EF81 406は復帰出来るのか?踏切事故から復帰した303号機との差なども踏まえて考える


こんにちは!
今回はJR貨物のEF81に関する記事を書いていきたいと思います。
12月12日、川内駅構内でEF81 406の脱線事故が発生しました。
373news.com
事故の現場の画像を見ても、車両が傾くほどのかなりの脱線で事故発生直後にこの画像を見たときはショッキングでしたね。現在は復旧済で、川内駅構内に留置されているようです。
2nd-train.net
とりあえずは線路に戻したということですが、今後どうなるかは分かりませんね。
今回はこのEF81 406の今後について考えてみたいと思います。JR貨物では先日、踏切事故で損傷したEF81303が復帰を果たしたばかりです。それだけに406の復帰を望む声もネット上では多数ありますが、実際の所406の復帰可能性はどのぐらいあるのでしょうか。303号機との差も踏まえて考えてみたいと思います。

まずは事故の程度です。今回EF81 406の事故は脱線事故を起こしています。この脱線事故というのはかなりやっかいで、そのまま廃車になってしまう車両が多数存在するのも確かです。近年の例でいうと、都営5500形5507Fの4両や、京成3700形3788Fの2両、北総7800形7818Fの2両などが脱線事故を起こし、そのまま廃車になっています。特に5500形はまだ製造から数年で経年も浅い車両であったにもかかわらず、廃車になっていますので脱線事故鉄道車両にとってどのぐらい致命傷なのか、実感する出来事であったと思います。一方で、もちろん脱線から復旧した車両も存在します。ただし、その修理にも時間を要することは多く、例えば2023年6月に発生したしなの鉄道SR1系の脱線車両は未だに修理中です。2022年5月に発生した南海30000系も復帰に約11か月を要し、2023年4月に復帰を果たしました。また、JR貨物の車両で2024年7月に発生したEF210 341号機は車軸が折れていたことが原因の脱線と見られますが、この機体もまだ復帰していません。このように大規模な脱線事故の場合、復帰するとしても修理に時間を要することも多くなります。それではなぜ脱線事故ではそのまま廃車になる車両も多いのかを考えた場合、脱線の衝撃で車体や台枠に歪みが生じるなど、修繕が難しくなるケースも多々存在するのが理由であると思われます。例えば、2022年に発生したH5系とE6系脱線事故の報告書では、車体の歪みや台車の損傷など多数の故障が報告されていました。車両が鉄路から外れるというのはやはりそれだけ衝撃が激しいものであり、それが故に修繕不可能となるケースも多々あるということでしょう。今回のEF81 406がそういった修繕不可能になるほどの損傷を起こしているかは断定できません。ただし、あの傾き具合を見て、損傷無しと判断するのはなかなか厳しいのではないかと思います。修復不可能なレベルではないとしても、仮に復帰するとなれば修理は必須でしょうね。このことで甲種輸送等で所属先の北九州貨物ターミナルに戻れるかも不明な状況であるのかもしれません。そのため、線路復旧後も甲種輸送で所属先の北九州貨物ターミナルや最寄りの貨物ターミナルに移動させるわけでもなく、川内駅に留置されているとも考えられるのではないかと思われます。このように脱線事故、それもかなりの傾きで規模の大きい事故だと、なかなか修復も難しいかもしれませんね。ちなみに先日復帰したEF81 303は車体への傷やスカートの損傷などはありましたが、脱線は免れ、NHKの修理報道等を見ても主に車体の修繕がメインで行われたような報道となっています。今回の406とは事故の性質が異なることもあり、303が復帰したのだから、406も…という考えにはならないでしょうね。



また、EF81 406は検査期限が迫っている機体でもあります。前回の全般検査は2018年12月ということで、今年の12月で前回全検から6年を迎えることになります。EF81などの従来型機関車の全検周期は基本的に6年です。休車などで若干伸びることもありますが、ここから大逸れての活躍は難しいでしょう。今年の5月に運用離脱をした403号機も2018年4月が検査期限でほぼ6年で離脱をしています。こういったこともあり、406はそもそも検査期限の近い機体で、脱線事故の有無に関係なく近いうちに離脱する可能性も十分にあった機体と言えるでしょう。このような中、先日NHKは来年の3月でEF81は定期運用を終えると報道しました。検査期限も近く、先がある程度見えている状況で406号機をわざわざ復帰させるのとは、正直考えにくいのかなとも思うところです。ちなみに復帰した303号機の前回の全般検査は2022年3月です。全般検査の周期の途中の3年で行う台車検査もしばらくは先のような状況でした。303号機が修理をした理由に、検査期限がまだ先でしばらくの活躍を見込めるという点も考慮された可能性があると考えると、検査期限の短い406号機の復帰はなかなか厳しいのではないかなと感じる所ですね。
また、303号機の復帰の理由の一つに報道では最後の銀釜故の希少性もアピールしたような報道になっていました。このような希少車種という点も復帰に若干の影響を与えたのかもしれません。一方で406は一般的なEF81型の機関車で、似たような機体として404号機も存在しています。ちなみに404や406は元EF81 130番台の機関車の改番なので、JR東に残っている134や139などと製造時期も近い機体なのですよ。このような点も影響するかもしれませんね。

こういった点を考えると、個人的には406号機の復帰はなかなか厳しいのではないかと感じます。やはりこの脱線事故は規模が大きいですし、406号機の検査期限も迫っています。まさか406号機がこのような形になるとは思っていませんでしたので、残念ですが、復帰は望み薄なのかなと感じる所ですが、鉄道ファンとしては低い可能性を望みたい所でもあります。
最後までご覧いただきありがとうございました!