置が一部座席を除いて、写真を見ても分かるように、座席脚台にある点です
コンセントにプラグを差し込んだ状態でフットレストを使うと、脚と干渉する恐れがあるほか、窓側の人がトイレなどで通路へ立つ際に、コードに引っかかる…なんてことも考えられます
E657系のグリーン車は、コンセントをアームレスト先端部に設けていたのに、なぜ故E353系で改悪されてしまったのか不思議でなりません
そりゃ、中の人は改悪したつもりは微塵もなく、改善したつもりなのでしょうが…
車イス対応区画はサロE353形の松本寄りの8番A・D席となっており、1人掛け席が2席設けられています
この座席付近が、ちょうど揺れの少ない車体中央に位置しており、アームレストを独り占めできることから、1人利用ならば一番のアタリ席といえそうです
8番席が車イス対応区画になっている関係で、甲府・松本方面へ向かう場合、7番C・D席に座る人は背面テーブルがありません
それを補うために、7番席に限って座席間のアームレストにテーブルが仕込まれています
そして、このアングルから見ると、グリーン車にして座席間のアームレストは無きに等しいことが分かると思います
1人で座るならまだしも、隣に誰かが座ってきたら、譲り合いの精神を発動しなければなりません
普通車共々ヘッドレストカバーは”E353”のロゴが入った専用品となっており、JR東日本当系列にかける並々ならぬ拘りが垣間見えます
シートカバーに形式名がプリントされているのは、全国的に見ても珍しいのではないでしょうか?
さて、私の乗車した「かいじ」51号ですが、この先駅のホームから人が転落した影響で、東京駅のホームに停車したまま微動だにしません
ようやく20時前になって中央快速線の運行が再開されたものの、快速・特別快速の発車が優先され、当方の乗る「かいじ」は約50分遅れで東京駅を発車しました
そのままの遅れを引きずったまま立川駅に到着し、40分のショートトリップのはずが、新宿~甲府間に相当する約1時間半を車内で過ごす羽目になってしまいました
そのおかげで東京駅に停まっている時に、車内外をくまなく観察できたので、良しとしましょう
東京出張中に、「かいじ」やら「ふじかわ」に乗って山梨・静岡をふらついたきた写真もありますので、また機会を見てご紹介します