JR北海道が進めている観光列車プロジェクト『スタートレイン計画』として、キハ143形気動車を魔改造した『赤い星』『青い星』の概要が発表されましたが、その陰で…長い間愛されてきた同社の観光列車『くしろ湿原ノロッコ号』『富良野・美瑛ノロッコ号』の両列車が2025年度の運行を最後に引退するとの事。
詳細はコチラのリンクを参照↓(12月18日JR北海道プレスリリース)
スタートレイン計画 ~「赤い星」と「青い星」運行時期とルート、車両の改造状況について~
函館地区で運転されていた『くるくる駒ヶ岳 遊・遊トレイン』の旧型客車と貨車を改造した車両を転用し、1989年に「日本一おそ~い列車」のキャッチフレーズで誕生した『くしろ湿原ノロッコ号』(釧路~塘路)ですが、1990年の冬季からは同じ車両を使用した『オホーツク流氷ノロッコ号』(網走~斜里※現・知床斜里)も運転開始されました。
(写真はいずれも『オホーツク流氷ノロッコ号』のモノ。暖房がないのを逆手に取って「シバレ体験」と銘打ったユニークな列車であった)
1998年シーズンからは50系(51形)客車を改造した編成に置き換え、最後尾客車に運転台を取り付けて終着駅での機回しが不要になり、同時に編成を増強、最大5両編成になりましたが、1両を後述する『富良野・美瑛ノロッコ号』に譲って客車4両編成に減車されました。尚、1999年シーズンから新編成に置き換わった『オホーツク流氷ノロッコ号』は2016年シーズンを以て運行終了しています。
『くしろ湿原ノロッコ号』は運転区間やダイヤでバリエーションがあり、レギュラーの釧路~塘路を1日3往復するパターン、また9月下旬の夕刻に運転される『夕陽ノロッコ号』、釧路湿原駅で約1時間停車して散策時間を設ける『よくばりノロッコ号』、そして川湯温泉への延長運転(『ノロッコ川湯温泉号』※2024年シーズンの愛称)がありました。いずれも大好評で、特に『夕陽ノロッコ号』に関しては平日の運転にも関わらずほぼ満席という盛況振りでありました。
『くしろ湿原ノロッコ号』の初代車両を使用し、1997年にわずか2日間運転された『富良野・美瑛ノロッコ号』(旭川・美瑛~富良野)ですが、『くしろ湿原ノロッコ号』が2代目車両に置き換わったため、初代車両が転用される事になり1998年夏季から本格的な運転が始まりました。翌年にはコチラも50系(51形)客車改造の新編成に置き換えられます。
しかし…ノロッコ号に使用されている客車は製造から40年を超え、機関車に至っては50年を超える車両もあり老朽化には抗えず、部品の調達もままならなくなった事から『くしろ湿原』『富良野・美瑛』共々2025年がラストシーズンとなり引退が決まってしまいました…。
冒頭に触れた『赤い星』『青い星』は豪華列車との位置づけで料金体系も異なるため、直接の後継列車とはならず、ノロッコ号の後ガマとしての観光列車の運行については未定との事。予想されるのは、キハ40形を改造した『北海道の恵みシリーズ』や『山紫水明』、もしくはH100形の観光仕様車でお茶を濁すのかと…?
もっとも、『赤い星』『青い星』のキハ143形こそノロッコ号と同様に51形客車の改造で、ボロボロの車両を「SDGS」とか云って再活用するというのは、なんだか矛盾していると思えなくもないのですが?同様のコストを掛けるのならば海外で再活用されるキハ183系を魔改造したほうがよっぽどマシだと思いましたよ(同じボロボロでも車齢は若いし…ただ高速走行で酷使はされてきたが)。
ノロッコ号を走らせるだけではカネにならないから、富裕層やインバウンド向けに舵を切るようですが、果たして成功するのかどうか?車幅も狭くて窓も小さく、所詮普通列車然としたキハ143形を『豪華観光列車』にするにはあまりにもショボ過ぎる。
ただ…「走る観光資源」でもあったノロッコ号の引退は、走行する地元自治体にとっては大きな痛手ともなりますし、観光客の減少を招きかねないかと…?「乗ってみたい観光列車」の上位として人気だったノロッコ号をこのまま無くしても良いとは思えません。一般の観光客が求めているのは『赤い星』『青い星』といった豪華列車ではなく、気軽に乗れる観光列車ではないでしょうか。
そこで提案したいのが、気動車を改造した『シン・ノロッコ号』。本来ならば、キハ143形を大改造してノロッコ号に転用すれば…と期待していたのですが、その目論見はハズレてしまったので、種車として苫小牧に配置されているキハ150形100番台を活用すれば良いのではないかと?
同車は室蘭本線の糸井・苫小牧~岩見沢のみの運用となるようですし、いずれH100形に置き換えられるのならば余剰になる事でしょう。現ノロッコ号なき後の2026年には間に合わないでしょうが、新たなるノロッコ号の登場に期待したいモノです(「JR北にそんな余裕などないだろう!」と噛みつく輩もいらっしゃるでしょうが、コレはあくまでも「テツの戯言」として読み飛ばしてください)。