【ネット予約の片道利用が安い実態・役目を終えた】JR往復乗車券と連続乗車券の廃止
交通系 IC カード等の全国的な普及拡大及びご乗車の都度インターネットでご予約いただけるサービ スを多くのお客様にご利用いただいていることなどにより、 「往復乗車券」及び 「連続乗車券」の発売枚 数が減少していることから、JR 各社での「往復乗車券」及び「連続乗車券」の発売を終了します。
1. 発売を終了する乗車券 往復乗車券及び連続乗車券
※ JR 各線と連絡会社線とにまたがる連絡乗車券も含みます。
2. 発売終了時期 2026 年 3 月(詳細な日にちは決まり次第お知らせいたします。)
※ 発売終了後も、有効期間内の往復乗車券及び連続乗車券については有効期間満了まで ご利用できます。
3. その他
⑴ 往復乗車券の発売終了に伴い、片道 601 キロ以上を往復する場合に、往路及び復路の運賃がそれ ぞれ 1 割引となる「往復割引」についても、取扱いを終了します。
※ 他の割引と併用する場合も含みます。 ⑵ JR 各社では、インターネット予約にておトクな割引商品を発売しております
↑JR往復乗車券と連続乗車券は発売終了が決定した。2026年春頃からは片道乗車券だけという”単品”しか発売しない事になる。
【そもそも往復乗車券とは?】
↑そもそもだが「往復乗車券」とは、単純に出発駅→目的駅間で乗車経路が同じ場合に限り【ゆき】と【かえり】の分を前もって発売する(買っておく)乗車券の事である。運賃(金額)は片道分×2で割引は基本的に無い。写真の場合・・・
【ゆき】郡家→鳥取0円(「***」の場合もある)
【かえり】鳥取→郡家480円
ときっぷには記載がある。あたかも【ゆき】はタダのように見えるが実際には240円(【かえり】分の金額の半分・要するに片道分)である。なぜ「240円」と記載しないのか?は不明である。
この時は因美線で郡家~鳥取を往復したのであるが、この区間はICOCA等のICカードが使えないので「紙のきっぷ」が必ず必要になる。往路は郡家駅で、復路は鳥取駅のJR券売機でその都度片道乗車券を買う事は出来る。だがそれでは面倒だ。乗るごとに券売機を操作しないといけない。この面倒を省くために往復乗車券にしたのだ。それだけが唯一のメリットで、それ以外は特に理由は無い。
2026年春以降はICカードが使えない区間では乗車の都度券売機を操作して片道乗車券を買う手間が発生する。
そう言ってしまえば大幅な利便性との低下と言わざるを得ないが、JR全線で見た時にICカードで乗車出来ない区間はかなり限定的である。なんなら「スマえき」のようなQRコード乗車券もICカードの部類としてみなしてしまえば、不便なのはかなり限定的な区間になってしまう。少なくてもJR東日本とJR四国管内はそういう区間が皆無だし、JR他社で見ても少数である。少数のほとんどの区間は車内で現金直接払いのワンマン運転が主流なので、事前に「紙のきっぷ」を買うこと自体が少ない(と言うか発売出来る体制が整っていない)。
JR線の9割強の区間で乗車券の形態に差異があるものの”単品”の片道乗車券が当たり前になり過ぎているので、往復乗車券の役目は終了したと判断するのは自然の流れである。
【601キロ以上の往復割引も廃止】
これは有名だが東京山手線内から神戸市内までの乗車券にしてしまうと微妙に601キロを越えない。往復乗車券にしても特に割引は無い。これを東京山手線内から西明石までの乗車券にすると601キロを越えるので、往復乗車券だと1割引きになる。そうすると後者の方が値段が安い。そのため実際には西明石までは乗車しないのに(神戸市内までの乗車)、西明石までの往復乗車券を買っておき少し安く乗る…と言う”テクニック”は鉄道マニアどころか関西では一般人でもよく知られている事であった。これも2026年春以降は廃止される。
