2024年8月9日(金)
本日は、京都市内へとやってきています。
お盆で賑わう四条河原町周辺を観光・散策していましたが、あまりの暑さにへこたれて八坂神社近くのカフェへと転がり込みました。
日差しの強い屋外とは裏腹に、冷房の効いた涼しい屋内で食べるひんやりとした抹茶パフェの何と美味しいことか。
(記事執筆の季節感がバグっており申し訳ございません。この時は本当に暑かったのです…)
さて、鴨川を渡りやってきたのは阪急京都本線の京都河原町駅。2019年9月まで単に「河原町駅」でしたが、観光客へ向けて駅の所在地を分かりやすくするために「京都」を冠するよう改められました。
今回は阪急を利用し、大阪梅田駅まで移動したいと思います。
せっかくなので、2024年7月21日に運行を開始した座席指定車両「PRiVACE(プライベース)」を利用してみることにしました。PRiVACEは特急(日中)・準特急(朝夕)のそれぞれ一部列車に連結されており、運行間隔は10~40分ほどとばらつきがあります。またこのほか平日朝に限り運行されている通勤特急のうち、上下1往復にも連結されています。
座席指定券の予約・購入は原則としてインターネット上でのみ可能で、駅での発売は行われていません(ただし、空席があれば乗車後に車内にて購入可能とされています)。料金は乗車区間にかかわらず一律500円で、ホーム上には直近列車の空席状況を示すモニターも設置されています。号数がとんでもない大きさの数字ですが、基本的に旅客上の案内で用いられることはほとんどないため心配は不要です。
今回は、京都河原町16時53分発の準特急 大阪梅田行に乗車します。「準特急」という種別を耳にするとどうしても京王線を連想してしまうのが首都圏民の性ですが、今やすっかり阪急を象徴する種別名称となりました。
阪急伝統のマルーン色の車体全面には、PRiVACEのロゴマークをあしらったヘッドマークが掲げられています。快適な椅子の形状をイメージしたであろうロゴマークですが、これがカタカナの「ア」に見えると鉄道ファンの間では話題になっています。
列車は8両編成で、大阪梅田方面から順に1,2,3…号車となっています。このうちPRiVACEは4号車の1両のみで、他の車両と異なりドアは車両中央部に1箇所のみ設置されています。
乗車口の脇には視認性の高い行先表示器が設置されています。ちなみに大阪梅田駅も京都河原町駅と同様、2019年9月までは単に「梅田駅」の呼称となっていました。
何と言っても気になるのが座席。1車両に40席のみで、2+1列の配置となっています。前後左右の幅が広く取られ、「ゴールデンオリーブ色」のモケットが高級感を演出しています。また、隣り合う席のひじ掛け部分には衝立が取り付けられており、互いに干渉することなくプライバシーが担保されています。もちろん座席は十分にリクライニングも可能です。
全ての座席にコンセント・読書灯・インアームテーブル・ドリンクホルダー・マガジンラックが完備されており、もちろん車内ではフリーWi-Fiも利用可能。残念ながら背面テーブルはありません。
なおインアームテーブルは、広げるとご覧の通りの大きさ。軽食や飲み物が置けるくらいの大きさで安定はしていますが、ノートパソコンを広げるには少し難しいようにも思います。
16時53分、時刻通り列車は京都河原町駅を発車。背もたれが高いので、自分が座った状態であれば前方の方の頭が見えることも基本的にありません。
準特急は京都河原町を出ると烏丸、大宮、西院、桂、長岡天神、高槻市、茨木市、淡路、十三、終点大阪梅田の順に停車します。京都河原町~西院駅間はひたすら四条通の地下をまっすぐ走行します。
客室内前方にはLCDも設置されており、これまた視認性は抜群。烏丸駅では京都市営地下鉄烏丸線(四条駅)、大宮駅・西院駅では嵐電嵐山本線(四条大宮駅・西院駅)とそれぞれ乗り換えが可能です。特急と準特急の停車駅の違いは大宮駅・西院駅に停車するか否かの違いのみですので、所要時間の面で大きな違いはありません。
