旧北陸本線トンネル群散策(樫曲トンネル、葉原トンネルなど) | 乗りつぶしに行ってきた!

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2024年4月30日(火)

10時30分 敦賀駅

 

2024年3月16日に北陸新幹線の終点となった敦賀にやってきました。

 

 

 

北陸新幹線が延伸したことに伴い、並行して走る北陸本線は第3セクター化されハピラインふくい線と名称が変わったわけですが、

3月15日までの名称だった北陸本線は滋賀県の米原から敦賀を経て東に進み新潟県の直江津まで通されていた路線でした。

 

基本的に海沿いを走るわけですが、海のすぐそばまで山や崖が連なる区間があるのが特徴です

今でこそ長大トンネルを掘って最短距離で進もうと工事を進めるわけですが、

今回記事にする敦賀今庄は1962年に北陸トンネル(全長13,870m)が掘られて携帯の電波が通じず爆音が鳴り響く中ひたすら寝るか、暗闇を見つめるかで過ごしていました。

1896年にこの区間が開通された当初は長大トンネルを掘る技術がなかったために山の中を縫うように線路を敷いていたわけですが、それでもトンネルが12ヶ所、スイッチバックが4ヶ所もあり、

敦賀今庄の営業距離は北陸トンネルがあるおかげで現在は19.2kmで済むものの、1962年までは26.6kmもあり7.4km分遠回りをして「北陸線の盲腸」とまで評された路線で、通称は杉津線あるいは山中線と呼ばれていました。

 

北陸トンネルが開通してからは全ての列車が北陸トンネルを経由して行き来するようになったので、

杉津線は廃止となったわけですが、線路跡は自動車道路に転用されています。

道路化されて半世紀以上経っているわけですが、トンネルなどの鉄道遺構は一部を除きそのまま残されていて、

国の登録有形文化財に登録される程のもので、自動車やバイクはもちろん自転車でも巡ることができるのですが、

己の脚、つまりランニングで巡ることにしました。

 

この日の敦賀市街地は雨がぱらつく感じでこの程度ならば、走るのには支障はないだろうと予想して、ランニング開始。

まずは北陸新幹線の高架を眺めながら、

 

 
その真下にもう北陸方面には向かわず京都大阪方面しか行けない特急サンダーバードのお見送りを受けて、
 

 
2019年に正式に廃線となった敦賀港線の線路跡を通過して、
 

 
少し遠回りにはなるもののハピラインふくい線の踏切を渡り、
 

 
踏切から今庄方面を眺めると北陸トンネルの抗口を目にすることができます。
 

 
抗口のすぐ横には1972年に発生した北陸トンネル火災事故の慰霊碑が置かれていて、
非常に多くの死傷者が出たことに対して心の中で手を合わせながら、
 

 
 

 

この事故をきっかけにトンネル内で列車火災が発生した場合、トンネル内では止まらずに通り抜けるという教訓が生まれたことを思い出しながら通過して、しばらく走ると国道476号線に入ります。

すでに緩やかな上り勾配が始まっていて、いつ最初のトンネル遺構に出会うのか少し走ると、476号線を示す青看板の先に最初のトンネルの入口を発見しました。

 

 
これから10ものトンネルを通過するわけですが、まずは樫曲トンネルで自動車用ではなく歩道として転用され、
全長は86mとかなり短めでトンネルの先の風景も見えています。
 

 
抗口のそばには案内板が立てられていて、樫曲トンネルの説明はもちろん
 

 
 

 
トンネル内部のレンガや石の積まれ方まで説明されていて、トンネルによって積まれ方は側面とアーチ部で異なる模様です。
 

 
トンネル内部にカンテラ照明が付けられていますが、これは鉄道が通っていた時代には設置されていなく、
トンネル見学者向けに設置されたものです。
 

 
カンテラの反対側の壁面には国の登録有形文化財に登録されたことを示す標識が設置されていました。
 

 

蒸気機関車になった気分でトンネルを通過して

 

 
出口にもカンテラが設置されていました。
 

 
樫曲トンネルから2kmほどで旧北陸本線内で設置されていた新保駅付近を通過。
 

 
旧北陸本線が廃止になってからしばらくして北陸自動車道が通されて、駅の設備はきれいさっぱり無くなりましたが、
 

 
駅のあった場所には記念碑が建てられ
 

 
当時の駅構内が描かれていました。
 

 

また駅の壁面が自動車道に一部使われているそうですが、今回はトンネルを巡ることに重点を置いていたので、写真だけ撮って先を急ぎます。

さらに2kmほど476号線を進み少し迷子になりながら側道に入ると、「近代化遺産周遊ルート」「旧北陸線トンネル群」の案内看板を発見して、

 

 
鉄道車両が1編成だけ通れそうな道を進んでいきます。
 

 

