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#24 非現実的なダイヤを、現実を改変することで設定する。

現実の鉄道はマニアの理想とは裏腹に、利用者減や生活様式の変化によって合理的な姿に変化していきます。

それを面白くなくなる、はたまた「嫌がらせ」と捉えるのは自由ですが、それならその怨嗟を架空鉄道という、自分の理想の空想に昇華する手があるというのが私の主張です。

面白いダイヤには理由があります。

一方、架空鉄道にもリアリティを求めるのが私の主義であり、それは制約があるからこそ、その有り難さに愛着が湧くと思うからです。

この記事では、失われたダイヤを架空鉄道で再現する際のヒントを提案していきたいと思います。

姉妹記事(?)として、以下の記事も載せておきます。一部主張が被るところがありますが、今回はダイヤに焦点を当てています。


1.小田急ー準急毎時6本ダイヤ/京阪ー毎時24本ダイヤ

千代田線直通の日中の準急は利用者が少なかった印象

最初のお題は、複々線を持つ私鉄路線における超高頻度ダイヤです。とはいえ、例え1時間に24本〜27本、なんなら30本だとしても、例えば同一方向に普通12本・急行12本・特急3~6本のようなダイヤというよりも、複数種別・支線(地下鉄)直通を毎時6本×4、もしくは普通毎時6本+優等毎時3本×6とするのではないでしょうか。Xで他の作者様の架空鉄道の時刻表を見ているとそのように感じます。

このリアリティを達成するためには、沿線人口が莫大であるという設定にするのが有効ですが、遠近分離を徹底するというのも手でしょう。

例えば小田急のダイヤを全くの架空で作り直すとして、種別を各停6本、準急6本、急行6本、快速急行6本、特急3本(というかこれが複々線開業時の土休日ダイヤの内訳でした)とします。

接続や利便性は度外視で、

・各停:新宿〜向ヶ丘遊園×6本→渋谷区・世田谷区の小駅用
・準急:千代田線〜本厚木×6本→都心〜川崎市速達&川崎市・町田市・神奈川県内本厚木までの小駅用
(現行の通勤準急の停車駅)
・急行・快速急行:新宿〜小田原・藤沢×6本×2→都心〜神奈川県央・県西・湘南エリア速達、東京都内中心駅相互の速達
(急行が経堂・向ヶ丘遊園、快速急行が登戸通過だとよりわかりやすい)
・特急:新宿〜箱根湯本他×3本→観光・着席用

と分けたら、定番のダイヤの拡大版という感じになって自然さを失いません。


2.鹿児島本線・北陸本線・北越急行ー並行在来線特急

金沢に到着した特急しらさぎ

どういうわけか、新幹線よりも在来線特急の方がマニアを惹きつけてやみません。鹿児島本線の新八代以南は景色が素晴らしかったと聞いたことがありますが、所謂「旅情」というものでしょうか?

新幹線が開業すれば、今まで在来線特急が担っていた都市間輸送は新幹線に役目を譲ることが出来ます。在来線は普通列車の拡大が可能になりますが、マニア的には速達列車が無くなるのは寂しいと感じられるようです。

かくいう私も在来線特急は好きなので、高速鉄道を走らせながら在来線にも特急を残す方法がないか考えています。

現実の例でいえば、台湾では在来線と高速鉄道で運行している会社が違う(=ライバル)ので共存(競合)しているようです。日本でも、近鉄名阪特急と東海道新幹線が他社による共存・競合関係になっています。やはりこの共存の最大の「言い訳」は競合です。

もう一つの手段としては、経路違いによる途中駅の需要を拾うというものです。東北新幹線と常磐線特急「ひたち」は、東京都〜仙台間で起終点が被っていますが、ひたちは仙台から都内への移動というよりも、福島県浜通り地域への輸送がメインなのだと思っています。東日本大震災発生前は上野〜いわき・いわき〜仙台で系統分離がなされる予定だったところ結局直通のまま残されていますが、いわきを跨いだ移動の利便性を考えれば不自然なことはありません。実際、相馬野馬追の時期にひたち号に乗りましたが、臨時特急含めて盛況でした。東海道・山陽新幹線の東京〜博多間直通も同様でしょう。

都内で仙台行きの文字を見れる日が来るとは思っていませんでした。

東北新幹線新青森開業で優等列車が走らなくなった青森県三沢市ではミニ新幹線が求められていたと聞いたことがありますが、例えば八戸〜青森に在来線特急を残すという架空鉄道を考えるなら、三沢をはじめとした通過される自治体の人口が多かったら、権力が強かったら、通過自治体への配慮が手厚かったら、というIFが有効ではないでしょうか。


3.系統分離・区間短縮

秋田行き特急いなほ

東北本線は宇都宮や新白河で、東武日光線は無料速達列車が南栗橋で分断されています。特急いなほは秋田直通が減り、元を辿れば白鳥・かもしか→つがるとの系統分離もありました。

これは、あなたが考える鉄道会社の理念として、効率的・ダイヤ乱れへの対処のしやすさよりも、サービスとして直通列車を残すという考えをもっているということにしてしまえばクリアです。

また極端な話、長距離移動の需要を賄えるのが鉄道しかない、もしくは鉄道の優位性が大きいという状況にするのもいいでしょう。あなたの国では自動車産業が盛んではなく、環境保護の観点からマイカーを避けさせる政策をとる(自動車への課税、補助金による鉄道運賃の低廉化など)というのもアリかと思います。現実で、夜行バスが若者の乗り物、苦痛と言われるくらいですから、長時間狭い車内と座席で拘束される自家用車を運転して長距離移動するのが負担であるという考えをもつ国民が多いというのもあってもおかしくないはずです。


4.夜行列車

柳井、防府、宇部は山陽ブルトレを思わせました

夜行列車は多くの鉄道マニアの夢です。九州行き急行列車、東海道ブルトレや北海道行き夜行列車、ムーンライトシリーズなどが現役だった頃のマニアはいざ知らず、サンライズしか残っていない時代に生きるマニアにとっては憧れの存在です。

カシオペアやトワイライトエクスプレス、WEST EXPRESS銀河など観光向け夜行特急は、あなたの架空鉄道が一社で、一本の線路で繋がっているのであれば例の「サービス」でクリアできます。

問題となるのが、あけぼの、はやぶさ、富士、日本海、あかつき、彗星、ムーンライト高知など、都市間を夜間に効率よく移動する目的である夜行列車です。需要がなければ車両の新造が行われず、老朽化とともに廃止される運命です。夜行列車の需要は航空機や高速鉄道の速達性、夜行バスの経済性に反比例して小さくなっていきます。そのため架空鉄道で夜行列車が盛んに走るためには、空港や高速鉄道駅から離れた地域に大きな都市がある、夜行列車自体の速達性や価格によって夜行バスに対する競争力を維持するという手段が有効になります。前述した自動車への規制、鉄道の促進という政策がここでも活きてきます。

まとめ

やはり魅力的なダイヤ、鉄道を空想するためには、沿線人口が多いことや、鉄道の利用が促進される政策・文化から作り上げるということが肝になってきます。そのため、現実の日本の設定を改変したり、そもそも国から架空で作る(架空国家)というのも選択肢になってきます。

Chakuwikiには、「もし日本の面積と人口が10倍だったら」という記事があります。

私の架空創作の舞台(「日陽」)も、日本の地形をベースに、面積と人口が日本をはるかに上回るものだったら、というものです。そうなると空港や高速鉄道の建設も現実より進みそうですが、それは計画段階、建設難航ということにしています。どこぞの東京外かく環状道路のように。

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