JR西日本は13日、中国地方のJR線に関する2025年3月ダイヤ改正の概要を公表しました。今回はこれについて分析します。

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 2025年3月25日に広島駅に新しい駅ビル「ミナモア」が開業するのにあわせ、お出かけに便利なダイヤへと改正されますが、どのような内容となるのでしょうか??

 

※記事中の図は、JR西日本プレスリリースから引用しています。

 

1.広島エリア

(1)土休日に広島~岩国間で快速「シティライナー」が1往復増発されます。岩国方面から広島へお出かけへの行き帰りに使いやすい時間帯に設定されます。また、土休日運行の西条発広島行き快速「シティライナー」が、白市始発に延長されます。また、運行時刻が30分ほど早まります。

 

 

 

(2)快速列車の着席サービス「うれシート」設定列車が土休日に拡大します。現在は平日1本、土休日2本に設定されていますが、このうち土休日について2本から5本に拡大となります(平日は変更なし)。

 現行ダイヤでは、岩国や宮島から広島方面へ帰る客向けに設定されていますが、新たに設定される3本はいずれも午前中に広島へ向かう便となっています。

 

 

(3)土休日 山陽本線増発

 土休日の日中時間帯に、広島~五日市間で普通列車が毎時1本増発されます。

 

(4)山陽本線 夕方時間帯増発

 山陽本線では、広島~五日市間で夕方時間帯に増発される一方、五日市~岩国間、西条~糸崎間は減便となります。

 

 区間によっては減便となりますが、運転間隔が揃えられ、パターンダイヤ化されるので覚えやすく、使いやすいダイヤになります。減便による利便性低下を抑えるためにパターンダイヤを取り入れたのは良い取り組みだと思います。

 

(5)呉線

 呉線では、土休日に広島~坂間で普通列車が4往復増発されます。また、朝時間帯に運行されている快速「通勤ライナー」が、新たに海田市駅に停車します。

 

 

 呉線には、「通勤ライナー」「安芸路ライナー」の2つの快速が走っており、前者は朝時間帯の広島方面行き、後者はその他の時間に運行されています。通勤ライナーの海田市駅停車により、両者の停車駅の差は2駅(安芸路ライナーは吉浦・坂にも停車)となります。利用状況によっては、将来的に安芸路ライナーに統合されるという可能性も考えられます。

 このほか、平日20時台に坂発広島行きが1本増発されます。

 

 

 現行の広島20:35発広行き普通列車の運行区間を短縮して坂行きにしたうえで、その折り返しとして坂発広島行きを増発するものとみられます。坂駅の21時台のダイヤを見ると、50分運転間隔が空いているので、これを是正するものとみられます。一方、広島から呉方面への列車は、20:20発の普通列車から20:50発の快速「安芸路ライナー」まで30分空くことになるため、快速列車の混雑がどのようになるのか、少し気になります。

 

(6)芸備線

 芸備線では、朝6時台に下深川行き普通列車が1本設定されます。

 

 

 ただ気になるのは、これが本当に増発なのか?ということです。広島から三次方面への列車は、5:41発の普通列車三次行き、5:57発の普通狩留家行き、6:57発の普通三次行きと続いています。5時台は運転間隔が16分なのに対し、6時台は1時間も空いており、運転間隔が不均等な状態となっています。

 それを是正するために、5:57発の普通狩留家行きを6:37発普通下深川行きに短縮し、運転間隔を調整するということではないか?と思っています。もしそうであれば、増発どころかむしろ下深川~狩留家間での減便ということになるため、改正後のダイヤがどのようになっているか、2月に再度確認したいと思います。

 

2.山口エリア

(1)山陽本線(土休日のみ)

 8時台の由宇発岩国行き1本が、9時台にシフトします。平日は変更なしとみられます。

 

 由宇9:34発の岩国行きに乗車した場合、広島に11時前に到着できます。この変更も、「ミナモア」へのアクセス向上の一環とみられます。

 

(2)山陰本線 時刻変更

 山陰本線の益田~長門市間、支線の長門市~仙崎間の運行時刻が変更されます。

 益田~長門市間については、益田発東萩行き、長門市発東萩行きが時刻変更となります。益田これにより、東萩での長時間乗り継ぎ待ち解消かつ益田~長門市間直通化がなされ、利便性の向上が期待できます。

 長門市~仙崎間については、6時台の変更は始発列車の繰り下げとみられます。それぞれ17分ずつ繰り下がりますが、長門市駅から先、山陰本線や美祢線への乗り継ぎには影響はありません。むしろ始発列車を繰り下げることで、長門市駅での乗り継ぎ待ち時間を短縮する狙いがあるとみられます。

 7時台の1往復が、10時台に変更されます。山陰本線・美祢線いずれの方向からきても仙崎行きに乗り継げるよう設定する意図があるとみています。

 なお、長門市~仙崎間は、鉄道の本数は1日6往復と非常に少ないですが、路線バスは比較的充実しており、最低毎時1本程度走っています。そのため、7時台の便数が1便減っても支障は少ないとみられますが、そうした状況下にあるならば、今後はバスとの共存も含めてダイヤ設定を考えてもいいように思います。

 

3.岡山エリア

(1)山陽本線 土休日増発

 土休日の日中に、岡山~金光間で2往復増発となります。

 

 特に岡山行きは、運行間隔が30分以上空いている時間に設定されているため、利便性向上が期待できます。平日の運行本数は変わりません。

 

(2)姫新線 最終列車繰り上げ

 姫新線の中国勝山~新見間において、最終列車が繰り上がります。

 

 夜間帯ということもあり、利用者が少ないために最終列車を繰り上げるものとみられます。なお、中国勝山22:49発の新見行きは、津山21:55発の中国勝山行きから乗り継ぎ可能なダイヤになっていますが、改正後は乗り継ぐことができなくなるとみられます。

 

 ※特急「うずしお」岡山乗り入れ廃止については、JR四国のダイヤ改正解説記事で触れますのでそちらをご覧ください。

 

4.まとめ

 いかがでしたでしょうか。今回は広島駅の新ビルがオープンするということで、土休日の日中の増発が目立つダイヤとなりました。お出かけにとても便利なダイヤになる一方、増発がおおかた土休日限定であるという点に、平日日中はまだまだ伸び悩んでいることを思わせられます。

 また、広島地区でパターンダイヤが導入され、一部区間で減便となる一方、とても覚えやすく、運転間隔も揃ったダイヤに刷新されるため、減便による利便性低下を抑制できていると思います。

 新しい駅ビルができて、アクセスが整備され、利用がどのように変わるのか。注目です。