少し進むと右手には北陸自動車道が近づきしばらく並走していきます。

一方で左を見ると、だんだんと黒い雲が空を覆うようになってきました…

 

 

1.5kmほど進むと2つ目の葉原トンネルにたどり着きました。

すぐ左にはもう一つ新しめのトンネルが掘られていますが、すぐ右を走る北陸自動車道に緊急車両を通す用に作られたトンネルのようで、

 

 

トンネル前には立ち入り禁止の柵が設けられていました。

 

 
右上には北陸自動車道の葉原トンネルが掘られていて、100年以上前に敷かれた路線だろうと高速道路だろうと平等にトンネルを設置させるあたり自然の偉大さを感じることができました。
 

 
旧北陸本線の葉原トンネルにいよいよ入っていきますが、全長は979mと長さがあります。
 

 
自動車用に転用されていますが、車両1台しか通れないのでトンネル上部には信号機が設けられています。
 

 

工事現場などで見かける待ち時間が表記されていて、2分くらいなら見たことがあるんですが、5分というのは初めて見ました。

なお、歩行者は信号機の色に関係なくトンネルに入ることができます。

坑門上部は左右に長く張り出していて堂々とした構えとなっています。

 

トンネル内部は距離が長いこともあってもちろん上部に照明がつけられています。

フラッシュを焚いて撮影すると鮮明に見えるわけですが、

 


実際は照明だけだと周りは何も見えず、肝試しでもしてるかのような気分でひたひたと歩くこと9分ほどで外の光が差し込んできて、トンネルを脱出しました。

 

 
入口とは打って変わって天気がだんだんおかしくなってきているのを感じつつ、少し進んで後ろを振り返ると霧の中に埋もれかける葉原トンネルに別れを告げて、
 

 
5分ほど進むと北陸自動車道と並走するようになり、
 

 

1分ほどで鮒ヶ谷トンネルに到着。

全長64mとトンネル群の中では一番短い距離ながら

 

 
国の登録有限文化財に指定されているトンネルであっさりと通過。
 

 
続いて1分ほどで曽路地谷トンネルに到着。
 

 
少し右に湾曲していて時折、水しずくが落ちてくる中、
 

 

全長は401mながら遠くに光を確認できると妙な安心を得ました。

 

 

トンネルを出るとさらに雨脚が強くなり、

 

 
ずぶ濡れ状態になりながら第一観音寺トンネルまでの1.2km進んでいきます。
 

 
ここから下り坂に入ったので、峠は越えた模様です。
 

 

ただあまりにも雨が激しいのでスピードは上がりません。

途中開けたところに出て天気が良ければ敦賀湾が望めそうな箇所も何も見えず、

 

 
第一観音寺トンネルまで残り900mで傾斜がきつめの下り坂を進んでいきます。
 

 

杉津という地区に入り、旧北陸本線時代には杉津駅が設置されていたそうで、結構賑わっていたようですが、

 

 
現在は静けさが漂う中、左手に天気さえ良ければ見えたであろう絶景を想像しながら
 

 

下り坂を進み、

 

 
10分ほど走って第一観音寺トンネルに到着しました。
 

 
全長は82mで直線状なので出口の先が見えて安心しつつも長めのトンネルなら雨宿りしつつ距離を進めるんですが、これだけ短いとそうもいかずで、わずか2分で通過。
もちろん有形文化財に指定されていました。
 

 

出口を出ると右手には落石防止工が厳重に講じられていて、まるでワッフルのようでした。

 

 
左手に見えてほしかった敦賀湾を一瞬確認して、
 

 
1分ほどで第二観音寺トンネルに到着しました。
 

 

全長は310mでほぼ直線なので出口側の光を目指して5分ほどで通過。

第二観音寺トンネルを出てわずか50m、1分も経たないうちに曲谷トンネルに到着しました。

 

 

全長は260mでトンネル内は緩やかに左に湾曲しているので、天井の照明は充実していました。

 

 

3分ほどで通過して、100m進むと芦谷トンネルに到着しました。

 

 
全長は223mでトンネルの土台は石積みなのが多いのに対して、芦谷トンネルは土台からレンガが積まれているのが特徴的でした。
 

 
もちろん登録有形文化財に指定されているのを確認して2分で通過。
 

 

最初はトンネルを通る度に感動を覚えていたんですが、この辺りは間髪入れずにトンネルが続くので感動は薄れていました。笑

次はわずか90mで伊良谷トンネルに到着しました。

 

 

全長は467mで緩やかに右に湾曲しています。

距離もあってカーブしていることから入口上部には信号機が設置されていて、待ち時間は3分。

 

 

明るめの照明に照らされながら5分ほどで通過。

 

 

その次は山中トンネルですが、一旦ここで小休止とします。