久々のブログ更新となりますが、今回は遅ればせながら先日13日にプレスリリースで発表されたJR北海道の来年3月ダイヤ改正について紹介させて頂きます。

 

ダイヤ改正についての詳細は下記リンクをご覧ください↓

2025年3月ダイヤ改正について

 

 

①石北本線特急列車の再編

まず取り上げるのが、かねてから報道されていた石北本線の特急大雪の快速化(特快化)です。プレスリリースで最初に紹介されているように、ダイヤ改正は石北本線特急列車の見直しがメインのようで、既存の特急オホーツクに関しても時間帯の変更が行われるようです。

 

 

 

特急オホーツクについては、1号がほぼ現行どおりのダイヤを継続するのに対し、その他の列車については利便性の向上を狙って時間帯の変更を敢行するとの事で、コレには私も驚きました。2号は現行の網走発5:58→6:55、3号は現行の札幌発17:30→15:30、そして4号は現行の網走発17:26→14:36と、大幅な再編が行われます。以前のブログで紹介した『特急おおとり』のスジは、下りのみ改正後オホーツク3号となり特急として残り札幌直通が復活する事になります。

つまり、現行の特急大雪がそのまま快速化されるワケではなく、一部の大雪のスジをオホーツクに置き換え、その代わり現行のオホーツクの一部が特快大雪に置き換わるのです。

 

 

 

特快大雪については、現行の特急大雪1・2号はほぼ同じ時間帯で運転されるのに対し、時間帯の変更となったオホーツク3・4号の旭川~網走を置き換える事になります。オホーツクの両列車とも夜間帯に入るため、石北本線内の利用客が少ない事からこの措置となったのでしょうか。

しかし、繁忙期は大雪1・2号とも混雑する事もあるだけに、そのような時期に限って札幌直通の臨時特急を走らせられないか?とも思うのです。

(写真は流氷シーズンのオホーツク4号の車内。通常時よりは幾分多いように見えるが…)

 

 

 

さて…問題の特快大雪ですが、かねてから報道されている通りH100形電気式気動車2両編成での運転となり、当然車掌は乗務しないワンマン運転となり、その代わりに特急大雪で行われていた閑散期の運休は行わない毎日運転の列車となります。懸案されていた車内設備の改善ですが、残念ながらダイヤ改正には間に合わないようで、プレスリリースでも紹介されている通り、「令和7年度以降、長距離移動の快適性向上のため、座席数の増加と座り心地の改善を行っていきます」という事で、当面は現行のH100形の車内設備のまま使用されるようです。座席数の増加はともかくとして、座り心地の改善とは如何に?客室面積が少ないH100形をどう改善するのか…?個人的には会津鉄道の「AIZUマウントエクスプレス」のような客室(リクライニングシート)を望みたいです。

 

 

 

ご承知の通り、H100形はBOX席が少なく、立席重視の車内レイアウトとなっており、肝心の座席も座り心地が堅く乗り鉄からは不評をかこっているシロモノでして、リクライニングシートの特急ライラックから乗り換えて北見や網走まで3~4時間の移動時間を過ごすのは正直キツイです。また、指定席も設定されない事から、特急ライラックからの乗換客がロングシートに座らされるという懸念も…。せめて、車内設備の改善を終えてからのダイヤ改正に踏み切るべきでした。

 

 

 

特急大雪には、えきねっとトクだ値での割引が設定されていますが、コレに関しても全車自由席の特快化に伴い廃止となりそうです。網走~旭川の普通旅客運賃が¥5610に対し「特急トクだ値1」で特急大雪の指定席を利用した場合の価格は¥4270(トクだ値50)。運賃料金が上がって車内設備のグレードも落ちるようでは、ますます鉄道離れが進むのは必至でしょう…。それを食い止めるには、ライラック~大雪乗り継ぎ客向けに何らかの割引きっぷを設定すべきだと思います。

(切符の写真は期間限定で網走→旭川が55%割引になった時のモノ)

 

 

 

そして、ダイヤ改正に伴い現行の特別快速『きたみ』はただの快速に変更され、停車駅が特急並みの大雪と差別化される事となります。思えば…1995年のダイヤ改正以降は一部区間が普通列車とダイヤが統合されたため特快とは名ばかりで、区間快速を名乗ってもおかしくない状況でしたから。しかも、運転区間が北見~旭川から網走~旭川(但し網走~北見は各停)と、石北本線を全線直通する列車となるのは大きなトピックでもあります。

 

 

 

また、石北本線においては特急オホーツク2号の時間帯変更に伴ってか、現行では生田原駅発遠軽行の朝の普通列車が網走駅早朝5:48の始発となり、網走や北見などから遠軽高校への通学の足(現行の『かよエール』利用客向けか?)が維持される事になります。

 

 