EX予約(スマートEX)でも往復分の新幹線の予約をしておけば、601キロ以上の乗車でも現状は乗車券相当分は1割引きとなっている。これについては2026年春以降は「別途検討する」としている。そもそもEX予約(スマートEX)は正規のJR乗車券・特急券の位置づけではなく、”JR東海の商品”で正規のそれらとは若干だが取り扱い方法が異なる(例えば特定都区市内制度が非適用等)。「正規の乗車券で往復割引は廃止するが、EX予約(スマートEX)で購入した新幹線のきっぷについては(601キロ以上の往復利用に関しては)今まで通り乗車券相当分は1割引きする」と言われればそれまでだ。
だが実際には「早得」と称する”単品”のきっぷを【ゆき】と【かえり】別々に購入すると、商品や条件によっては正規の乗車券・特急券よりも安いという例は多々ある。これは新幹線に限った話ではない。
但し、大前提として「EX予約」「スマートEX」「e5489」「えきねっと」等のJR各社が運営するネット予約サービスの会員で、ネット(スマホ)できっぷが購入出来るお客に限られる。それらの会員でなかったり、そもそもネットに接続出来ない(パソコンやスマホを持っていない)、クレジットカード決済が出来ない(現金払いが可能な場合も一部ある)場合は、割引の恩恵を受ける事は出来ない。少なくても「駅買い」であればフリーきっぷやジパング俱楽部を使わない限りは間違えなく定価購入と思って良い。ネット予約サービスの非会員(一見さん)に対してはますます冷たくなった印象である。
【複雑明快な連続乗車券】
↑連続乗車券(下の「乗車券(連続1)」と「乗車券(連続2)」の方)とはご覧の通りのものである。恐らくこの1回しか買った事が無い。この時の経路はこうだった。
(連続1)博多→博多南
(連続2)博多南→博多(この間(連続1)の区間を往復)→新幹線で掛川(これを在来線(鹿児島線)経由にすると運賃が若干高くなる)→東海道線で西焼津
つまり、博多~博多南は往復乗車して復路の博多駅では下車せずそのまま山陽新幹線に新規乗車して東(先)に進む場合、往復乗車した分は運賃計算キロに含める事が出来るというものだ。往復乗車区間が1ヶ所であれば(連続2)までで済むが、これが2ヶ所だと(連続3)、3か所だと(連続4)と言うように増える。往復乗車した分を別々に運賃を支払うよりは安く乗れるし、100キロ以上(近郊区間内を除く)であれば乗車キロに応じて利用日数も通算出来るメリットがある。
しかし、連続乗車券は買う方も売る方も知識が必要である。経路が複雑になりがちなため、みどりの窓口を”粛清”させる昨今、この手の”面倒くさいきっぷ”はなるべく発売したくないのが本音だ。
「えきねっと」やMV(指定席券売機)でも細かく経路を入力すれば買えない事はないものの、経路が複雑過ぎると「受付できません」となってしまう。そうなれば「みどりの窓口へ行ってくれ」である。一応AMV(話せる券売機・みどりの券売機プラス等)のオペレーター対応ならば発売は可能である。
”単品”だけのネット予約サービスからの販売が主流となっているので、こういう複雑なきっぷは積極的に廃止したいのがJR各社の本音である。そしてお客が買わなくなったという点も大きい。鉄道マニアであっても積極的に連続乗車券を買う人と言うのは僅かだし、私が知っている業界関係者に話を聞いてみても”連続乗車券愛好家”は皆無である。安く乗るならネット予約か、旅行会社が発売する旅行商品(「ぷらっとこだま」とか「JR東日本びゅうダイナミックレールパス」のようなもの)、フリーきっぷ、ジパング俱楽部(オトキュー等も含む)、単純な片道乗車券か…それしか選択肢がない。
連続乗車券についても役目を終了したと思って良い。