

これらは、関東・関西から地方への路線で運行されてもいまして、最も需要が高い関東~中京圏・関西圏では夜行での運行の他に昼行での運行も見られてもいまして、それだけダブルデッカーの需要もある事が伺わせております。
ただ、これまで導入されてきました三菱ふそうのエアロキングは既に平成22年に製造を終了しておりまして、国内メーカーでダブルデッカーを製造している所は残念ながらありません。
現在は、JR東海バスが全廃(→一部売却、うち1台は中国ジェイアールバスに譲渡)となりましたし、JRバス関東や西日本ジェイアールバスなども上の画像1の「青春エコドリーム」用の4列シート車(D654-09502・BKG-MU66JS)をはじめ残存車はあるものの、数えるほどしか台数もなく、あとどのくらいの活躍かと言う域である事には間違いないようであります(尚、画像2の西日本ジェイアールバスの車(744-0903・BKG-MU66JS)は引退済みのようです)。
その代わり、ベルギー製でありますスカニアのバンホール・アストロメガが先述のJRバスグループの事業者に導入されておりまして、やはり先述の関東・関西から地方への路線で運行されておりますし、それ以外のJRバス以外の事業者でもバンホール・アストロメガが導入されている事業者が見られております。
そして、同じくJRバスグループとして、JR九州バスにも平成15年から平成26年まで、上の画像・以降の画像にありますようにダブルデッカーを所有しておりまして、九州~本州路線、もしくは九州内の路線で活躍する姿が見られておりました。今回は、過去の画像よりそのJR九州バスに所有しておりましたダブルデッカーに関しまして、皆様にご紹介してまいります。
JR九州バスに所有しておりましたこのダブルデッカーこと三菱エアロキング(MU612TX)は、JR九州バスに唯一在籍していたダブルデッカーでありまして、JR九州バスの社番は744-2952(RED36)でありまして、座席は独立3列シート・トイレ付きと、仕様は若干違いますが、3列シート車の場合、他のJRバスグループのダブルデッカーとはほぼ同等の装備となっておりました。
そんな唯一在籍しておりましたこの車は、平成15年に導入されまして、この年運行開始されました福岡(博多)~神戸(三宮)・大阪(大阪駅・湊町)線「山陽道昼特急博多号」専用車として西日本ジェイアールバスのダブルデッカーとともに運行されておりまして、一日片道の割合で運行されておりました。




この車の所要時間は、約9時間半と朝出て夕方着くパターンで運行されておりました。しかし、山陽新幹線や航空機の存在もありまして、昼間のこの路線利用もそんなに多くはなく、結局平成23年に後述の路線に転用する事もありまして、路線は休止へと至っておりました。
「山陽道昼特急博多号」時代は、博多支店所属でありましたので、登録ナンバーももちろん福岡ナンバーでした。ただ、JR九州バスで多く見られる希望ナンバー(230ナンバー)ではなく、一般の登録ナンバー(200ナンバー、福岡200か・687)であったのが特徴ではあったでしょうか。


平成23年3月末の「山陽道昼特急博多号」休止後には、今度は宮崎支店へと転属しまして、そこで翌4月から運行開始されました福岡(博多)~宮崎線「たいよう号」へと引き継ぎまして、専用車として運用をスタートする事になります。もちろん、登録ナンバーも宮崎ナンバーに改番しておりまして、ここで初めて希望ナンバーの登録(宮崎230あ29-52)となりました。




(「山陽道昼特急博多号」から引き継いだ「博多-宮崎」の表示)~「山陽道昼特急博多号」時代は「博多-大阪」でした
この「たいよう号」では、3列シート車に加えまして、4列シート車まで運行されていた路線でしたが、これらの中でも特に目玉の車として運行される事になりまして、以下画像のように私自身も乗車も果たしましたが、やはり競合路線でこれまでも担当していた「フェニックス号」とは利用者も劣っておりまして、普段でも空席が多く見られるほどでありました。
(高速基山にて)
(宮原SAにて)


(「たいよう号」より車窓)


