新しい風に乗って

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202411台湾渡航⑤:北上。彰化の機関庫へと向かう。

11月の台湾渡航。高雄からようやく北上する。前回はこれ。

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最初はこれ。

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700系そっくり!

これから乗るのは台湾高速鐵道、通称高鐵だ。台鉄の新左営駅隣接の左営駅から、台北エリアの南港まで結んでいる。
この高速鐵道は竣工に至るまで政治に散々振り回され、結果として日欧の高速鉄道技術をMIXして完成した路線である。一番目に見える範囲であろう鉄道車両はご覧の通り日本の700系新幹線のカスタマイズ版、700Tだ。先頭部の造形や両数(本家と違い12両編成)、乗務員扉が無い、客室内に緊急用ハンマーが備わっている(万が一の時は窓ガラスを破壊して脱出するため)など細かいところでは日本とは異なる仕様となっている。

中も700系。もちろんスピーカーは網棚上。

乗る予定の列車はちょうど高雄まで南下してくる列車の折り返しだった。到着した後、車内整備が終わるまで待たされた。5分ぐらい経過してからようやく乗車可能になり、このあたりの席がいいかなあと自由席車で荷物を降ろしたと思ったら程なくドアが閉まり、ゆっくりと動き出した。そういうせわしない所は新幹線(特に東海道)の真似をせんでもいい。始発駅なんだからあと10分ぐらいは止まっててもいいだろう。

水をパシャパシャする機械が印象的

高雄の市街地を抜け、高速域へと加速するころには既に沿線には郊外の景色が広がっていた。車窓に見えるのはパイナップルの農園やエビの養殖場といった日本ではあまり見かけることのないものである。そういえば以前に高鐵に乗ったときは完全に日が落ちた後で一切の車窓を見ることができなかった。景色を眺めるという点では事実上の初乗車といっても良いかもしれない。ただ今回の乗車はわずか1区間である。寛ぐ暇もなく降りるべき駅に着いた。

 

通過線は塀で仕切られている。厚狭みたい。

高鐵の台南駅に到着した。台鉄の沙崙駅と隣接している。

台風一過で雲一つない昼間…何もしなくても一番暑くなる時間帯である。駅舎から外に出ただけで高雄を超える尋常ではない高湿の熱気に包まれた。11月頭とはいえ正直辛い気候である。他の利用者は炎天下に出ることも無く駅舎内で送迎を待っているようだった。どうやら辛いのは人間だけではないようで、駅舎の日陰になる部分で割とでかい黒犬が2匹ぐったりとしていた。首輪やリードをつけている様子はなく、恐らくは野犬だろう。休むのは自由だけれども入口の前で休むのは勘弁してほしかった。せめて人間様の通行の邪魔にならない場所で休んでほしい。噛まれたくないし。

この駅で下車した目的は駅前に保存されている0系新幹線を見るためである。これについては別の記事に分けて記載しているので割愛する。

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贅沢に空間を使っている

駅前にある最大の訪問目的を済ませ、熱気に耐えられずにすぐに駅待合室に戻ってきた。次の列車まではまだ30分ぐらいはある。外には出たくないので空調の効くエリアを散策していた。駅舎内には世界中でコーヒー稼業をしているお馴染みSTARBUCKSや、モスバーガーミスタードーナツ一風堂。駅の裏手には三井アウトレットパーク…日本でも見たことがある店が多数見受けられるのはもう諦めて受容するしか無い。

先述の通り、この駅は高鐵に加え台鉄も乗り入れている。台鉄は口の悪いオタクに言わせれば「台湾鉄道の本業は弁当屋で、副業で列車を動かしている。」なんて言われるほどいたるところで弁当稼業をしており、排骨飯は代表的な弁当として有名である。そんな台鉄の駅弁を買うためには暑いなか台鉄駅まで向かわないといけないのか…と思っていたが、なんと高鐵コンコース内に弁当屋が出ていた。しかも改札内である。(写真右奥にTR Bentoと書かれた店舗がそれである)もちろんここの店舗にも排骨飯は陳列されていた。
「排骨飯ね、100元。カード?」
拙い英語でこの人間の国籍を察した店頭のおばちゃんがすぐさま日本語に切り替えてくれた。台湾も、そして韓国もだが向こうがこちらに合わせて日本語を話すたびに申し訳ないという気持ちでいっぱいになる。そして誰も彼も日本語が上手い。こっちも現地語で会話できるようになりたいと常々思っているのだが…

というわけで弁当を買い、再度高鐵に乗り込んで北上。今回は30分ほど乗るため、これを機として買った弁当を平らげることにした。200km/h以上で景色が流れる様子を片目に食べる温かい飯は最高で、ちょっとばかり日本にも欲しくなる。車内に電子レンジだけでもあれば温かい飯は食えるのだが…。

それはそれとして乗車中に弁当の車内販売に加え、ゴミ回収のカートが回ってきたのは驚いた。私個人としてはデッキのゴミ箱に捨てるのにめんどくささを感じることもなく、弁当を食い終えたとしても降りる時に捨てればいいと思っていたが、まさか椅子に座りながら身軽になれるとは思わなかった。高鐵は客が車内で飯を食うことを前提のオペレーションを組んでいるのだ。うらやましい。

高鐵の台中駅に着いた。高鐵、台鉄に加えて台中捷運とも乗り換えることができる拠点駅だ。ここは各駅停車のみならず速達列車もそこそこの本数停車する静岡とか浜松ぐらいのポジションの駅なようで、乗ってきた列車が去って行った数分後には次の列車がホームへと入線してきた。

駅コンコースは広く、やはり日系の飲食店が立ち並んでいる。ロイヤルホスト大戸屋に、まいどおおきに食堂に、すき家…切り取り方によっては日本の駅に見えるのかもしれない。

ここで台鉄に乗り換える。台鉄への乗換通路の傍らに電車オタクショップがあった。どういうものが売られているのだろうと入店してみたが、中身は日本のそれと大体同じである。客層も同じ感じ。

台鉄側の改札。台鉄は全島でICカードが導入されていることもあり、高雄で余らせたカードの残高をそのまま使うことができるのが嬉しい。

高鐵は台中駅だが、台鉄の同名駅台中市の玄関口として別の場所に存在する。そのため高鐵と隣接するこの駅は新烏日駅となる。別の運営事業者とはいえ高鐵開業時にその辺の配慮はしてほしい。

ものの2駅乗っただけで彰化駅に到着した。ここは以前にも下車したことがある駅だ。外観を見てこんな駅だったっけ?とも思ったが、後で調べてみると数年ほど前にリニューアルしていたようだ。初訪問時(2019年3月撮影)の駅舎に比べると随分とスタイリッシュになっている。

ようみると樹木も伐採されとる

ここで、駅の近くにある彰化機関車庫へと向かうこととした。実をいうと前回もこの機関車庫を見る目的で下車したのだが、ギリギリ開門時間を超過して入ることができなかったのである。今回はそれのリベンジを兼ねている。

ここまでは前回も来た。ここまでは。

門は開いており、車庫の中へと入ることができた。ここは現役バリバリの車庫でありながらも特に事前に予約をする必要も無く開放時間内であれば誰でも気軽に入ることができる、まあめちゃくちゃ緩い施設である。(かつての広電の車庫もこんな感じだった)

一応、保安上のためなのか備え付けの名簿に氏名と電話番号を書かないといけなかった。台湾ではあまり見ないであろう日本の氏名と、これまたあまり見かけないであろう+81から始まる電話番号を律儀に記載して入場した。

 

続く。

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