「大宮」といえば埼玉県最大のターミナル駅…ですが、そちらとはイントネーションが少々異なります。埼玉の大宮は「大阪」と同じイントネーションなのに対し、こちら京都の大宮は「大分」と同じイントネーションが正解の様子。もとより大阪・大分のイントネーションが全国共通なのかは不明ですが…。
そんなイントネーションに気を取られているうちに、気づけば列車は地上へと現れ、西京極~桂駅間では桂川を渡ります。関西の地名の由来などは全く分かりませんが、「西京極」とは西にある京の極み、すなわち都の西端のような意味だったりするのでしょうか。
17時02分、桂駅に到着。こちらでは阪急嵐山線と乗り換えが可能です。当駅は阪急京都本線内で数少ない「全種別停車駅」で、最優等列車である「快速特急 京とれいん雅洛」は当駅を出ると淡路まで30分近くノンストップです。
桂の次、準特急は長岡天神駅に停車。桂からの所要時間は4分ほどですが、この間に3駅を通過しており、駅間距離の短さに私鉄らしさを感じます。
長岡天神では、先行の普通 天下茶屋行と緩急接続。当駅は長岡京市の中心に位置しており、JR京都線の長岡京駅からも徒歩圏内です。
大山崎~上牧駅間では、東海道新幹線とぴったり並走します。新幹線の普通車の座席も十分快適なのですが、前後左右のゆとりや高級感だけを見ればPRiVACEは新幹線のグリーン車かそれ以上の価値が十分にあると思います。
17時15分、列車は高槻市駅に到着。こちらもまた京阪間では絶対に外せない主要駅で、JR京都線の高槻駅からすぐのところにあります。ちょうど正面に当駅から大阪梅田方面へのPRiVACE空席状況を知らせるモニターがありましたが、乗車中の列車を含め直近2列車ほどは残席数が△になっています。
高槻市は京都河原町~大阪梅田駅間のほぼ中間にあり、どちらへ出るにも25~30分程度。なかなか「毎日指定席に乗ろう」とはなりにくいかもしれませんが、荷物が多かったり一般車両が混雑を見せていたりするところでこのモニターが登場すると思わず「乗ってみようかな」という気持ちにもなるものです。
17時20分、茨木市駅に到着。「茨城」と「茨木」はどちらも「いばらき」ですので覚えておきましょう。
こちらでもまた、さらに1本前を走る普通 大阪梅田行と緩急接続。一つ先の南茨木駅は快速特急・特急・通勤特急・準特急いずれも通過ですが、大阪モノレールに乗り換えることができ、大阪空港まで乗り換えなしという便利な街です。
すぐ上を走るのは2019年に全線開業を果たしたJRおおさか東線。そしてそのさらに上に架かっているのは、高架化工事中の新・阪急京都本線とみられます。現在はおおさか東線の下をくぐっていますが、将来的にはおおさか東線の上を跨ぐようにして走るようです。
そして17時31分、淡路駅に到着。阪急千里線とクロスし、北千里方面およびOsaka Metro堺筋線に直通して天下茶屋方面に繋がる重要なターミナル駅です。
十三駅では、阪急神戸本線・阪急宝塚本線と合流。各方面全ての種別が停車するため、例えば京都方面⇔神戸方面等を阪急で移動する場合はこの十三での乗り換えが便利です。
淀川を渡った先には、梅田の高層ビル群が見えてきます。指定席でゆったりくつろいでいると降りるのにも準備が必要ですから、この辺りへ差し掛かると周りでもいそいそと降車の準備が始まります。
ちなみに十三~大阪梅田駅間には「中津」という駅がありますが、停車するのは神戸本線の普通と宝塚本線の準急・普通のみです。京都本線の線路上にはホームさえなく、普通も含め全列車通過となります。
17時42分、終点の大阪梅田駅に到着。
京都河原町から所要時間は49分、47.7km。わざわざ指定席を予約しようと思うかというと人によって好みや意見が分かれるとは思いますが、少なくとも500円という手の届きやすい金額であることに加え、本数も充実しているとなれば、あっという間に浸透するような気がします。
いずれにせよ素晴らしい座席であることは間違いないので、将来的にもし他の区間でも設定されることがあれば是非利用してみたいと思います。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。