西肥自動車(西肥バス)の福岡~佐世保線「させぼ号」、福岡~ハウステンボス線のいわゆる「させぼ号」系統の車は、現在は全車三菱ふそうの車に変わっておりますが、令和5年に上の画像2台(画像1、F534・PJ-MS86JP 画像2、F551・BKG-MS96JP)はいずれも廃車売却となっておりまして、現在西肥バスとしての姿は画像でしか味わう事ができておりません。
これらは元夜行用の車でありまして、特に画像2のF551は西肥バス唯一のスーパーハイデッカー車両でもありますので、一際目立つ存在ともなっておりました。それでも「させぼ号」系統向けに転用に際しましては、4列シート・仮眠室撤去・荷物室拡大を行っておりましたし、最近はWi-Fi・USBポートも導入されておりまして、利用しやすい環境を備えておりました。
しかし、これらに関しましては座席のレイアウトが他の車とは異なっている事(他の車が後部トイレ付に対しまして、元夜行車両は中間にトイレ設置)が決め手となりまして、座席指定制となりました「させぼ号」系統では使用できなくなっておりまして、結果これら2台が廃車売却へと至っておりました。
現在は、恐らく2台とも第2の車生を送っているのではないかと思われますが、かつての夜行用としての姿は見られなくなっているとは言いましてもかつての面影はこれからご紹介する姿とともに思い出していただければとも思う所ではあります。
さて、これからご紹介しますのは、これら2台も運行しておりました最後の夜行高速路線バスでありました「コーラルエクスプレス(大阪線)」の最終運行シーンに関しまして皆様にご紹介してまいります。この中には、最終運行を務めましたF534、そしてこれまで最終運行を務めませんでしたF551の大阪線最終日での姿も併せてご紹介させていただきます。

平成25年9月30日、西肥自動車(西肥バス)・南海バスが運行しておりました、佐世保~大阪線「コーラルエクスプレス」(南海バスは「サザンクロス」)が運行しておりました、夜行高速路線バスが残念ながら運行休止となりました。
この運行休止の理由は、利用者の低迷や当時運行されておりました高速ツアーバスの影響、さらには格安航空会社(LCC)の影響も重なりまして、結果この運行休止へとつながってしまったものでありまして、この結果、西肥バスにとっては夜行高速路線バスの運行からは撤退と言う結果に至っておりました。
ここからは、平成25年9月30日の休止当日の姿であります。まずご紹介しますのは、佐世保市重尾にあります西肥自動車東部営業所であります。この営業所に「コーラルエクスプレス」の車両が配置されておりまして、ここで毎日のように画像の整備場において点検整備等が行われておりました。


この整備場では、ちょうど整備中でありました、当時東部営業所所属でもありましたF534の姿がありましたが、この車こそ、この「コーラルエクスプレス」最終日を飾る車となっておりまして、この夜最後の大阪を往復する事になっておりました。この姿を見ますと、念入りに整備をなされている事を伺わせる姿であった事がわかります。


一方、本務車でありました、当時同じく東部営業所所属でありました三菱エアロクィーン(F551)の姿もこの東部営業所にありましたが、残念ながら整備中でありまして、一足先に大阪往復も終了したような形となっておりました。やはり本務車でもありましたので、最後は正直この車に飾ってもらいたかったのですが、この後熊本線に転用される事になっておりましたので、それに向けた整備を行っていた事を思いますと仕方なかった姿ではなかったかと思いました。


(「整備中」の札)


(この車に貼ってあった、もう走る事がない「コーラルエクスプレス」の経路表)


ちなみに、ちょうどこの撮影時にも路線バスの運転士の方とお話をしたのですが、「やはり夜行バスから撤退するのは残念やね」と言う言葉が返って来ておりました。それほどこの東部営業所の運転士にとりましても、この運用が夜行である分一番の印象であった事が伺えたようにも思いました。
場所は変わりまして、画像は佐世保駅みなと口でありますが、ここには画像のように高速ツアーバスから高速路線バスに変わりました、佐世保・福岡(博多)~神戸・大阪線(当時)「ユタカライナー」のバス停が設置されておりました。現在は、この「ユタカライナー」が大阪を結ぶ路線の代表ではありますので、休止の原因の一つになっていた事を思いますと、これに関しましては残念な所ではなかったでしょうか。