②(現行)ライラック2号とカムイ47号の廃止

函館本線札幌~旭川の早朝・夜間帯を走るこの2本の特急列車は、かつての夜行列車『利尻』『オホーツク9・10号』の廃止に伴う代替として設定された列車でしたが、利用客が僅少となったため廃止される事となりました。このため、札幌駅では特急北斗4・21号、おおぞら1・12号、また特快(快速)エアポート20・189号と接続しない事となります。また、ライラック2号で札幌の学校へ『かよエール』を利用して通学している人にとっては大きな痛手となるでしょう。

但し、現行で臨時列車扱いとなっているカムイ29号(札幌16:30発)は定期列車となり、また特急オホーツク3・4号の札幌~旭川の代替となる便(ライラック33・44号)が設定されます。

 

 

 

 

③おおぞら7号の速達化

いよいよ道東自動車道が来る12月22日に釧路西ICまで開通する事となり、札幌市内~釧路までの所要時間が4時間12分にまで短縮されるとの事で、コレは特急おおぞらの所要時間とほとんど変わりません。その事にJR北も焦ったのか、現在4時間25分もの所要時間を要しているおおぞら7号に関しては、途中の追分、新夕張、池田、白糠の4駅を通過扱いとし、釧路までの所要時間を3時間54分という大幅なスピードアップを図ります。ただ、振り子式気動車キハ283系の最速達列車だったスーパーおおぞら4号の3時間32分には遠く及ばず、曲線通過性能が劣る直線番長のキハ261系ではコレが精一杯なのでしょう。

尚、現在追分と新夕張を通過していたおおぞら5号についてはダイヤ改正後に両駅とも停車する事となり、千歳発新夕張行の普通列車に接続するため『青春18きっぷ』や『一日散歩きっぷ』の利用客にとっては福音となりそうです。その石勝線の普通列車ですが、ダイヤ改正を機に全てH100形に置き換わります。

(写真はキハ261系特急おおぞらのイメージ)

 

 

 

④特急北斗2号の速達化

コチラはややインパクトに欠けますが、特急北斗についても最速達列車である札幌6:00発の2号が伊達紋別、大沼公園、五稜郭を通過扱いとして函館までの所要時間を4分短縮、3時間29分となります。ただ、この所要時間も振り子式気動車キハ281系時代末期の2号と同じで、昔に遡ればキハ183系時代の北斗1号(※途中停車駅は東室蘭と苫小牧、千歳空港のみ)とも変わりません。よりエンジンの性能が高いキハ261系でも、線路が傷む事を懸念してか極端なスピードアップは控えざるを得ないのが実情です。

(写真はキハ261系特急北斗のイメージ)

 

 

 

⑤根室本線と宗谷本線、計5駅の廃止

JR北海道の毎年の恒例行事となってしまった駅廃止ですが、既に報道されている通り根室本線の東滝川東根室、宗谷本線の雄信内南幌延抜海の各駅の廃止が正式に発表されました。

 

まず東滝川駅ですが、、少し歩けば国道38号沿いにセイコーマートがある位まとまった集落の中にあるのですが、その国道には空知中央バスの路線バスが通っており、付近住民も列車を利用しないという程鉄道離れが進んでしまいました。

 

 

 

次に紹介する東根室駅ですが、言わずと知れた『日本最東端の駅』。駅そのものは住宅街の中にあるのですが、近くには路線バスも通っており、また根室高校の通学利用も同校の前を通るバスに取って代わられたため、大きな反対運動もなくスムーズに廃止が決まってしまいました。廃駅後は終着駅・根室が名実ともに日本最東端の駅になる見込みです。

 

 

 

そして宗谷本線ですが、幌延町は秘境駅をマチおこしの一環として所在する5駅を税金による維持管理費を負担してきましたが、流石に手詰まり感は否めず、鉄道を利用しない町民の理解を得られないとの事で、1953年に建築されたという旧来の木造駅舎が残る雄信内駅、そして板張りホームの南幌延駅の2駅の維持管理をやめる事となり、来年3月ダイヤ改正を以て廃駅される事が正式に決まりました(但し雄信内は信号場として残る見込み)。これにより幌延町に残る駅は幌延の他に問寒別、糠南、下沼の4駅となり、まとまった集落の中にある問寒別、ヨド物置の待合室と板張りホームで知られる糠南、そして車掌車改造駅舎の下沼の3駅が町による維持管理となりますが…果たして今後も存続する事ができるだろうか?

 

 

 

本項で最後に紹介するのが、抜海駅。存続の願いもむなしく、ついに廃止される事が決まってしまいました。同駅は映画やドラマのロケ地としても知られ、1940年に建築された旧来の木造駅舎が残る情緒ある駅だっただけに、観光資源として活用される事を期待していたのですが、所在する稚内市の市長はそれを否定。2021年度以降からの駅管理を本年度限りで中止する事になりました。尚、廃駅に先立ち、今年9月24日を以て交換設備の使用を中止し棒線駅となったため、信号場として残る事もなく駅舎も解体撤去される事でしょう…。

 

 

 

以上、JR北海道の2025年3月ダイヤ改正について紹介しましたが、特に大雪の特快化やオホーツクの時間帯変更といった施策がどういった影響をもたらすのか、今後も注目していきたいと思います。