それでも、2度目の乗車を果たしました際には画像のように満席の姿も見られていたなど、「たいよう号」の知名度も徐々に上がってきているのではないか?とも思われました。やはり、従来の車両よりも多く乗車できるのが一番の利点ではありますので。
(宮原SAにて)




(満員の車内)


しかし、「たいよう号」が平成24年3月末で廃止となりまして、一度分かれておりました「フェニックス号」に翌4月より再び戻ったため、このダブルデッカーも「たいよう号」の廃止前に離脱しておりまして、翌4月からダブルデッカーの担当路線も「福岡山口ライナー」へと至る事になりました。
この車にとりましては、1年ぶりの福岡~本州路線となりました「福岡山口ライナー」では、他の宇部新川駅経由の便とは違いまして、美祢インター経由の直行便として、平成24年11月末までの期間限定の形で運行されておりました。




しかし、普段はあまり利用者はそんなに多くはなく、かつ需要が多い山口発とは対照的な姿が見られておりました。以下画像は平成24年8月のお盆時の模様でありますが、ちょうどお盆時であった事もありまして、普段よりは若干多い程度でありました。それでも、座席表を見る限りでは空席も多く見られていたようでしたが・・・。




所で、この「福岡山口ライナー」運行に伴い、この車も博多支店に帰ってきておりました。そのため、登録ナンバーも福岡200か24-78に再登録されておりまして、ナンバーも再び希望ナンバーではない事もわかるのではないでしょうか。


この時には、少々見にくいですが、スタフ(運行時刻表)も撮る事ができておりました。やはり宇部経由ではなく美祢インター経由でもありましたので、その後廃止される事を思えば、ある意味貴重な時刻表でもある事も伺えます。


結局、それでも利用者を増やす策は取られておりましたが、平成24年9月中旬に当初の11月30日までの期間限定運行を早めましてダブルデッカーの運行は終了しました。この時には、10月より臨時運行が定期化されるに至っておりまして、本数も8往復運行となりましたが、美祢インター経由は廃止、全便宇部新川駅経由に改められておりました(現在は減便・JR九州バス撤退もありまして1往復に減便されております)。
これによりまして、JRバスグループなどに売却もあるのでは?とも考えられましたが、この車は平成24年暮れから運行開始されました、季節運行の鹿児島~山口~広島線「鹿児島ドリーム広島号」の専用車として抜擢されまして、今度は3度目の転属として鹿児島支店に転属・運行されておりました。




この車にとりましても、「福岡山口ライナー」専用車としての運行終了時に離脱する事も報じられていたほどでしたが、「鹿児島ドリーム広島号」の運行開始に伴いまして延びる事ができたというまさに奇跡的な事でしたので、それほどJR九州バスにとっては必要な車であった事も伺えるようでした。尚、転属に伴いまして鹿児島ナンバー(鹿児島200か14-07)に改番されておりました。
この運行は、平成25年春までは山口駅経由でも運行されておりましたが、以降は山口地区を通過しまして運行されてもいました。しかし、平成26年春にダブルデッカーの運行は終了、以降はハイデッカー、そしてスーパーハイデッカーでも運行されておりましたが、平成29年に廃止されております。
そして、このダブルデッカーこと三菱エアロキングの運行終了に伴いまして、この車はついに売却に至りまして、売却先の事業者では関東~関西間の路線に転用されておりましたが、その後廃車売却に至ったようであります。
今回は、導入しまして11年に渡りましてJR九州バスに所有しておりましたダブルデッカーこと三菱エアロキングに関しましてご紹介しましたが、平成23年以降は様々な路線を渡り歩いていたなという事が伺わせていたように思います。それほど転用先も見られてはいましたが、残念ながら長続きには至らなかった事に関しましては残念ではなかったでしょうか。やはり、需要が多い路線では長続きや全うもできていたようですが、需要もそれほどなかった事を思いますと仕方なかったでしょうか。ご覧の皆様も、JR九州バスに所有していた事を存じていなかった方はこれで存じていただければと思っております。