この撮影時、ちょうど大阪行き(大阪200か35-17、いすゞQPG-RU1ESBJ)の姿がありましたが、この撮影時には6名の乗車を確認しました。尚、この日は予約座席表を見ますと、小倉駅まで8割の乗客が乗車予定となっていたようですが、飛び込みを加えますとまだ多くの乗車もあっていたようでした。それにしても、福岡地区でも乗客を乗せるとは、福岡での乗車状況を考えましても、メインが福岡である事には変わりないようにも思ってしまう所ではないでしょうか。尚、現在は佐世保市に営業所を持っておりますので、この路線もメイン路線の一つになっていると言ってもいいかと思います。




この「ユタカライナー」の発車を見送りまして、次は佐世保駅反対側の佐世保バスセンターにやってまいりました。


バスセンター内には、この後神戸・大阪方面へ利用される多くの利用者もいらっしゃいまして、面々の姿も老若男女の姿もあるなど、まさに最終日ならではな姿が見られておりました。また、私のように最後の姿の撮影に出向いて来られた姿もあるなど、バスセンター内は賑やかな姿も見られておりました。


またこの撮影時には西肥バスの職員の方もいらっしゃいまして、翌10月1日が改正日と言う事も重なりまして、バスセンター内にあります時刻表の時刻替え作業を行っておりました。しかし、入線・発車時には職員の方も手を休めまして、最後の姿を見送る方もいらっしゃっておりました。
こうして、三菱エアロバスのF534が入線してまいりました。やはりスーパーハイデッカーでありますF551ではなかった事は残念でありましたが、以前運行しておりました名古屋線では、名古屋線最終日には最終日の運用には就かず、大阪への運用に就いておりましたので、ついに最終日の運用に回ってきてしまったかと言う印象さえも感じさせられました。




この最終日には、ほぼ満席との事でありました。改札時には運転士さんから「最終です」と言う言葉が聞かれておりまして、これは最終日を伺わせる言葉であったのかも知れません。


エアロバスの後部へと回ってまいりました。後部の行先は「神戸/大阪・堺」と表示されておりましたが、この行先自体も大阪駅前停車時に行先を変更したものでありました。しかし、この行先も1年ちょっとしか続かなかった事は残念でならなかった所でもありましたでしょうか。


(行先)


こうして、ついに発車時間となりまして、神戸・大阪へ最後の運行へと向かって行きます。この際には、画像にもありますように手を振られていたり、写真を撮られていた方もいらっしゃるなど、まさに最後の発車である事を伺わせておりました。ここでは職員を含め、一般の方も多くの方が見送る姿は、本当に愛されていた事がわかる姿にも感じられるほどであった事を覚えております。
(発車)


(手を振る・携帯等で撮影する方々)


この後、画像のように一旦バスセンター横の信号にて信号待ちする事になりますが、この際にも手を振る方が見られました。また、運転士もこの後発車しますと、交代運転士の方が手を振られていましたり、運転している運転士自体もクランクションで「ありがとう」とおっしゃっているようにも思うほどでした。


今回は、西肥バス運行の「コーラルエクスプレス」大阪線の最終日の姿をご紹介しましたが、この後これらを含みます夜行専用車に関しましては、その後熊本線「さいかい号」に転用されますが、その路線ものちに廃止となります。そして冒頭の元夜行用車両2台がいずれも「させぼ号」系統に転用されましたが、残念ながら西肥バスからは姿を消すに至っております。けれども、今回ご紹介しました夜行路線の姿もまさに西肥バスにとりましても輝いていた一面ではなかったかと思いますので、元夜行車両が姿を消している今ではありますが、これからも記憶に残しておきたい所である事には間違いないでしょうか。

